うつの治療を薬なしで行なう方法はどんなのがあるの?


うつの治療は、日本では抗うつ薬などによる薬物療法が中心ですが、うつ病は薬だけでは、なかなか治らない人が多いのも事実です。

抗うつ薬がうつに効く効果は、プラセボ(偽薬)と同じぐらいで、プラセボ以上に薬の効果がみられるのは、重症のうつ病患者だけという研究報告も海外で次々に発表されています。

仮に、薬物療法だけで治ったとしても、薬だけで治った場合には再発率が高いという問題もあります。

こうした薬物療法の有効性を覆すような研究報告を受けて、既にヨーロッパではうつ病の治療の見直しが行なわれており、軽度から中程度のうつ病に対しては、精神療法などのカウンセリングを中心とした治療法に変わってきています。

カウンセリングの光景
たとえば、イギリスでは軽度のうつ病なら、薬物療法をするのではなく、まず認知行動療法、問題解決療法や一般的なカウンセリングを行ないます。

基本的に軽度や中程度のうつ病には、抗うつ薬を使わず、薬物療法は、極めて症状が重い場合のみ認知行動療法などの精神療法と組み合わせて使用するようになっています。

こうした取り組みによって、イギリスでは、1997~2007年の10年間で、自殺率を15.2%減らすことに成功し、薬だけに頼らない治療で大きな成果をあげています

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しかし日本では相変わらず、うつ病の治療は薬物療法が中心です。

うつ病は、薬なしで自然に治るケースも半数以上あり、何年も抗うつ薬を飲んでも治らずに苦しんでいる人たちや、薬の副作用で自殺した人たちもいるという現実を私たちは重く受け止める必要があると思います。

「うつの治療に、まず抗うつ薬ありき」の考え方を変えていくためにも、うつの治療を薬なしで行なう治療法には、どのようなものがあるのかを調べてみました。


薬なし(薬物療法以外)のうつの治療

抗うつ薬を使わないうつの治療には、次のようなものがあります。

薬物療法以外のうつの治療
  • 精神療法(心理療法)
  • 修正型電気けいれん療法
  • 磁気刺激療法
  • 光療法
  • 運動療法
  • 鍼療法(はりりょうほう)
  • 読書療法
  • リラクゼーション
  • 食事療法
  • 漢方薬療法

それでは、一つひとつについて更に詳しく見ていきましょう。

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◆精神療法(心理療法)


精神療法中の医師と患者
精神療法は、考え方や気持ちを整理することで精神的な苦痛を減らす治療法です。認知行動療法(CBT)対人関係療法は、うつ病への治療効果が実証されている精神療法です。

しかし残念ながら今の日本には、うつ病の治療にこのような精神療法を取り入れている精神科医は少数しかいません。

あなたが今かかっている医療機関でこれらの精神療法を行っていない場合には、主治医に相談するか、地域の精神保健福祉センターなどの相談窓口に尋ね、専門的に行っている医療機関を紹介してもらうとよいでしょう。

認知行動療法
ものごとの考え方や受け止め方を「認知」と呼びます。認知行動療法とは、うつ病の人にみられる「認知」、つまり「考え方のくせ」を修正し、行動に反映させていく治療法で、近年その効果が注目されています。

認知行動療法は、うつ病に有効な治療法であることが欧米でも認められている精神療法です。

認知行動療法は、抑うつ症状が現れている急性期でも、症状が認められなくなった寛解期でも、同様の効果があることが知られています。

また、認知行動療法によって寛解後の再発率も低く抑えられることが分かっています

認知行動療法は、うつ病のみならず不眠症、パニック障害、強迫性障害、摂食障害などにも有効で、科学的根拠に基づいてその有効性が認められています。


認知行動療法は、専門家によって行われますが、お近くに専門機関がない場合には、認知行動療法はご自身で行うことも可能です。

CBTを受ける女性のイラスト
コンピューターCBTと呼ばれるパソコンで対話形式で認知行動療法を行うものもあります。コンピューターCBTは、認知行動療法の専門家の不足する地域でも役立ちます。

日本では、うつ病など気分障害の患者さんを対象に、認知行動療法は健康保険適用となっています。

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対人関係療法
対人関係療法は、アメリカの精神医学界の治療ガイドラインでも、うつ病の有効な治療法として認められている精神療法です。

うつ病の発症には、人間関係が強いストレスとなって影響を及ぼすことがあります。
対人関係療法のカウンセリング
対人関係療法は、人間関係の問題を見直し、よりよいコミュニケーションの取り方を身に付けていこうという治療法です。

対人関係療法は、期間の限定された短期精神療法ですが、その効果は治療終了後も長く続くことが確認されています。



◆修正型電気けいれん療法


患者さんの頭部に電極を取り付け、電流を流し、けいれん発作を起こして刺激を与える治療法です。以前は、けいれん発作によって背骨を骨折するなど安全性に問題があったため、現在では、全身麻酔をかけ筋弛緩剤を使用し、患者さんにけいれんを起こさせない「修正型電気けいれん療法」が行なわれています。

重度のうつ病で自殺の危険が高い場合や、ほとんど食事をしないような緊急を要する患者さんに、非常に有効な治療法と考えられています。

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電気けいれん療法のうつ病に対する寛解率(症状がよくなる割合)は、80~90%と高いですが、ただ、よくなったあとに、その状態を維持することが難しく再発率は高いといわれています。


日本では、電気けいれん療法については、積極的に取り入れている医療機関と、電気けいれん療法に否定的な医療機関と二分されてるようです。


電気けいれん療法への質問
★アメリカ精神医学界の電気けいれん療法の適応基準は次のとおりです。

  • 重いうつ病で、精神的にも身体的にも早急な改善が求められるとき
  • 修正型電気けいれん療法のほうが、他の治療法より危険性が少ないとき
  • 薬物療法への反応性が悪いときや、過去に電気けいれん療法が有効であったとき
  • 患者さん自身の希望があったとき
出典:抗うつ薬を飲む前に

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★次にイギリスの英国国立医療技術評価機構(NICE)の電気けいれん療法(ETC)のガイドラインを見てみましょう。

  • 成人の場合は、急性期の重度のうつ病で、生命にかかわる緊急を要する場合、あるいはその他の治療法が失敗した場合に電気けいれん療法を検討する。

  • 標準的な抑うつに対しては、繰り返し電気けいれん療法を行ってはいけないが、複数の薬物治療と心理療法で改善が見られない場合は電気けいれん療法を検討できる。

  • 再発性うつ病の予防のため長期の電気けいれん療法を行ってはならない。

  • 妊娠女性、高齢者、若年者については合併症リスクが、より高いため、電気けいれん療法は注意深く実施すべきである。
参考:wikipedia


修正型電気けいれん療法は、以前より安全性が高まったとはいえ、脳内に電気刺激を加えるので副作用が出る場合もあります。

治療直後の頻脈、血圧上昇、頭痛、筋肉痛、めまいや、一時的な記憶の喪失が起こることもあります。この記憶喪失は、稀に長期に渡ることもあります。

死亡または重度障害が残る危険は、5万回に1回程度。治療費は保険適用になります。

また脳腫瘍などの病気、血管の奇形、最近の心筋梗塞、網膜剥離、褐色細胞腫、麻酔科的に危険性の高い人には、注意が必要です。

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◆磁気刺激療法


円形のコイル(磁気発生装置)を頭皮の上にあて、頭蓋骨の外から磁気刺激を脳の神経細胞に与えます。

修正型電気けいれん療法より安全に、簡単に行なえるというメリットはありますが、効果は修正型電気けいれん療法のほうが高いといわれています。


磁気刺激療法の寛解率は、6週間治療で27%程度24週間治療で50-60%程度。磁気刺激した部位に、痛みや不快感、頭痛などの副作用が起きる場合があります。

また磁気刺激療法は、日本では保険適用外なので自費での治療となり値段はかなりお高くなりますが、海外では既に保険診療が認可されている国もあります。


◆光 療 法


光の画像
日照時間が短くなる秋から冬にかけてうつ状態になり、春から夏になると症状が軽減するのが「季節性うつ病」です。

季節性うつ病の原因は、太陽光線にあたる時間が少ないことでホルモン分泌や体調のリズムに変調が起きるためだとされています。季節性うつ病の患者数の男女比は、圧倒的に女性が多いことも分かっています。

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季節性うつ病に特徴的なのは…

居眠り
  • 日中から夕方にかけて強い眠気に襲われる。
  • 眠りすぎて過眠になる。
  • 糖質を過剰にとりすぎる「過食」の傾向がある。


◆季節性うつ病の治療に対して効果的なのが「光療法」です


高照度光照射装置を使って人工的にとても強い光を一定時間、患者さんに照射するもので、季節性うつ病に対しては、抗うつ薬よりも有効であるといわれています。高照度光照射装置は市販もされていますし、リースで利用することも出来ます。

うつ病患者さんは、午前中に症状が強く、夕方から比較的元気になる傾向がありますが、日内変動が著しく、特に朝、調子が悪くて外出できないような人にも光療法は有効な場合があります。


◆運動療法


ジョギング

運動療法は、うつ病の治療に効果があり、しかも運動療法は薬物療法に比べて再発率が低いといわれています。

運動療法には、ストレッチ体操、エアロビクス、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、スイミングなど様々な種類がありますが、有酸素運動ならどれも同じようにうつ病に効果があるようです。

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英国国立医療技術評価機構 (NICE)は、軽度から中程度のうつ病には、認知行動療法と共に運動療法を治療の選択肢の一つとして推奨しています。患者さんが運動療法を選んだ場合には、訓練を受けたコーチの下でグループ単位で、1回あたり45分~1時間、週3回を10~14週間程度の期間、継続して運動療法を行います。

ただし、運動療法に効果があるのは、運動を行うことが可能な患者さんの場合で、何をするのも億劫で寝ているだけの重症の患者さんには禁忌です。

運動療法の応用として、ダンス・ムーブメント療法があります。これは音楽にあわせて、ステップを踏んだり、自分の心を表現したりするものですが、この治療で、うつ病の患者さんがよくなったという報告もあります。


◆鍼療法(はりりょうほう)


鍼治療
神経の末端には痛みを感じる場所がありますが、鍼がこの場所を刺激するとベータエンドルフィンが分泌されます。その働きが脳に伝えられて、脳では脳内モルヒネと、セロトニンが分泌されます。

ベータエンドルフィンには、鎮痛効果のほかに抗うつ効果や抗不安効果があります。

うつ病の鍼治療は、無作為割付比較試験がいくつか行われていますが、抗うつ効果がはっきり認められたという報告と、効かなかったという報告の両方があります。

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しかし、鍼治療は、効く人にはとてもよく効き、症状がすっかり消えてしまう人も中にはいます

鍼治療の手法には統一されたものがなく、鍼のみの手法を使う治療者もいれば、電気刺激を鍼で行う治療者もいますが、どちらの手法が効果があるのかについては、結論が出ていません。

鍼治療には健康保険が使えないので、自費診療になります。


◆読書療法


読書する女性

偽薬(プラセボ)との比較により、抗うつ薬には、うつ病を治す効果がほとんどないと発表したアービング・カーシュ博士は、うつ病治療に有効な認知行動療法について、マニュアルを自分で読書することによって、専門家に認知行動療法を受けるのと同じ効果が期待できると発表しています。

その読書療法については、Wikipedia に詳しく書かれてありますので、その部分を抜粋したものが下記です。

プラセボ効果を研究するアービング・カーシュ博士は、認知行動療法 (CBT) を受けなくても、そのメリットの多くを得ることができる方法として認知行動療法の読書療法を薦めており、臨床試験で良い結果が得られたものの中から2冊を紹介している。

『うつのセルフ・コントロール』(熊谷久代訳、創元社、1993年)、『いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法』(デビッド・D・バーンズ、星和書店、2004年)はいずれも認知行動テクニックに関する本である。

『いやな気分よ、さようなら』の臨床試験では、短期的には、標準的なCBTを実際に受けた人のほうが改善の度合いが高かったが、3ヶ月後には同等になった。

3年間の追跡調査から効果が持続的であることも示唆されている。注意点は、読書療法の臨床試験は中程度のうつ病のみを対象として行われたことである。軽症から中等症のうつ病であれば、代替法として妥当だが、重度のうつ病にはどのような効果を発揮するのか分かっていない。

引用:Wikipedia 

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◆リラクゼーション


リラクゼーションのイメージ画像

リラクゼーションの方法は、様々な方法が考案されていますが、リラクゼーションの基本は、筋肉の緊張した状態の感覚をまず覚え、次に筋肉がリラックスした感覚を体得することです。

リラクゼーションは、うつ病のみならずパニック障害、恐怖症、不眠症、頭痛、耳鳴り、慢性疼痛、過敏性腸症候群などの治療に用いられています。

リラクゼーションは、軽度のうつ病の患者さんに効果があるようです。


◆食事療法


うつの食事療法

うつを食事療法で改善する方法については、過去記事で詳しく取り上げていますので、こちらをご参考になさってください。
 ↓ ↓ ↓
うつは食事で改善できる!原因は食べ物だった!


◆漢方薬療法


漢方薬療法のイラスト

うつを漢方薬を使って改善する方法については、私自身の経験談も含めて過去記事で詳しく取り上げていますので、こちらをご覧になってくださいね♪
 ↓ ↓ ↓
うつに漢方薬は効果ある?失敗しない薬の選び方のコツ


おわりに

脳と心の休養
うつ病は、脳のエネルギー欠乏状態と考えられているため、治療の基本は、まず脳をしっかり休ませることが大事だと考えられています。

うつ病は、薬を飲まなくても数ヶ月以内に自然に回復する確率が50%を超えるため、それぞれの治療法が、うつ病にどのぐらい効果があるのかを比較検討するのが難しい点もあります。


また、うつ病は再発率が高く、しかも、繰り返すたびに再発率が高くなる傾向があります。うつ病の再発率は、1回目の場合の次回再発率が50%、2回目の場合は75%、3回目の場合は90%にも及ぶといわれています。

うつ病の治療は、こうした再発をいかに食い止めて治療するかが重要なポイントになります


そして、薬を使わない治療法と薬物療法を併用した場合に注意しなければいけない点は、症状がよくなっても自己判断で薬を急にやめないことです。

抗うつ薬は、急にやめた場合、危険な離脱症状があらわれる場合がありますので、断薬にあたっては、臨床経験豊富な精神科医の指導の元に、ゆっくり薬を減らしていくことが大切です。

抗うつ薬のイメージ画像A

うつの患者さんに、どの治療法が一番適しているのかは、それぞれの患者さんの病態によっても異なってくると思います。重症の患者さんの場合には、薬が有効な場合もあるかもしれませんし、抗うつ薬の全てを否定するつもりはありません。

しかし、うつ病になった時、精神科医に出された抗うつ薬を飲む以外に、私たちには薬なしでうつの治療ができる選択肢も残されているのです。

そのことをしっかり頭の中に入れておくことが、薬漬け医療から自分や家族の身を守ることに繋がります。

うつ病は、必ずよくなる病です。あなたが、ご自身に一番適した治療を納得された上で受けられ、あなたに心からの笑顔が戻ってくる日が早く訪れますように♪



参考書籍
  • 抗うつ薬を飲む前に 中河原通夫・久保田正春著
  • うつと戦わない生き方 高田明和著
  • うつ病の最新治療 関谷透著
  • うつ病のすべてがわかる本 監修 関谷透
  • 女性のうつ病 野田順子著



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