アスペルガー症候群の女性の特徴 男性との違いと悩み解消のコツ


女性のアスペルガー症候群は、男性のアスペルガー症候群と比べると、こだわりの強さやコミュニケーションの問題といった特徴があまり目立ちません。

そのため、アスペルガー症候群だと気付かれずに、医療機関にかかっても見過ごされることも少なくありません。

女性の写真A
私たちが知っているアスペルガー症候群の特徴は、実は、そのほとんどが男性のアスペルガー症候群から得られた情報です。女性のアスペルガー症候群の場合は、悩みごとも対応法も男性と異なってきます。

では、女性のアスペルガー症候群には、どのような特徴が見られるのでしょうか。

発達障害の臨床経験が豊富な医師、宮尾益知氏の著書「女性のアスペルガー症候群」から、男性のアスペルガー症候群とはちょっと違う女性のアスペルガー症候群の特徴をご紹介してみたいと思います。

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女性のアスペルガー症候群の特徴


女性のアスペルガー症候群の特徴は、次のとおりです。


アスペルガー症候群の女性の特徴の看板

  • 男の子は、幼児期からアスペルガー症候群の特徴が見られるが、女の子は思春期までアスペルガー症候群の特徴があまり目立たない。

  • 思春期になってからも社会性の乏しさは、男性ほど顕著には出ない。

  • 女性のアスペルガー症候群は、何より人間関係で悩む。

  • 原因不明の体調不良にも悩まされる(不眠・寝起きのつらさ、めまい、頭痛、胃腸の不調など)。

  • 男性にだまされて性的な被害にあうケースもある。


男の子の場合は、幼児期から、会話のすれ違いや、他の子どもと衝突しやすくなるなどのアスペルガー症候群の特徴が見られます。

それに対して、女子は男子と比べると、社会性やコミュニケーション能力が育ちやすく、そのため女の子の場合は、幼児期にはアスペルガー症候群の特徴があまり目立ちません。


しかし、小学生・中学生くらいになると、徐々に人間関係での悩みが出てきます。友達とのおしゃべりについていけなくなったり、悪気はないのに友達を怒らせてしまうことを言ってしまうのです。

アスペルガー女性の悩み

そして、思春期になると、周囲の空気を読めずに仲間はずれにされたりします。周りの子たちがどんどん女の子っぽく変わっていくなかで、アスペルガー症候群の女の子だけ子供っぽい服装をして、周囲にからかわれたりします。


そのような人間関係の悩みから、自分だけ他の友達とどこか違うことに気付きはじめ、それをきっかけに、アスペルガー症候群であることに気付く人もいます。


また、思春期になると、多くの子どもたちは、異性についての悩み事を親に話すのを避けるようになります。しかし、アスペルガー症候群の女の子は、年頃になっても、話しにくい異性についての悩み事でも、親によく相談するという特徴があります。


それでは、女性のアスペルガー症候群の特徴をより具体的に知るために、男性のアスペルガー症候群との年代別の違いについて、次に一緒に見ていきましょう。

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アスペルガー症候群の女性と男性の特徴の違い


アスペルガー症候群の女性と男性の特徴を、年代別に分けて、まとめてみました。(出典:女性のアスペルガー症候群)


幼 児 期
【女性】 
おままごとのイラスト
  • 目が合いにくい・感覚過敏がある。
  • 自分の世界でのごっこ遊びはできるため、アスペルガー症候群の典型例には見えない。
  • 検査しても、診断されない場合がある。
【男性】

  • 男の子は幼児期に友達とうまく遊べない。
  • アスペルガー症候群の典型的なパターンをたどる。

小学生時代
【女性】  
アスペルガーの小学生女子
  • 一見おしゃべりだが、会話がすれ違い、友達が増えにくい。
  • 目が合いにくい、感覚過敏があることに加えて、徐々に女子のグループに入れないことが目立ってくる。
【男性】 

  • グループに入れないというより、そもそも人間関係がつくれない。

中学生・高校生時代
【女性】 
女子高生の体調不良A
  • 体調不良が目立ちはじめる。
  • 思春期に入ると、女子のグループに入れないだけでなく男子との付き合いが苦手で悩む。
  • 家族や友達に女性らしさの不足を指摘される。
【男性】 

  • 中学校・高校では集団行動に悩むが、体調不良をうったえることは少ない。

大学生・社会人時代
【女性】 
不眠症のイラスト
  • 対人関係の悩みも体調不良も、深刻になってくる。
  • 不眠などの睡眠障害や月経時の不定愁訴に苦しむ。
  • 性的な被害にあってしまう場合がある。
【男性】 

  • 就職が最大の悩みとなる。
  • 仕事がうまくいかず、職場を転々とする。

結婚・出産のとき
【女性】もやもや夫婦 

  • 慢性的な体調不良に悩んでいる。
  • 対人関係の悩みは、夫婦関係のこじれや、育児への戸惑いとなる。
  • 子どもが発達障害の診断を受けることで、自身の特性に気づく場合も多い。
【男性】 

  • 結婚後、夫婦関係がこじれやすい。
  • 育児にあまり関心をもてない人もいる。


では、アスペルガー症候群の女性は、どんな事に悩み生きづらさを感じるのかを、次に見ていきましょう。

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アスペルガー症候群の女性は、人間関係にもっとも悩む

相手の気持ちを読むことが苦手なアスペルガー症候群の人は、男女共に対人関係で悩むことが多くあります。特に女性の場合は、男性よりも、より深く複雑な人間関係になりやすいので、その分、悩みも深くなります。


◆ガールズトークについていけない


ガールズトーク女子高生のイラスト

アスペルガー症候群の女性は、恋愛やファッションなど、女性同士の他愛ないおしゃべり「ガールズトーク」が苦手です。

人に合わせることが苦手なアスペルガー症候群の女性にとって、友達の話を聞くことはできますが、自分の興味のない話は、つまらなく楽しめません。反対に、自分の興味のある話題だと一方的に話しすぎてしまいます。

また会話の流れにそって、受け答えをすることはできますが、スピードが遅いため会話がはずまず、話も盛り上がりません。

対 応 策
アスペルガー症候群の女性は、上手におしゃべりしようと思うと、余計プレッシャーになり苦しくなります。おしゃべりは苦手だと自覚して、ガールズトークに深入りしないようにしましょう。

ガールズトークがうまく出来なくても、友達をつくることは出来ます。おしゃべりに役立つ具体的なスキルをいくつか身につけて、そこそこの会話ができればいいと気楽に考えることが大切です。

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◆悪気がなく言った言葉が友達を怒らせてしまう


アスペルガー女子いじめに悩む
人とのコミュニケーションを苦手とするアスペルガー症候群の人は、悪気がなく言った言葉が相手を怒らせてしまうこともあります。でも、なぜ相手が怒っているのか、その理由が分かりません。

またアスペルガー症候群の人は、人の表情から相手の気持ちを読み取ることが苦手です。そのため、相手の怒りに気付きにくく、自分で気付かないうちに相手に嫌われて、いじめられる場合もあります。

暗黙の了解や冗談、皮肉、慣用句(顔から火が出る、骨が折れる)などを察することも難しいため、相手の話がよく理解できません。

対 応 策
友達や先生に怒られて、その理由が分からないときには、家族に状況を話して解説してもらいましょう。その積み重ねによって、社会のマナーやルールを覚えていくのです。

人と話すときの距離のとり方、チビ・デブなど相手に言わないほうがいい言葉、公私の違いで話し方や態度も変わることなど、家族が一覧表などを作って、分かりやすく教えてあげることが大切です。

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◆突然泣き出したりパニックになって周囲を困惑させる


フラッシュバックで号泣するアスペルガー女子

アスペルガー症候群の人は、突然前ぶれもなく過去のつらい記憶を思い出す「フラッシュバック」現象を起こすことがあります。そんな時、アスペルガー症候群の女性の多くは、唐突に泣き出したり、何も手がつかなくなり呆然となります。


フラッシュバックとは
  • フラッシュバックは、過去のつらい記憶がトラウマとなって起きる現象。
  • アスペルガー症候群の人は、脳の機能障害があるため、記憶の残り方にかたよりがあることが原因となりフラッシュバックが起きる。


特にきっかけもなく、突然、何年も前のことを生々しく思い出し、本人は過去のつらさを再体験して苦しみます。しかし、周囲の人たちは、そのつらさをなかなか理解できません。

対 応 策
アスペルガー症候群の人は、感情の処理が苦手なため、トラウマが残りやすくなります。そのため、つらい記憶が残らないように、人よりも多く休憩をとって感情を処理する時間を持ったり、ストレスを減らすために人付き合いを減らすことも大切です。

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◆男性にだまされ性的な被害にあう


だまされるなアスペルガー女子
多くの女性は、年頃になると男女の付き合いの機微を、周囲の人たちから学んだりテレビや映画などから自然と身につけていきます。

しかし、アスペルガー症候群の女性の場合、そのような年齢相応の社会性がなかなか身につきません。

そのため初対面の男性に「食事をおごる」といわれて、言葉をそのまま鵜呑みにして性的な被害にあうケースもあります。

また、自分はその気がないのに、男性に誤解を与える行動をして、男女の付き合いになってしまいショックを受けることもあります。

対 応 策
異性との付き合いに関しては、男性がなぜ女性に声をかけてくるのか、どういう行動が男性に誤解を与えるのかなど、家族によく相談をして教えてもらいましょう。

また家族も、男女の付き合いのことだからといって本人まかせにしないで、男性からの誘いを断る方法や危険な場所に行かないなど具体的に詳しく教えてあげましょう。

性被害にあわないための対策を文章にしておくなど、家族全員で性被害の危険性を学ぶことが、アスペルガー症候群の女性を守ることに繋がります。

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女性のアスペルガー症候群は、体調不良に悩む

体調の悪いアスペルガー女性
男性のアスペルガー症候群の場合は、体調不良が問題になることはあまり多くありません。しかし、女性のアスペルガー症候群の場合には、体調不良が主要な悩みとなります。

女性のアスペルガー症候群に多い体調不良は…

  • 睡眠障害(不眠・寝起きの悪さ)
  • 吐き気・腹痛・便秘・下痢
  • 朝起き上がれないほどの疲労感
  • 原因不明の発熱
  • 月経前症候群が重くなりやすい


アスペルガー症候群の女性には、自律神経失調症のような身体症状がよくみられ、体質的に神経系の機能不全が起こりやすいようです。こだわりの強さから、摂食障害になるケースも見られます。

また、アスペルガー症候群の女性は、視覚・聴覚などの感覚のアンバランスのストレスから心身症をひき起こすこともあります。


感覚のアンバランス
  • 普通の光でも目を開けていられない程まぶしく感じる。
  • 赤ちゃんの泣き声や大声を苦痛に感じる。
  • 雑音が気になって会話や仕事に集中できない。
  • いろいろなニオイが入り混じってる人混みなどに行けない。
  • 食べ物の好き嫌いが激しい。
  • 体に触れられるのが苦手。
  • 暑さや寒さに鈍感。
  • 怪我をしても痛みをあまり感じない。


アスペルガー症候群の人は、男女共に、日常生活のさまざまな場面で、生きづらさを感じながらストレスの多い生活を送っています。

そのため、周囲の理解や支援を得られないと、ストレスが原因で、二次障害(うつ病、強迫性障害、統合失調症、摂食障害、心身症、対人恐怖、ひきこもりなど)を引き起こすことがあります。

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女性のアスペルガー症候群は、どこで診断を受けられるか

カウンセリングのイラスト
女性のアスペルガー症候群の人は、最初は体調不良を訴えて、内科や婦人科を受診する人が多いようです。

しかし内科や婦人科では、体の不調だけを診てアスペルガーの特性から起きる体調不良であることに気付かれないため、なかなか良くなりません。


女性のアスペルガー症候群の診断・治療は…

  • 中学生ぐらいまでなら → 児童精神科
  • 高校生や大学生、社会人なら → 精神科・心療内科

発達障害に詳しい専門医を探すことがポイント!



アスペルガー症候群は、圧倒的に男性に症例が多く、医療の現場でも、女性のアスペルガー症候群の症例は、あまり知られていません。そのため、女性の場合は、なかなか正しい診断が得られないこともあります。

さらに、大人のアスペルガー症候群の診断は、精神科・心療内科の領域になりますが、残念ながら、大人の発達障害を診断できる専門医は少ないのが現状です。

そのため、女性のアスペルガー症候群は、見過ごされることも少なくなく、専門医がいない医療機関では、心身症、統合失調症、境界性パーソナリティ障害、強迫性障害、うつ病などと別の診断をされるケースもあります。

チェック印
大人が医療機関にかかる場合には、事前に大人の発達障害を診てもらえるかどうかを確認したほうがいいでしょう

専門医を探す場合には、各都道府県に設置されている「発達障害者支援センター」に相談して紹介してもらうか、あるいは、自治体や保健所、精神保健福祉センターなどで紹介してもらえる場合もあります。

アスペルガー症候群の生きづらさの改善には、特性への配慮が不可欠なので、正しく診断されないと悩みの改善には繋がりません。


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おわりに

アスペルガー女性の未来への希望

アスペルガー症候群は、1944年にハンス・アスペルガーという小児科医によって最初に報告されました。アスペルガーは、数名の男子に同じ特徴を見出し、論文にして発表し、のちにそれがアスペルガー症候群と名付けられました。

つまりアスペルガー症候群は、最初から男子の特徴をまとめたもので、女子の特徴はあまり知られていませんでした。


アスペルガー症候群は、男性が女性の数倍多いとされてきましたが、その後、女性のアスペルガー症候群の研究が進み、男女で特性の表れ方が違うのではないかという説も出てきました。

今後、アスペルガー症候群の性差による特性の違いの研究が進めば、女性のアスペルガー症候群が見過ごされることなく、今よりもっと適切な対応と支援が受けられるようになるかもしれません。



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参考書籍
  • 女性のアスペルガー症候群 どんぐり発達クリニック院長 宮尾益知著
  • 図解 よくわかる大人のアスペルガー症候群 上野一彦・市川宏伸著



4 Responses to “アスペルガー症候群の女性の特徴 男性との違いと悩み解消のコツ”

  1. Fマキ より:

    これを読めて良かった。
    私の娘はまさにこれです。でも、男性の特徴はほぼなく、周りからは普通にみられ、またそれがさらに彼女のいきづらさを増幅している。
    印刷して読ませます。

    • poteto より:

      Fマキ様

      とてもありがたいコメントをくださり、本当にどうもありがとうございます。

      ほんの少しでもお役に立てたなら、これ以上嬉しいことはありません。

      優れた能力を持ちながら、周囲の誤解によって日々生きづらさを感じながら暮らしていらっしゃるアスペルガーの女性たちに、もっと楽に生きられるようになっていただきたい、今よりもっと輝いて生きられるようになれることを伝えたい、その一心で、宮尾先生の著書をご紹介させていただきました。

      お嬢様のこれからの人生が、今よりもっと楽に生きられるようになりますことを心から切に願っています。

  2. 松ちゃん より:

    今の職場にアスペルガーかなって思う中年の女性がいます
    不向きな職場での仕事で周りが随分迷惑しています
    接客業務での仕事で臨機応変に対応をしていかなくてならず結局中途半端の仕事をしている毎日です❗
    こだわりが強く間違って覚えていても訂正する事もなく迷惑しています。
    どこにも異動させられないからいいえ引き受ける場所がない現在
    本人は自覚がありません。毎日がストレスフルな毎日です
    適正にあった仕事につくことは本人にとって一番大事な事だと実感している毎日です
    接客業でありお客様があっての職場です
    色々と考えさせられる日々です

    • poteto より:

      松様

      コメントどうもありがとうございます。

      接客業という人一倍神経を使われる職場の中で、アスペルガーと思われるその女性の仕事のフォローも加わり、松様も相当ストレスが溜まってることと思います。

      松様のおっしゃる通り、アスペルガーの方にとって臨機応変に対応しなければいけない接客業は、かなり混乱するお仕事だろうと思います。

      その女性も、アスペルガーというはっきりとした自覚はなくても、おそらく今までの人生のさまざまな場面で、周囲との違和感を感じながら悩んでこられたのではないかと思います。

      ひょっとしたら、過去に医療機関を訪れたことがあるのかもしれません。でも、女性のアスペルガーの場合、見過ごされることも多いので、専門医でないと正しく診断されることは難しいかもしれません。

      個人の適正にあったお仕事に就くことは、ご本人だけでなく同じ職場の方々にとっても、とても重要なことですよね。

      アスペルガーの方の場合、適正にあったお仕事につくと、優れた戦力になります。

      貴重な体験談をお寄せいただき本当にどうもありがとうございます。松様のコメントを拝見して、私もとても考えさせられました。

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