日焼けによる水ぶくれの処置 痛みがなく早く治る対処法


日焼け後の水ぶくれの画像(腕)

sunburn blisters by Krista flickr

ひどい日焼けをした後に、背中や肩、腕などに水ぶくれができると、どう処置したらいいのか迷うこともありますよね。

水ぶくれができるほどの日焼けはⅡ度の熱傷(ヤケドのこと)になりますが、熱傷・外傷の治療といえば「湿潤療法」が有名です。

湿潤療法((うるお)い療法・モイストヒーリングとも言う)は、従来の治療法と比べて「痛くなく早く治る画期的な治療法」として取り入れてる病院も増えています。

私も日焼けやヤケド、すり傷、湿疹など自宅で湿潤療法で治していますが、とにかく処置が簡単で、痛くなく早く治せるので助かっています。

ところで、日焼け後にできた水ぶくれは、つぶさないほうがいいと書かれてあるサイトが多いですよね。調べてみたところ、水ぶくれをつぶすか、つぶさないかの判断は専門医によっても異なるようです。

そこで湿潤療法の生みの親である夏井睦医師に、日焼け後の水ぶくれは潰したほうがいいのかどうかメールで問い合わせてみました。では、早速その内容をシェアしますね。

スポンサーリンク


日焼けによる水ぶくれは、つぶす?つぶさない?

日焼けによる肩の水ぶくれの画像
Sunburn blisters by Axelv Wikipedia

夏井医師によると…

  • 直径 2cm 以上の水ぶくれは全てつぶす
  • 小さな水ぶくれ(水疱液がほとんどない水ぶくれ)は、つぶさない

直径 2cm 以上の水ぶくれは、潰さないと水ぶくれの中の水疱液が細菌の培養液になってしまい、細菌感染の原因となります。

詳しくは夏井医師のHP(新しい創傷治療 http://www.wound-treatment.jp/)に載っていますが、簡単に説明すると…

  • 水ぶくれの中の液体(水疱液)には、皮膚の炎症を修復するために必要な栄養分が含まれている。

  • 細菌の側から見ても、水疱液はタンパク質が豊富なので絶好の培地になる。

  • しかも細菌が安定して増殖するためには、流れがなく静止した環境がいい。(例:流れる川の水は腐敗しないが、澱んだドブの水は腐敗する)

  • 水ぶくれの中の水疱液は「流れ」がない澱んだ状態なので細菌は安定して増殖できる。

  • そのため細菌感染を起こさせないためには、この細菌増殖の場(澱んだ浸出液)を除去するしかない。

  • ただし、水疱液がほとんどない水ぶくれ(小さな水ぶくれ)は除去しなくてよい。

スポンサーリンク


ということで、湿潤療法では日焼け後に水ぶくれができたとき、水ぶくれが直径 2cm 以上の場合は全てつぶし、水疱膜もきれいに取り除きます。

ただし、水ぶくれを破ってそのままにしておくと、乾燥して痛みが生じてくるので、湿潤療法でケアしなければいけません。

では、痛みを感じないで日焼け後の水ぶくれを治すには、どうしたらいいのでしょうか。

次に、「日焼けによる水ぶくれが小さい時」と「水ぶくれが 2cm 以上の時」に分けて、湿潤療法による水ぶくれの具体的な処置について一緒に見ていきましょう。


◆日焼けによる水ぶくれが小さい時の処置

日焼け後の腕の水ぶくれの画像
小さな水ぶくれが狭い範囲にできている程度なら、白色ワセリンを塗ったラップかプラスモイスト(キズにくっつかない創傷被覆材(そうしょうひふくざい))で(おお)います。

そして、ずれないように周囲をサージカルテープなどで留めます。サージカルテープは日焼けしてない皮膚に貼ってくださいね。

夏場はアセモができないように、ラップは1日数回取り替えます。プラスモイストの場合は、吸水性に優れているので、入浴時などに1日一回交換するだけでOK。交換時には、患部を流水で洗います。ただし、消毒液はつけてはいけません。

スポンサーリンク


使用する軟膏は、白色ワセリンかプラスチベースのみ。白色ワセリンは薬局・ネット通販で安く手に入ります。プラスチベースは病院での処方になりますが、違う商品名で同じ成分の市販品(プラスチクリームなど)も出ています。

白色ワセリンは温度が低いと硬くなり、温度が高いと柔らかくなりますが、プラスチベースは温度変化による影響をあまり受けません。そのため、プラスチベースは常に柔らかさが一定で伸びがいい点が特徴です。


オロナインH軟膏はNG!
ラップに塗る白色ワセリンが手元にないからといって他の軟膏(たとえばオロナインH軟膏など)で代用することは、絶対にやめましょう。

オロナインH軟膏のような消毒薬を含んでいる軟膏は、細菌を殺すだけでなく自分の傷口の細胞も殺してしまうので、痛くなったり治りが遅くなったりします。


日焼け後に、痛みやかゆみで辛い時には、湿潤療法の基本を頭に入れて処置すると、痛みやかゆみが和らぎますよ♪

湿潤療法の基本のイラスト
【湿潤療法の基本】

  • 消毒しない
  • ガーゼを当てない
  • 乾かさない

スポンサーリンク


◆日焼けによる水ぶくれが 2cm 以上の時の処置

日焼け後に肩にできた水ぶくれの画像
Minging by Trixie Karinski flickr

水ぶくれが 2cm 以上だったら、水ぶくれを破って水疱膜(水ぶくれの皮)をハサミなどできれいに除去します。

中途半端に水疱膜を残すと、そこで細菌が繁殖して化膿する原因になります。なお、水疱膜には神経は分布していないので、ハサミで切っても痛みは感じません。

そして白色ワセリンを塗ったラップかプラスモイストで患部を覆い、ずれないようにサージカルテープでとめます。

水ぶくれが背中や肩などにできていて、サージカルテープでとめても寝ている間に、ずれてしまいそうな時には、その上から「ネット包帯」を使ったり、体にピッタリサイズのTシャツなどを着て、ずれないようにしましょう。

ネット包帯のイメージ画像
◆楽天市場でも背中用や脚用など色々なネット包帯が販売されています


ラップやプラスモイストを交換する際、新たな水ぶくれができていたら必ず除去します。

ラップ(またはプラスモイスト)の交換を続け、水ぶくれの部分が乾燥して、つるつるした皮膚で覆われたら治療終了です。その後3ヶ月間くらいは、患部を直射日光に当てないように気をつけます。

交換の頻度は、夏ならラップの場合は1日数回、プラスモイストの場合は1日一回交換します。ただし、患部からの浸出液が流れ出てきたときには、その都度交換します。

スポンサーリンク


ラップとプラスモイストとの違い
プラスモイストとは、夏井医師と瑞光メディカル(株)が共同開発した湿潤療法に使う被覆材のことです。プラスモイストは病院でも使われており、キズにくっつかないので()がす時に痛くありません。

価格の面では白色ワセリンを塗ったラップが安いです。ただし、夏場は汗をかくので、ラップの場合は頻回に交換・洗浄しないと、アセモやかぶれなどの皮膚トラブルが起こりやすくなります。

その点、プラスモイストは吸水性に優れているので、皮膚トラブルが起こりにくく、ラップのように頻回に交換しなくていいので楽です。

プラスモイストの使用画像
プラスモイストには、「プラスモイストP」と「プラスモイストTOP」など色々な種類があります。

念のためプラスモイストを販売してる瑞光メディカル(株)に問い合わせて確認したところ、日焼け後のケアとして使うには、「プラスモイストP」が向いてるとのことでした。

プラスモイストPには、大きさの違いで、さらにプラスモイストP1(200mm×250mm)とプラスモイストP3(125mm×125mm)の2種類があります。

プラスモイストは、日焼けだけでなく色々な傷の治療に使えるので、ご家庭に常備しておくと便利ですよ。

◆プラスモイストの楽天市場での販売状況はこちら

ヤケドや怪我はいつ遭遇するか分からないので、我が家は白色ワセリンとハイドロコロイド包帯とプラスモイストの3点は常備しています。

スポンサーリンク


◆こんなときには病院を受診しよう!

日焼け後の酷い水ぶくれの画像B
水ぶくれの状態が、次のようなときには病院を受診しましょう。

  • 水ぶくれが大きいとき(大よその目安で5cmを超える水ぶくれ)
  • 個々の水ぶくれが小さくても、広い範囲にできているとき
  • 自分で湿潤治療をしたが、翌日になって痛みや腫れがひどくなったとき

痛くない治療をお望みの方は、湿潤療法を行なってる病院を探して行かれたほうがいいと思います。

私は最初何も考えないで近くの病院に行ったところ、そこの病院は湿潤療法をまだ取り入れていない病院だったため、その後、激痛地獄を味わいました(>_<。)

湿潤療法を行ってる病院をご希望の方は、★熱傷の湿潤治療をしている全国の医師をご参考になさってください。

スポンサーリンク


湿潤治療が痛くない理由

日焼けによるsuntanで水着跡が残った女性
Tan by Evil Erin flickr

日焼けによる炎症で、肌が赤く腫れてヒリヒリしたり水ぶくれができたり、かゆみが出たときに湿潤療法でケアをすると、痛みやかゆみが和らぎます。

紫外線は皮膚を乾燥させます。日焼けで痛みを感じるのは、患部が直接空気にふれて乾燥することによって痛みが起きます。

そこで白色ワセリンを塗ったラップや被覆材で痛い部分を覆えば、乾燥による神経の刺激がなくなり、その結果、痛みやかゆみが和らぐのです。

スポンサーリンク


白色ワセリンで油焼けする?

白色ワセリンで油焼けするの?
白色ワセリンは油焼けの原因になるのではないかと心配する人がいますが、現在使われてる白色ワセリンは不純物がほとんど含まれていないので、その心配は要りません。

一昔前に使われていた黄色ワセリンには不純物が多く含まれていたため、その不純物が紫外線によって酸化を起こしたり皮膚トラブルを発生させていたようです。

しかし、白色ワセリン自体は人体と反応しないため、舐めても目に塗っても何も反応が起きません(参考:夏井医師のHP)。ということで、現在販売されてる白色ワセリンは純度が高いので、油焼けの心配はまずありません。


白色ワセリンは精製度の違いにより色々な種類がある
白色ワセリンの色々な種類の画像
→ ◆白色ワセリンの種類と値段のチェックはこちら◆

白色ワセリンは、丸い容器に入ってる白色ワセリンの他に、チューブタイプの白色ワセリンソフトやベビーワセリン(健栄製薬)などがあります。

ちなみに健栄製薬に問い合わせてみたところ、白色ワセリンソフトとベビーワセリンは、通常の白色ワセリンより更に精製度を上げた製品なので、柔らかくて伸びがよく赤ちゃんにも使えるとのことでした。

スポンサーリンク


また商品名は違いますが、白色ワセリンを精製して不純物を少なくしたのがプロペト(市販品はプロペトホーム)、さらにもっと精製して純度をより高めたのがサンホワイトです。

サンホワイトは純度が高い分、お値段も高くなりますが、柔らかくて伸びがよく、べたつき感も白色ワセリンほどないので乾燥肌のスキンケアとして愛用してる人もいます。ちなみに、私も使っています。

精製度でいうと、下記のような順番になります。白色ワセリンは純度が高くなればなるほど、柔らかくなり伸びがよくなります。

白色ワセリン・黄色ワセリン・プロペト・サンホワイトの精製度の違い
日焼け後は、特に皮膚が乾燥しやすくなるので、水ぶくれが治った後も、お肌が乾燥しないように、白色ワセリン、プロペト、サンホワイトなどでケアするといいですよ♪


おわりに

日焼け後の皮むけ画像A
Sunburn by thinboyfatter flickr

水ぶくれができる程の日焼けは、皮膚にかなりのダメージを与えます。紫外線を大量に浴びると体内には大量の活性酸素が発生します。

この活性酸素は、シミやしわ、たるみ、皮膚ガンの原因になります。この厄介な活性酸素を消去してくれるのが抗酸化成分です。

そのため日焼け後は、抗酸化作用の高い成分(ビタミンA・C・Eやポリフェノール、カロテノイドなど)を含む食品を、積極的に摂るようにしましょう。そして皮膚の修復を早めるためにも睡眠は十分とってくださいね。

スポンサーリンク


参考書籍
  • 傷はぜったい消毒するな 夏井睦著
  • キズ・ヤケドは消毒してはいけない 夏井睦著
  • 痛くない!早く治る!キズ・ヤケドは消毒してはいけない 夏井睦著
  • スキンケアの正解 吉木伸子著




コメントを残す

CAPTCHA



サブコンテンツ

このページの先頭へ