子供の日焼け後の処置と予防対策!肌の赤みや痛みを早く治す方法


兄弟のプールでの日焼け画像
子供の日焼けは、湿潤(しつじゅん)療法で処置すると、ヒリヒリした肌の痛みがすぐに治まり、皮膚の赤みも早く治せますよ。

実は、私は長年湿疹に悩まされていて、皮膚が赤く腫れてヒリヒリ痛んで困ってたんです。それが湿潤療法に出会い、試しにやってみたところ嘘みたいに治ってしまいました。

それ以来、日焼け後やヤケド、切り傷など、湿潤療法で処置していますが、とにかく痛くないし早く治せるし、お金もさほどかからないので凄く助かっています。

日焼けは紫外線によるヤケドですが、湿潤療法はヤケドなどの熱傷治療には、特にオススメの治療法です。

そこで今回は、湿潤療法での子供の日焼け後の処置と、子供に日焼けさせないための効果的な紫外線対策、さらに子供の日焼け対策がなぜ大切なのか、この3点について取り上げてみました。

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湿潤療法での子供の日焼け後の処置

笑顔でシャワーを浴びる子供の画像
湿潤療法での日焼け後の処置
  1. 水かぬるま湯のシャワーで、日焼けした肌の汚れを落とす
  2. 水気をふき取る
  3. 日焼けした皮膚に白色ワセリンを塗り、その上からラップを貼る
  4. ラップが、ずれないように固定する


湿潤(しつじゅん)療法のやり方は簡単です。

まず、水道水かシャワー(水かぬるま湯)で、日焼けした部分を軽く洗い流し、汗や砂ぼこりなどの汚れを落とします(汚れていなければ、省いてOK)。

日焼けした皮膚の部分は、炎症を起こしているので、ごしごしこすらずにシャワーで優しく洗い流します。この時、石鹸やボディーソープは使わないようにしましょう。

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ただし、日焼け止めでベタベタしていたら、その部分だけ固形石鹸を泡立てて、そっと優しく洗い流します。

ボディーソープやシャンプー剤などは、合成界面活性剤が入っているので肌を乾燥させてしまいます。合成界面活性剤は、日焼けで炎症を起こした皮膚の細胞を壊してしまうので、できれば使わないほうがいいです。

でも、シャワー時に、髪の毛をお湯だけで洗うのは、どうしても抵抗があるという場合には、シャンプー剤がヒリヒリ痛んでる皮膚に付かないように、または付いてしまった場合には、よく洗い流すようにしましょう。


ラップと白色ワセリンとサージカルテープの画像
次に、水気をふき取り、日焼けした皮膚に白色ワセリンを塗り、その上からラップを貼ります。ラップは日焼けした皮膚の部分より、やや大きめサイズに切って、周囲をサージカルテープなどでとめます。

顔や鼻の頭などラップを貼りにくい部分には、白色ワセリンを何度も塗ります。

ラップを貼るのは、日焼けした皮膚が直接空気に触れないように湿潤状態に保つためです。なのでラップを貼れないときには、代わりに白色ワセリンを何度も塗り直し、患部が乾燥しないようにします。


白色ワセリンは油焼けするのではないかと心配する人もいますが、現在売られてる白色ワセリンは油焼けの心配は要りませんのでご安心なさってください。


鼻の頭など日焼けした部分の面積が小さい場合は、ハイドロコロイド被覆材(ひふくざい)(商品名:ハイドロコロイド包帯やキズパワーパッドなど)を貼ってもOK。ハイドロコロイド被覆材は、吸着性があるのでサージカルテープは不要です。

半日ほどしてラップやハイドロコロイド被覆材を()がし、赤みがなくなりヒリヒリ感もなくなっていれば治療終了です。

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もし、まだ赤みが残っていたりヒリヒリ感があれば、患部を水かぬるま湯の流水で洗い流し(アセモができないように)、再度同じように白色ワセリン+ラップか、ハイドロコロイド被覆材を患部に貼ります。

夏場はアセモができやすいので、白色ワセリン+ラップの場合は、1日2~3回交換し、ハイドロコロイド被覆材の場合は、1日一回入浴時などに交換します。交換時には、患部を流水で洗い流します。

よほど酷い日焼けでなければ、たいていはこの方法で処置すれば半日ほどで良くなります。日焼けをしてしまって皮膚がヒリヒリ痛い状態でも、湿潤療法で処置すると、痛みが瞬時になくなり、かゆみも和らぎます。


なお、水ぶくれができるほどの酷い日焼けの場合には、こちらをご参考になさってください。↓

チェックのピンクのイラスト
熱湯でヤケドした時には、すぐに冷たい水で冷やしますよね。この時の痛みは熱が原因なので、すぐに冷やします。日焼けも、紫外線によるヤケドなので、日焼けした後は、よく冷やすことが大切です。

なので日焼けが予想される海水浴やプールのあとは、ただちに水道水か冷たいシャワーで全身を冷やしておくと、その後の日焼けの症状を軽くすることができます。

しかし、そうはいっても海水浴の後は、そのまま家に帰り、後になって肌が赤くなってから日焼けに気付くパターンがほとんどですよね。ただ、この時には、もう冷やす処置は不要です。

日焼けで皮膚が赤くなってヒリヒリ痛んだり、水ぶくれを作る反応は「サンバーン」と呼ばれ、急激に大量の紫外線を浴びてから数時間経過してから起こります。

サンバーン・サンタンの図解A

数時間経過してからのサンバーンによる皮膚の痛みは、もはや熱が原因ではありません。患部が直接空気に触れて乾燥することによって痛みが起きるので、この時には、もう冷やす処置は要りません(参考:新しい創傷治療)。

汚れだけ洗い流したら、あとは白色ワセリン+ラップの処置をすればOKです。

使用する軟膏は白色ワセリンかプラスチベースのみ。(白色ワセリンは純度の違いにより、白色ワセリン、ベビーワセリン、プロペト、サンホワイトなど色々な種類が販売されています)

ただし、オロナインH軟膏のように消毒薬を含んでる軟膏は、痛くなったり治りが遅くなるので使わないようにしましょう。

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また、「カーマインローション」は肌のほてりを鎮めるので、日焼け後に使う人もいると思います。しかし、カーマインローションは、日焼けで炎症を起こした皮膚をかえって乾燥させてしまうので、日焼け後の保湿としては不向きです。

さらに病院で、保湿剤として「ヒルドイド」という塗り薬を処方されることがあります。ヒルドイドには、「ヒルドイドソフト」という軟膏、ローション、クリームの3つのタイプがあります。

私も湿疹ができて皮膚科に数年間通ってた時に、このヒルドイドソフト軟膏を保湿剤として処方されていましたが、全然治りませんでした。

実は、このヒルドイド、保湿剤どころか皮脂も溶かす作用があり、皮膚の乾燥を悪化させるものなので、日焼けの炎症がひどい時などに塗ると、強烈な痛みや痒みに襲われます。

湿潤療法の生みの親である夏井医師は、ヒルドイドは保湿剤ではなく乾燥剤なので、乾燥肌やアトピーの人は絶対に使わないようにと仰っています。

日焼け後の肌は乾燥しているので、保湿することが大切です。ヒルドイドは病院で処方されても、保湿剤ではないことを覚えておきましょう。

では次に、子供に日焼けさせないための紫外線対策について一緒に見ていきましょう。

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子供を日焼けから守るための紫外線対策

水遊びする子供たちの画像
子供がうっかり日焼けしてしまったら、冷やしたり保湿することで日焼け後の痛みは抑えることができます。

しかし、一度浴びてしまった紫外線の影響は消すことができません。紫外線の影響の本当の怖さは、子供が大人になってから表れます。

親御さんの紫外線に対する知識と対策が、わが子の将来の健康を大きく左右するかもしれません。


日本では環境省が、日焼け対策として下記の6つを推奨しています。

<日焼け対策>

  1. 日焼け止めを上手に使う。
  2. 紫外線の強い時間帯の外出を避ける。
  3. 日陰を利用する。
  4. 帽子や日傘を活用する。
  5. 衣服で覆う。
  6. サングラス(紫外線カットメガネなど)を利用する。
 

では、一つずつもう少し詳しく見ていきましょう。

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1 日焼け止めを上手に使う


子供にはどんな日焼け止めがいいのか、お母さんとしては迷いますよね。大人と違って子供の肌はデリケートなので、紫外線の防止効果だけで日焼け止めを選ぶと、皮膚トラブルを起こしやすくなります。

子供の日焼け止めには、できるだけ肌に優しいものを選ぶようにしましょう。

<子供の日焼け止めを選ぶ時のチェックポイント>

  • 紫外線散乱剤配合(ノンケミカル、紫外線吸収剤フリーと表示)のもの
  • SPFは 20 以下、PA + ( + は1つ)のもの
  • 石鹸で洗い落とせるもの
  • 無香料・無着色・低刺激のもの

どんな日焼け止めでも、子供によってはアレルギーを起こすことがありますので、使用前には必ずパッチテストを行ってくださいね。


パッチテストのやり方
  • 入浴後に、日焼け止めを二の腕の内側の柔らかい部分に適量塗り、24時間様子を見ます。
  • 赤み・かゆみ・腫れが出なければ、次はフェイスラインに再度塗って異常が出ないかどうか確認します。
  • 異常が出た場合には、すぐに洗い流してください。

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<日焼け止めの塗布量と塗り方>

「日焼け止めを塗ったのに、日焼けしちゃった」という場合は、塗る量が少なかったのかもしれません。SPFもPAも、皮膚1cm2に対して2mgの日焼け止めを塗ったときの数値として測定されています。

「1cm2 あたり2mg」を顔の面積におきかえると、クリーム状の日焼け止めなら「パール粒2個分」、液状の日焼け止めなら「1円玉2個分」になります。

しかし実際に私たちが使う量の平均は、この4分の1から5分の1といわれます。そうなると、効果は20分の1から30分の1にまで下がります(参考:新版 今さら聞けないスキンケアの正解)

日焼け止めの塗布量と塗り方の図解
日焼け止めは、説明書に書かれた使用量をしっかり守り、二度塗りし、2時間おきに塗り直し(重ね塗り)するのがベストです。

子供の場合、汗やこすれで日焼け止めが落ちてしまい、塗り直しも大変ですから、なるべく帽子や衣服で保護し、それでも守りきれないところに日焼け止めを使うようにしましょう。

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<子供のスキンタイプを知っておく>

子供の日焼け止めを選ぶときには、お子さんのスキンタイプを知っておくことも大切です。子供の肌と用途にあった日焼け止めを選んであげてくださいね。

<日本人の皮膚タイプ>

タイプⅠ
タイプⅡ
タイプⅢ
肌の特徴
色 白
中 間
色 黒
日焼けのタイプ赤く焼けるだけで、褐色にはならない赤く焼けたあと、褐色になるほとんど赤くならず、すぐに褐色になる
日焼け後の痛み最も起こりやすいやや起こる起こりにくい
日光角化症の起こりやすさ最も起こりやすいやや起こる起こりにくい
紫外線のダメージDNAが傷つきやすいややDNAが傷つきやすいDNAはほとんど傷つかない
皮膚タイプⅠの人が最も紫外線の感受性が高く、リスクも高いです。色白の人は、帽子や日焼け止めでしっかり紫外線の防御を意識することが大切です。(出典:知って防ごう有害紫外線)

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<日焼け止めの成分>

日焼け止め成分には「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の2種類があります。この2種類が単独あるいは組み合わさって作られています。

「紫外線吸収剤」は紫外線を肌上で吸収して熱エネルギーに変えています。紫外線にあたると肌の上で科学変化を起こすため、子供や肌の弱い人は、かぶれを起こしやすく、毎日使うと肌が荒れてしまうこともあります。

一方、「紫外線散乱剤」のほうは、金属や粘土質の粉などで構成されており、肌の上で紫外線を反射します。紫外線散乱剤は、酸化チタンや酸化亜鉛が主体で、紫外線B~A領域まで幅広くカットします。

紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の違い
子供用の日焼け止めには、かぶれなどのトラブルを起こしにくい紫外線散乱剤だけを配合したものが多く見られます。

紫外線散乱剤は、かぶれは起こしにくいものの、塗ると白っぽくなってしまったり肌の乾燥を感じることもありますが、最近では改良が進み、使いやすいものが増えているようです。

大人の場合、強い紫外線遮断力がほしい場合は、紫外線吸収剤入りのほうが効果的です。

しかし、子供用には、紫外線散乱剤のみを使った「紫外線吸収剤無配合」「ノンケミカル」「紫外線吸収剤フリー」と表示された日焼け止めを選んだほうが無難でしょう。

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2 紫外線の強い時間帯の外出を避ける


【時間別の紫外線量】
夏と冬の時刻別UVインデックスの表
1日のうちで紫外線量が多いのは午前10時~午後2時。この時間帯の子供の屋外活動は、できるだけ控えるようにしましょう。

ただし、赤ちゃんの場合は紫外線の悪影響をより受けやすいので、午前9時~午後3時までの日光浴は避けたほうがいいでしょう。


【月別の紫外線量】
月別紫外線照射量のグラフ
4月~9月までは紫外線量が特に多い時期で、この期間は1年間のおよそ70~80%の紫外線が降り注ぎます。


【お天気別の紫外線量】

また、紫外線量はお天気によっても左右されます。太陽が出ていない夜以外は、紫外線は常に注がれており、たとえ大雨で外が暗くても、紫外線は届いています。

快晴時の紫外線量を100%とすると、薄曇りで80~90%、曇りで60%、雨天でも30%の紫外線量が降り注いでいます。

お天気別の紫外線量

雲が比較的多くても、雲の間から太陽光線が注がれてる時は、雲からの散乱光が加わるため快晴の時よりも紫外線量が多くなることがあります。


外出の際には、インターネット上でも公開されているUVインデックスを参考にして日焼け対策を行いましょう。

UVインデックス(紫外線防御指数)とは、人に日焼けを起こす 度合いをわかりやすく示すために、紫外線の強さを数字や色で指標化したものです。

ただし紫外線に対する皮膚の反応は、メラニン色素の量やスキンタイプなどによっても異なりますので、UVインデックスは、あくまでも目安としてお使いください。

●全国のUVインデックス速報


3 日陰を利用する


直射光・反射光・散乱光の図解

屋外にいる時には、日陰を大いに利用しましょう。日陰は、日向(ひなた)の約50%紫外線をカットしてくれます。

私たちが浴びる紫外線は、太陽から直接届く直射光だけでなく、空気中で散乱して届く散乱光や地面などから反射される反射光もあります。

子供が遊ぶ際には、コンクリートの上よりも、芝生や土の上、木陰の多い場所を選ぶようにするといいでしょう。

<紫外線の反射率>

地表面の種類
紫外線の反射率
新 雪80%
砂 浜10~25%
コンクリート・アスファルト10%
水 面10~20%
草地・芝生・土10% 以下
引用:環境省「紫外線環境保健マニュアル2015」 

雪面や砂浜は、紫外線を強く反射するので、日焼けの程度が激しくなります。特に子供は身長が低いので、雪面や砂浜からの反射をより強く受けることになります。スキー場や海辺では、子供の紫外線対策をしっかり行いましょう。


春スキーは日焼けに要注意

雪山での反射光の図
スキー場の場合、冬は太陽高度が低く、直射光は夏の2分の1程度と弱くなります。しかし雪原では、紫外線が80%も反射され、しかも高度が1000m 高くなる毎に、紫外線量は10~12%ほど増加します。

このため、スキー場では、紫外線照射量が多くなり、特に春スキーは、日焼けの程度が激しくなりますので注意が必要です。雪目予防のためにゴーグルを着用して子供の目を守ってあげてくださいね。


4 帽子や日傘を活用する


四方につばのある帽子をかぶった女の子の画像

帽子や日傘は、手軽にできる日焼け対策ですが、子供は動きが活発なので、日傘より帽子のほうが行動しやすいですよね。

帽子の紫外線カット率は、キャップタイプのものより、四方につばのある帽子のほうが紫外線カット率が高く、四方のつばの長さが 7cm のものだと直射光を65%をカットし、つばの長さが 13cm だと直射光の90%をカットしてくれます。

ただし帽子や日傘は、直射光の防御はできますが、散乱光や反射光はあまり防ぐことができません。

つまり反射光が強くなる雪山や砂浜では、帽子や日傘だけでは日焼けを防ぐことができないので、日焼け止めや衣服、サングラスでの防御が大切になります。


5 衣服で覆う


ラッシュガードとゴーグルをつけた子供たちの画像
衣服は、体を(おお)う部分が多いほど紫外線照射量を減らすことができます。

  • (そで)が長い服を選ぶ
  • えり付きのシャツを選ぶ
衣服の布地には、しっかりした織目・編目を持つ生地を選ぶことが大切です。見分け方は簡単で、生地を透かして太陽を見れば分かります。

紫外線対策には、衣服の色は濃い色調で、布目が詰まっている布地(布の織り方は綾織(あやおり)が最適)が望ましいです。ただし、UVカット素材なら色は気にしなくてOK!


夏にふさわしい衣服の色と素材は?
夏場は、紫外線対策だけでなく熱中症対策も考えなければなりません。

たとえば、ポリエステルは紫外線透過率が低く、紫外線をよくカットしてくれますが(紫外線B波のみカット)、吸水性がないので汗を吸い取ってくれません。

一方、夏の定番である綿は、紫外線を通しやすい素材ですが、通気性や吸水性が高く、汗を吸い取ってくれます。そのため熱中症の危険性もある夏場は、綿とポリエステルの両方を使った素材が好ましいということになります。


色については、黒の衣服は紫外線防御効果は高いですが、黒は紫外線だけでなく赤外線も吸収します。赤外線を吸収すると、布は熱をため込み、身体に暑く感じられ熱中症を誘発します。

そのため熱中症の危険性もある夏場は、紫外線カット率の高い色や素材にこだわらずに、屋外でも心地よく過ごせる衣服を選べばOKです。


6 紫外線カット率の高いサングラスやメガネを利用する


サングラスをかけた子供の画像
紫外線は、目にも悪影響を与えます。紫外線は、急性の障害では雪目(雪眼炎)、慢性のものでは白内障や翼状片などの原因になります。

子供の水晶体は透明なので、大人よりも保護が必要です。

目への紫外線曝露は…

  • 帽子の着用だけでは20%しかカットできない
  • サングラスや紫外線カットメガネの着用で、90%カットできる
  • 帽子とサングラス(紫外線カットメガネ含む)を併用すると、なお良い

冬や春のスキー場は、紫外線照射量が多くなることは既に見てきましたが、反射光が多い雪面では、上からも下からも紫外線を浴びることになります。

サングラスは正面からくる紫外線しか防ぎませんから、雪山では四方からの紫外線をカットするためにはゴーグルが最適です。

スキーやキャンプ、海水浴など長時間強い日差しを浴びた日の夜に、突然目の痛みを訴えるお子さんもいます。

長時間強い紫外線を浴びることが予想される時には、サングラスやゴーグル、紫外線カットメガネなどで子供の目を守ってあげましょう。


サングラスやUVカットメガネを選ぶ時の4つの注意点
紫外線カットのサングラス
  1. UVカット率がきちんと表示されてるものを選ぶ

  2. 単に「UVカット」とだけ書かれてあるものは要注意。紫外線透過率または紫外線カット率の数値が、きちんと表示されてるものを選びましょう。

    ガラスレンズは元々紫外線B波はほぼカットできますが、紫外線A波はカットできません。紫外線A波がカットできなければ意味がないので、単に「UVカット」とだけ書かれてあるものは要注意です。

    紫外線透過率数値の低いほうが性能が良い。
    紫外線カット率数値の高いほうが性能が良い。
    紫外線カット率99.9%=紫外線透過率0.1%
    UV400400nm(ナノメートル)以下の紫外線をカット(紫外線A・B共にカット)する。紫外線カット率99.9%や紫外線透過率0.1%と同じ紫外線遮断率を表す。

  3. サングラスを選ぶ時には、あまり黒っぽくないものを選ぶ

  4. 色の濃すぎないサングラスの画像
    レンズの色と紫外線カットの性能とは関係ありません。色の濃いサングラスは、瞳孔がより大きく開くため、紫外線カット効果の不十分なレンズだと、かえって多くの紫外線が目に入り良くありません。


  5. ある程度の大きさを持つメガネで、顔にぴったり合ったものを選ぶ

  6. 紫外線は前からだけでなく四方から入り込みます。小さなメガネや顔にフィットしてないメガネは、四方から入り込む紫外線量が多くなり目を守ることができません。

    サングラスメーカーに問い合わせてみたところ、海・キャンプ用のサングラスを選ぶときには、スポーツタイプのサングラスのほうが四方からの紫外線をカットできる形状のものが多いとのこと。

    スポーツタイプのサングラスは、メガネ店よりもスポーツ店のほうがサングラスの種類が豊富に揃っている場合が多いとのことでした。

    子供のサングラスを選ぶときには、大人と違って目と目の間の距離が違うので、お店で実際に顔に合わせてみて、ある程度の大きさのあるサングラスで、顔にフィットしたものを選んであげましょう。

  7. 子供が転んでも、壊れない強度があるものを選ぶ

  8. おもちゃのようなサングラスは危険ですので避けましょう。

ピンクのふき出し コンタクトレンズは?
コンタクトレンズでも、UVカットするものもあります。しかし、コンタクトレンズは黒目だけで白目の部分はカバーできないことと、コンタクトレンズの薄さの点から見ても、サングラスやUVカットメガネほどの紫外線カット効果は期待できません。

では最後に、子供の日焼け対策は、なぜ大人以上に大切なのか、その理由を見ていきましょう。


子供の日焼け対策は、なぜ大切なのか

海辺で遊ぶ男の子
紫外線が人に与える主な影響は…

  • 日焼けする
  • 目への悪影響(白内障・翼状片・雪目など)
  • 皮膚ガンの原因になる
  • シミ・しわ・たるみの原因になる(光老化)
  • 免疫機能を低下させる


これらの紫外線の影響は、子供だけでなく大人も同様に受けます。

しかし、赤ちゃんや子供は、皮膚が大人よりも薄く、メラニン色素も少ないので、紫外線から守る機能が弱く、大人よりも紫外線によるダメージを受けやすくなります。

また、同じ紫外線量でも、子供時代に浴びた紫外線量が多い人ほど、年を重ねてからの皮膚ガンの発生率が高くなります。

オーストラリアの疫学調査で、0歳~10歳までに強い紫外線を浴びた人は、大人になって皮膚ガンになりやすいことが証明されました。日本は世界の中では皮膚ガン発症率の少ない国ですが、それでも近年、日本人の皮膚ガンは増加傾向にあります。

また子供の頃に、水ぶくれができるほどの強い日焼けを繰り返した人は、皮膚ガンの一歩手前である「日光角化症」になる確率が高いことも分かっています。

強い日焼けをすればするほどDNAが数多く傷つき、修復に間違いが起こりやすくなります。それが長年にわたって繰り返されると、皮膚ガンや白内障になってしまうのです。

子供の頃は、細胞分裂が大人に比べて盛んなので、紫外線で傷ついた遺伝子が間違って修復される確率が高いのです。子供時代の紫外線対策が特に重要だといわれるのは、そのためです。

幼い女の子の画像
さらに、たとえ皮膚ガンや白内障にならなくても、子供時代の日焼けは、皮膚の老化を早めるという害があります。

赤ちゃんの皮膚は柔らかくて、すべすべしていますよね。それに対してお年寄りの皮膚は、シミや深く刻まれたしわが沢山あります。

お年寄りには、シミやしわが沢山あって当たり前と思われがちですが、衣服に覆われているお尻や太ももの内側などの皮膚には、シミや深いしわが、ほとんど見られません。細かいしわが見られるだけです。

この細かいしわこそ真の老化によるしわで、皮膚が萎縮して薄くなるためにできたものです。私たちが皮膚の老化と思い込んでるシミやしわの多くは、実は紫外線の影響によるものなのです。正しくは「光老化」と呼ばれる皮膚の変化です。

子供の頃の日焼け予防は、大人になってからの肌の老化を防ぐのに役立ちます。

海に入って遊ぶ子供たち
さらに、日焼けした後は、免疫機能が低下することも覚えておきたいことです。海水浴などで日焼けした後に、口唇のまわりにヘルペスが出ることがよくあります。

このヘルペス(単純ヘルペスⅠ型)は、体の免疫力が落ちた時に出ます。若年では夏に太陽をたっぷり浴びた時に出ますし、年をとると風邪や過労の時に出ます。

また、海水浴や強い日差しを浴びた後に、体がだるくなって、どっと疲れを感じることがありますよね。しかも翌日になっても、なかなか疲れが取れない。このような症状は、紫外線による免疫力低下によるものです。

水遊びする男の子の画像
ただ紫外線は悪い影響ばかりではなく、特に紫外線B波はビタミンD3の合成に役立ちます。

ビタミンD合成のためには、短時間の日光浴が必要ですが、それじゃ、「どのくらいの時間、日光浴をすればいいのか」は、住んでる地域や季節によっても異なりますし、肌のタイプによっても違ってきます。

最適な紫外線量は、人それぞれ違いますが、紫外線に対する正しい知識を身につけ、紫外線の浴びすぎに気をつけながら上手に紫外線と付き合っていくことが大切です。

ちなみにビタミンDは、サプリメントを利用することでも摂取できます。


おわりに

母と幼い娘の親子の風景
子供が日焼けをしたら、1.冷やす、2.保湿で、日焼け後の痛みやかゆみから守ってあげましょう。

紫外線対策というと、子供たちが外で遊ぶのを控えさせることと思われがちですが、外で子供たちが元気いっぱい活動できるように大人たちが配慮することこそ、本当の紫外線対策といえるでしょう。

「日差しの強い季節は、紫外線カット用品の着用で、子供たちが疲れにくくなり、以前より元気に外遊びができるようになった」と、幼稚園の園長先生もおっしゃっています。

子供の頃に浴びた紫外線の悪影響は大人になってから表れます。子供たちが安心して太陽の下で元気に遊ぶことができる環境づくりを、私たち大人は、子供たちの将来の幸せのために一生懸命共に考えていきましょう。


参考書籍
  • 知って防ごう有害紫外線 佐々木政子・上出良一著
  • 紫外線Q&A 市橋正光著
  • 紫外線から子どもを守る本 田上八朗監修
  • 健康と紫外線のはなし 市橋正光著
  • 学んで実践!太陽紫外線と上手につきあう方法 佐々木政子著
  • スキンケアの教科書 吉木伸子著
  • ぼくとわたしとおひさま PEEKABOO著




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