熊対策は鈴・ラジオのグッズだけでは危険!対処法を知る事が大事


熊対策ツキノワグマの画像@
近年、熊による人身事故が増えています。特にツキノワグマは、2000年代に入って以降、人身事故が多発し、熊の大量出没年には、年間100人以上の死傷者が出ています。

ツキノワグマに比べるとヒグマによる人身事故の数は少ないですが、それでも年々ヒグマが市街地で目撃される件数は増えています。

2016年5~6月には、秋田県鹿角(かづの)市の山林でタケノコ採りの人々が熊に襲われ、4人が死亡、4人が重軽傷を負い、日本で史上3番目の被害を出した獣害事件が起きました。

山菜採りや登山、あるいは渓流釣りを楽しんでる最中に、突然目の前に熊が現れたら、あなたはどう行動しますか?

今回は熊に襲われないための対策を下記の3点についてまとめてみました。

  • 熊に出会わないための対策
  • 熊に出会ってしまったときの対策
  • 熊が人里に現れないようにする対策

では、さっそく見ていきましょう。

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熊に出会わないための対策

ツキノワグマの顔のアップ画像
熊から身を守る最善の方法は、まず熊に出会わないようにすることです。

熊は基本的に臆病で、人との遭遇を避ける動物です。熊は人の接近に気付くと、ほとんどの場合、熊のほうで逃げてくれます(注:人馴れした熊は、人がいても無視)。

ところが、至近距離で突然人と出会うと、熊はパニックを起こして襲ってくることがあります。熊は自分が襲われると勘違いし、自分の身(または子熊)を守るために防御的に攻撃してくるのです。

そのため人と熊が距離的に離れているうちに、熊に人間がいることを知らせてやれば、ほとんどの場合、熊のほうから人を避けてくれます。

熊は鼻と耳はいいですが、目はあまり良くありません。熊の特徴をよく理解した上での対策が必要です。

では、熊と出会わないようにするためには具体的にどう対処したらいいのかを見ていきましょう。

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熊との遭遇を避けるための対策

  • 熊に人がいることを知らせるために、音をたてて行動する

  • 鈴や笛、ラジオなど音の出るものを携帯する

  • 雨の日や沢沿いは、雨や川の音で、熊が人の接近に気付きにくいので特に要注意(渓流沿いの事故は特に多い)

  • 音の聞き取りにくい沢沿いや見通しの悪い所では、手を叩いたり、「ホイッ、ホイッ」など歯切れのよい掛け声を出して歩く

  • 熊の出没しやすい時期・場所を避ける。春の山菜採り(ゼンマイ・ワラビ・タケノコなど)と秋のキノコ採り・クリ拾い・クルミ拾いの時期は、山で熊に遭遇しやすい

熊の月別の人身事故件数の図表

  • 事前に自分の向かうルート周辺での最近の熊の出没情報を自治体のHPなどで調べておく

  • 熊の活動時間を知る。熊は森では昼行性だが、人里近くでは夜行性にもなる

  • 明け方、夕暮れ時の入山は要注意。熊は日中は、人通りの多い登山道や遊歩道を避けていても、人が少ない夜間・早朝・夕暮れ時には近くに来ていることがある

  • 熊の足跡、爪痕、新しい糞などを見つけたら、注意しながらすぐに引き返す
    (注:熊の糞は季節によって食べるものが違うので色も形もさまざま)

  • 畑などが荒らされてる場合は、近くに熊が潜んでるかもしれないので特に要注意

  • 熊の季節毎の食べ物や行動についてよく知る。熊の好物がある場所への接近には特に要注意(※熊の食べ物については後述)

熊の季節毎の食べ物や行動の図解

  • シカなどの動物の遺体に、枯れ葉や土がかけられてるのを見つけたら、決して近づかないこと。熊が自分の占有食物として近くで見張ってる可能性が高い

  • 熊に対する訓練を受けてないを連れて熊に遭遇すると、重症率が高くなる

  • 子熊を見て「かわいい!」と思って近づかないこと。近くに必ず母熊がいる

  • ガソリン・登山用の白ガソリンは熊を引き付ける恐れがある

  • キャンプ場では「宿泊テント」「調理場」「食料保管場所」をそれぞれ100m位ずつ離す

  • キャンプ場での熊対策の図
  • ヒグマの生息地で焼肉などやれば、匂いで広範囲のヒグマを誘引することになる。ちなみにヒグマのほうが肉食性が強いといわれているが、ツキノワグマも動物の肉を食べる

  • 何気ないゴミ捨ては、熊に人の食べ物の味を教えてしまい、熊はしつこく人に寄ってくるようになる

  • 梅雨時には化粧品の臭いが熊を引き付ける恐れがある

  • 6月はヒノキの伐採現場に熊が集まっていることがある(切り株にしみ出た樹液に熊が引き寄せられている)
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鈴やラジオは熊対策に有効か?

熊よけのために鈴・笛・ラジオを所持していても、熊に襲われるケースが近年増えています。

鈴やラジオは、熊に人の存在を知らせる効果もありますが、反面、周囲の音を聞き取りにくくし、熊の接近に人が気づかないこともあります。

さらに、水音が騒々しい川沿い、強い雨が降ってる、強い風が吹いている状況では、鈴、笛、ラジオの音が熊に届かないこともあります。

熊よけ対策の鈴とラジオの画像
また、ラジオの音に気付いた熊が、逆に人間に寄ってきたという事例も複数あり、実際、ラジオを大音量で鳴らしながら歩いていて、熊に襲われ亡くなったケースもあります。

人を襲って人間の食べ物の味を覚えてしまった熊は、鈴やラジオの音を聞くと、人の食べ物があると考え、逆におびき寄せてしまう可能性もあります。

鈴・笛・ラジオを所持していても過信せずに、周囲の音や気配に注意を払いながら行動しましょう。

ちなみに熊よけの鈴にも、いろいろな音色があります。熊は低音より高音により敏感に反応するので、「ガラン、ガラン」と鳴るものよりも、「キーン!」という周波数の高い音を出すもののほうが効果的です。

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熊よけに効果的な音とは?

生涯に60頭もの熊を仕留めたクマ猟の達人によると、熊よけには、空のペットボトルを押してペコペコ鳴らすと効果的だといいます。熊はペットボトルの聞き慣れない音を聴くと、気味悪がって寄ってこないそうです。

あるいは、細い棒で木を縦に叩いて、バチーン、バチーンと音を立てるのも効果的だといいます。山中では棒切れくらいは、その辺で拾えますから、他に何も持っていない時は、細い棒で木を縦に叩きながら歩くと良いそうです。

ただし、熊の音への反応はその地方地方によっても違います。昔は、車の音で熊は逃げましたが、今の熊は車の音がしても全く逃げません。

つまり、熊よけのためには、自然界にはない音で、熊が聞き慣れない音を出すのが良いのです。

やり過ごそうとしている熊を怒らせない

森の中に隠れる熊の画像
山の中を歩いていると、急に前方の(やぶ)の中で、何かが動く気配がして、すぐに静かになることがあります。これは、あなたの接近に気付いた熊が、あわてて藪の中に身を隠し、あなたをやり過ごそうとしているのです。

こんな時、何事かと音のほうに近づいていってはいけません。

音が静まった地点が、あなたが通ろうとしている場所から50m以上離れているなら、穏やかに声をかけながら、あるいは手を叩きながら、さっさと通り過ぎましょう。距離が50m以内の場合には、引き返したほうが身のためです。

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かん高い声で騒ぐと危険?

声を出しながら、人がここにいることを熊に知らせながら歩くのは効果的です。

しかし、女性のキャッキャッした声や子供の声のような高い声には、子熊が好奇心で近寄ってくることがあります。子熊は人間に対して警戒心をまだ持っていないので興味本位で近寄ってくるのです。

熊は嗅覚だけでなく聴覚も優れていますが、熊の耳は低音より高温により敏感に反応します。子熊が近づいてくると、母熊も一緒に近寄ってくることになるので非常に危険です。

犬を連れて歩くと危険!?

犬の散歩の画像
熊が人の存在に気付いて、藪の中に潜んで人をやり過ごそうとしていても、匂いに敏感な犬は、熊に気付いて吠えかかってしまう場合があります。

犬を放して歩いていたら、犬が熊にかかっていって逆襲され、ひるんだ犬は飼い主の元に逃げ帰り、その後を追って、怒り狂った熊が突進してくるという事態になりかねません。

熊に対する訓練を受けていない犬を山林内で放して歩くと、非常に危険な場合があります。熊の生息地では訓練されていない犬は、できるだけ一緒に連れて歩かないほうが無難です。

どうしても同行する場合には、必ずリードをつけて歩くようにしましょう。過去の熊被害においても、犬を連れていた場合には重症率が高くなります。

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以上、熊に出会わないための対策を見てきましたが、それでも熊に出会ってしまったときには、どうしたらいいのでしょうか。次に見ていきましょう。


熊に出会った時の対策

餌をあさる熊の画像
熊に遭遇したとき、100%身を守れる完全な対処法というものはありません。熊にも性格がありますし、子熊を連れている母熊や、人を襲って食害した熊などには、有効といわれる方法をとっても襲われることもあります。

熊の攻撃を防ぐ最強グッズである熊よけスプレーを持っていても、攻撃の10%は防げなかったとされています。

熊に遭遇した時の対処法には、これが正解というものはありませんが、とにかく落ち着くことが大切です。熊との遭遇で深刻な事態を回避できる可能性が高いと推奨される対処法を下記にあげてみました。

熊に出会った時の対策
  • 熊に背を向けて走って逃げない

  • 熊との距離が20m以上離れているなら不動、そしてゆっくり静かに後退する

  • 距離が10mほどだと全ての「急」のつく動作は危険になる

  • 熊から目をそらさない

  • 熊の突進に備えて、近くに木があれば木の後ろに立つ

  • 人の素早い動きほど熊は俊敏に反応する

  • しゃがむ、拾う、摘むなど身をかがめる動きは、熊の攻撃を誘発する

  • 慌てて逃げると転倒しやすい。転倒すると襲われやすい

  • 熊が突然立ち上がっても慌てない。熊が後ろ脚で立ち上がって周囲を見回しながら鼻をひくひくさせる行動は、匂いで相手をかぎ取ろうとしている動き

  • 自転車に乗ってる時は、すぐに自転車を止める。熊を興奮させないように、ゆっくり自転車を押して歩きながら後退する

  • 熊が向かってきたら熊よけスプレーを熊の目や鼻をめがけて噴射する

  • 襲われたら大声を出す

  • 頭部への初撃をかわせ。頭部・頸部の防御が最重要である

  • 熊に襲われたら、ダメージを少なくする姿勢を取る。うつ伏せになって両手を首の後ろで固く結んで、首と頭を守る

  • 熊に反撃する勇気のある人は、持参した武器で熊の鼻先を打撃、口の中を刺す

  • 武器で闘う場合は軽傷で済む場合もあるが、熊の攻撃性を高め、死亡、重体もあることを頭に入れておくこと

  • 子連れの母熊には特に要注意。子連れの熊に襲われると重症率が高い

  • リターン攻撃される前の空白時に、爆竹を使って追い払う

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熊と遭遇した時の対処法は、熊との距離が離れている時と、至近距離で遭遇した時では違ってきます。

では、熊との距離の違いによって、どのように対処したらいいのかを次に見ていきたいと思います。

熊との距離別対処法

子連れの母熊の画像
「日本クマネットワーク(JBN)」発行の熊の対応マニュアルを参考に、熊との距離別対処法をご紹介します。

熊との距離が100m~数百m離れている時

  • 熊がこちらに気付いていない場合
  • 気付かれないように、静かにその場を立ち去ります。

  • 熊が気付いて、こちらに注目、または、気付いていても無視している場合
  • 熊の様子を見ながら、ゆっくり静かに(走らない)、その場から離れます。近年、人を恐れない人馴れした熊(新世代)も増えてきています。人馴れした熊の場合は、人の存在に気付いても無視して行動します。

  • 熊がこちらにゆっくりと近づいてくる場合
  • 人間の存在に気付いてない可能性もあります(熊は目があまりよくない)。石や倒木の上など目立つところに上がって、熊に人の存在を知らせるために、大きく腕をふって穏やかに声をかけます。

    ほとんどの場合、人の存在に気付くと、慌てて逃げていくか、あるいはゆっくりとコースを変えて立ち去っていきます。

  • 人の存在を知らせても、熊が人を意識して近づいてくる場合

  • 人に近づいてくる熊の画像
    人だと分かっていて近づいてくるときは、人への好奇心(若い熊)や、極めて稀ですが、捕食目的で近づいてきてる可能性もあります。近くに避難場所(車内や屋内)があれば、走らないで、ゆっくり静かに避難しましょう。
    距離が50m以下になり、それでも熊が人を明らかに意識して近づいてくる場合、近くに避難場所がなく逃げ切れそうになければ、強気で対応しましょう。

    岩の上や倒木の上などに立ち、自分をできるだけ大きく見せて、腹の底から強い調子の声をあげたり、大きな物音をたてて熊を威嚇します。

    複数の人がいる場合は、必ずまとまって行動すること。棒でも何でも武器になりそうなものを手に取って、熊よけスプレーがあれば噴射準備。

    このような熊との危険な遭遇に備えて、野山に入るときには、熊よけスプレー、ヘルメット、武器などを所持するようにしましょう。
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熊との距離20m~50mでの遭遇

  • 熊がのっそり立ち上がる。あるいはひょっこり出てきた場合

  • 熊が立ち上がった画像
    この距離で熊に遭遇した場合は、熊にこちらの存在を知らせるために、ゆっくり両腕をふって、熊を刺激しないように穏やかに話しかけます。

    すぐそばに障害物(立木など)があれば、熊との間に障害物が来るような位置関係にゆっくり静かに移動します。熊よけスプレーがあれば噴射準備しながら移動。

  • 上記の対応を行って人の存在に気付いても、こちらを無視している場合
  • ゆっくり両腕をあげて振り、穏やかに話しかけながら、熊から目を離さないようにして、ゆっくり後退して、その場から立ち去ります。

  • 上記の対応を行っても熊が立ち去らず、興奮気味になってきたら
  • さらに、ゆっくり両腕を上げて振り、穏やかに話しかけながら、熊から目をそらさないようにして、ゆっくりと後退します。すぐ近くに立木などの障害物があれば、熊との間に、障害物を置く位置関係に静かに移動します。

    石の上や倒木の上などに立ったり、自分の持ち物などを振り回して、自分をできるだけ大きく見せます。

    熊が立ち去らない理由はないか、付近を冷静に観察。子熊がいたり、シカの死体が見えたり、あるいは見えなくても腐敗臭がして死体がありそうな場合(熊の占有食物がある場合)、すみやかに、しかし、ゆっくりと後退します。

    いつまでもそこにいると、敵対行動と受け取られる可能性大。ただし、急な動きは熊を更に興奮させるので、ゆっくり静かに後退します。

    熊が興奮気味になってきた場合、多くは低く唸ったり、カプカプと(あご)を打ち鳴らしたり、興奮して激しく地面を叩いたりすることもあります。このような行動は、人との出会いに熊が強いストレスを感じていることを意味します。

    熊は葛藤の中で、逃げ出すべきか?あるいは、身を守るために攻撃に打って出るべきか?と迷ってる状態です。ここで大声を出して熊を興奮させてはいけません。
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熊との距離20m以下での突然の遭遇

  • 熊がビックリして立ち上がるか、四つ足のまま驚いた表情の場合

  • 熊の画像
    この至近距離で熊とバッタリ遭遇した場合は、人間だけでなく熊もビックリしています。熊はパニックを起こし防御的に攻撃をしてくる可能性があります。

    ゆっくり両腕をあげて振り、穏やかに話しかけます。すぐそばに障害物(立木)があれば、熊との間に、障害物を置く位置関係に、ゆっくり静かに後退します。

    とにかく走って逃げたり、大声でわめくような行動は、驚いてる熊をさらに怯えさせ、ストレスのあまり熊に防御的な攻撃を誘発させる可能性があります。

    熊から目を離さずに、唖然(あぜん)として立ちすくむと、ほとんどの場合、熊のほうが全速力で逃げていくのが普通です。この至近距離での熊との突発的な遭遇では、唖然として立ちすくんでいるのが一番良いかもしれません。

熊が突進してきたら

熊の顔のアップ画像
熊の突進の多くは、見せかけの威嚇突進(ブラフチャージ)です。だーっと突進してきて、途中で左右に方向を転換して走り去ったり、あるいは、突進してきて立ち止まり激しく地面を叩いて、後退したりすることが多いです。または、これを数回繰り返すこともあります。

熊が威嚇突進をして後退したり、繰り返すときには、穏やかに声をかけつつ、熊の動きを見ながら、ゆっくり後退します。

熊は相手が何者か分からないまま、とりあえず威嚇行動に走ってる可能性があります。しかし、熊が突進してる時に威嚇突進か本当の攻撃の突進なのかは見分けることはできません。

とにかく、熊が突進してきても、走らない!騒がないこと!

そして熊よけスプレーの噴射準備!多くは威嚇突進なので、ここで大騒ぎして走り出すと、威嚇が本物の攻撃行動に転化する可能性があります。

熊の突進が止まらずに、熊よけスプレーの射程距離内に迫ったら、熊よけスプレーを熊の目と鼻をめがけて一気に全量噴射します。熊よけスプレーがない場合は、次の「熊の攻撃を受けたら」を参照してください。

熊の攻撃を受けたら

熊よけスプレーがない場合や熊よけスプレーが上手く命中しないで攻撃を受けてしまった場合は、その場に倒れこんで、防御姿勢をとります。

うつ伏せになり首を胸のほうに曲げて、両手は首の後ろで強く組んで、急所の首と頭を守り、両肘で顔の側面を守ります(熊が前から人を攻撃するときは、顔面を含めた頭部を狙うことが多い)。

熊から攻撃を受けた時の防御姿勢の図解
リュックサックを背負っていたら、背中を守るプロテクターになります。熊の攻撃が収まるまで我慢して動かないこと。いったん、転がされてしまっても、すぐに、うつ伏せの姿勢に戻り腹部を守ります。

熊の攻撃中に抵抗すると、熊は興奮して更に激しい攻撃を続け、重大な傷を負う可能性が高いので、熊に攻撃を受けたら、できるだけ動かないで攻撃が収まるのを待ちます(反撃したほうがいいかどうかの詳細は後述)。

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風の向きも重要!

熊は鼻も耳も良いですが、嗅覚は特に優れており、熊は耳より鼻を頼りにして行動しています。

もし、自分の進行方向から風がふいていたら、前方に熊がいても、その熊には人の接近を匂いで感じることができません。そのため、向かい風のときには、匂いは当てにできないので、積極的に音をたてて熊に人の存在を知らせるようにします。

逆に、背中に風を受けて進んでいる時は、前方にいる熊には、こちらの匂いを気付いてもらいやすいです。

熊は目があまり良くないので、鼻が利きにくい雨の日や風向きによっては、人が接近しても気付かないこともあります。


熊対策で覚えておきたい事!

熊の親子の画像

マタギたちの推奨する熊対策

マタギ達に聴くと、目の前で熊に遭遇した時の一番良い対処法は、不動の姿勢で熊を睨みつけることだといいます。熊との睨み合いの時間は 2~3分程。

この状態に耐えてスキを見せなければ、熊のほうで逃げていくそうです。熊と面と向かったときには弱さを見せないことが大事だそうです。

ただし、一度でも人間を襲ったことのある熊は、人間があっけなく倒れることを知っているので、ためらうことなく人を襲ってきます。この場合には、熊に慣れたマタギ達でも脅威になるといいます。

木に化ける対処法「木化け」

熊対策の木化けの説明画像
この方法は、NPO法人日本ツキノワグマ研究所理事長である米田一彦さんが実践なさってる「木化け」といわれる方法です。これは米田さんが秋田の老マタギから、熊と遭遇したときの対処法として教わったそうです。

やり方は、20mほど先に熊を見つけたら、瞬時に細い木と木の間の後ろに立ち、じっと動かずにいます。樹木に隠れると手足ははみ出しますが、動かさなければ熊は人間がいることを認識できないそうです。

頭や両手足を動かすと、熊にはよく見えてしまいますが、熊はあまり目がよくないので、じっと動かずに、人が木の間に隠れていると、人間の存在が分からないといいます。

隠れる木の太さは、20~30cm がいいそうで、あまり太い木で人間の胴の太さを超えると、今度は自分が熊の様子を把握しきれなるので良くないそうです。

この体勢なら、樹間から熊撃退スプレーを突き出すこともできるので、防御にも反撃にも適した対処法だといいます。詳細は「熊が人を襲うとき 米田一彦著」の書籍をご覧ください。

「死んだふり」は有効?

死んだふりのイラスト画像
マタギだった方々に「死んだふり」は有効かと尋ねると、熊から攻撃を受けたら「動かない」という点においては正しいといいます。熊は人が動かなくなると攻撃しなくなります(熊は動くものを攻撃する習性がある)。

この点については、実際に熊被害に遭った方々の体験談が分かりやすいのでご紹介したいと思います。

熊に襲われて「死んだふり」をした人々
ある男性が熊に遭遇し、逃げる途中で倒れてしまい、仰向けになった男性の上に、熊がまたがってきたそうです。男性の目の前で、熊が「ハウッ、ハウッ」と唸り、男性の顔面には熊のよだれがタラタラと落ちてきました。

男性はもうダメだと観念して、がちっと目をつむって一つも動かないでいたそうです。そうすると熊は、もうこの人間は死んだんだという感じで、その人の胸を一発ドーンと叩いてバサッと飛んでいきました。

男性はじっと動かないでいたのですが、全然音がしないので「あぁ、よかった!熊はもう行ってしまったな。よし帰ろう」と思って、ひょいと起き上がったそうです。

そうしたところ、そばに熊が座って見ていて、男性が起き上がるなり、また飛びかかってきました。男性は今度はなんとかして逃げようと、もがいたそうです。

しかし抵抗して、もがけばもがくほど、動かす箇所を熊は全部かじってくるので、その人は前のように、じっと動かずに我慢したそうです。そうして我慢したところ、熊はまたドーンと一発その人の胸を叩いて、バサッと音を立てて飛んでいなくなりました。

その男性は今度は用心して、しばらくそのまま動かずにじっとしていたそうです。しばらくしてガサガサと熊が山に登っていった音が聞こえ、その男性は助かったそうです。

この他にも、熊に襲われた時に気絶してしまい、意識が戻った時には熊はもういなかったという体験談も幾つもあります。

気絶した人と熊
つまり、熊から攻撃を受けた時には、できるだけ「動かない」のがいいので、そういう意味では「死んだふり」は有効だといいます。

ただし、熊の攻撃を受けていないのに「死んだふり」をするのは危険な場合があります。

実際、熊に攻撃される前に「死んだふり」をした人たちが日本にも海外にもいます。

熊に襲われる前に「死んだふり」をした人々
  • 1926年、福島県湯本村二岐温泉で、男性4人が親子3頭の熊と遭遇。一斉に地面に伏せ、死んだふりをして無傷(読売新聞)

  • 1931年、福井県加戸村で、水汲みの男性が熊に遭遇。「死んだふり」をしたら、熊が同人の肩を2~3度叩き、無傷(朝日新聞)

  • 1959年、福井県大野市で農作業中の女性が熊に遭遇して「死んだふり」。熊は同人の後頭部を叩いて通り過ぎて軽傷(福井新聞)
また、1995年8月、アラスカのデナリ国立公園を歩いていた旅行者が、数十メートル先にヒグマ(グリズリー)を発見し、危ないと思った彼は、地面に身を投げて、死んだふりをしたそうです。

熊のほうは、かえってビックリして何事かと興味を持って近寄ってきて、彼を引きずり回し、背中のザックを奪い取っていったそうです。

幸い軽傷で済みましたが、このように、熊に直接攻撃されていないのに死んだふりをするのは、無傷で済むこともありますが、熊の好奇心を煽り、負傷することもあるので危険です。

背中を見せて走って逃げると襲われる

熊に背中を見せて逃げ出すのは、とても危険な行為です。熊には逃げるものを追う習性があり、攻撃を加えてる最中であっても、他に逃げるものがあれば矛先を変えます。

熊に背中を見せて走って逃げるということは、その人間の弱さを熊に示すことになり、しかも背中には人の目がないので睨まれることもないので熊にとっては好都合なのです。

熊画像 熊は足が速い
人が走って逃げても、100mを7秒で走るともいわれる熊からは、到底逃げきれるものではありません。熊は足が速く、時速50~60kmで走るので、人間の足では必ず追いつかれて襲われてしまいます。

ただし、ある程度歳をとっていて経験豊かな熊は、しつこく追わないこともあるので、走って逃げ切れたケースもあります。しかし、若い熊の場合は、逃げるとまず襲われる可能性大です。


人を恐れない新世代熊

動物園の熊の画像
熊の生態に詳しい北海道大の坪田敏男教授によると、「ハンターの減少などで人間の怖さを知らず、人を見ても逃げ出さない新世代のツキノワグマが、ここ10年ほどで増えている」といいます。

人とヒグマの距離が近い世界自然遺産である知床半島では、観光客慣れしたヒグマたちが人馴れしすぎて、人を恐れなくなっています。

観光客が不用意に与えた食べ物によって熊は人間の食べ物の味を覚え、熊は食べ物の魅力で人の生活圏に入っていきます。

熊が通学路を歩いたり、民家のベランダに侵入すると、人身事故を防ぐためには、熊を駆除せざるを得なくなります。

熊に食べ物を与えることは、もってのほかですが、山での空き缶のポイ捨てや残飯などの生ゴミの捨て方を、私たちが正しく行っていくことが、人を襲う熊を作らないためには非常に大切なことなのです。

木に登って逃げるのは有効?

木登りする熊たちの画像
ツキノワグマは、オスメス共に木登りが得意です。ヒグマに関しては、大型のオスは木登りが得意ではないですが、小型のヒグマは木登りが得意です。

実際に、木に登って熊から逃げたケースも報告されていますが、その反対に引きずりおろされて被害に遭ったケースもあります。

木に登って逃げる方法は、熊による拘束が長時間になる可能性や失敗する場合もあることを頭に入れておきましょう。ちなみに、熊は泳ぎも得意です。

ザックなど持ち物を捨てて逃げる方法は?

ザックを背負って森を歩く男性の画像A
ザックなどの持ち物を投げ捨てて、熊がそれに興味を持っていじっている間に逃げるということを推奨している例もあります。これには利点もありますが、問題もあります。

まず食料が入ったザックなどを捨てた場合、人間の食べ物の味を覚えた熊は、その後に危険な行動をエスカレートさせる可能性があります。その時、自分は助かっても、後からその場所に来る人を危険にさらす可能性があります。

また、もしザックを投げ捨てた後に熊が襲ってきた場合、自分の身を守る貴重なプロテクターとなるザックを失ってしまうことになります。

従って、食べ物が入ったザックは投げ捨てないで、ザックは背負ったままでいましょう。その他の物であれば、投げて時間をかせぐのもいいでしょう。(参考:ヒグマとの遭遇回避と遭遇時の対応に関するマニュアル 第2版)

ただし、この「物置法」は役に立たなかったという体験談もあります。持ち物を投げ捨てても熊は一切興味を示さず、地面に投げ捨てたものを瞬時に殴り飛ばして突進してきたそうです。

熊に武器で積極的に反撃したほうがいいの?

二頭の熊の画像
熊の攻撃に対してナタやナイフの武器で反撃して助かったケースもあります。また中には、素手で応戦した勇者もいます。そのため熊に襲われた時は、積極的に反撃したほうがいいという意見もあります。

しかし、クマ猟の達人によると、よほど経験を積んだ人でないと、ナタで熊には立ち向かえないといいます。反撃する能力は個人によっても異なります。また、反撃したために却って熊の攻撃性を高め、被害を大きくする可能性もあります。

熊との突然の遭遇による攻撃は、熊が自分の身や子熊を守ろうとする防御的な攻撃なので、このような場合は短時間の攻撃で熊は立ち去ります。

ここで積極的に抵抗すると、熊を興奮させ更に激しい攻撃を続け、重大な傷を負う可能性のほうが高くなることが分かっています(ベア・アタック:ヘレロ教授の分析結果)。

熊は「強反撃には強襲」で反応してきます。その反対に、熊は「静対応には力を弱める」習性があります。

過去の熊被害のケースを見ても、ナタ、カマなどの武器で反撃し、その後に「死んだふり」に転じても、熊の攻撃性は継続することが多いのですが、熊の一撃後に被害者が「死んだふり」に転じた場合は、熊は攻撃性を低下させています。

熊の研究家たちが、熊に慣れていない一般人に推奨する「熊に襲われた時の対処法」は、熊への反撃ではなく静的対応です。

つまり、熊に襲われたら、すぐにうつ伏せになって顔を地面につけ、両手で首と頭をガードし、じっと動かないでいることが重傷化を防ぎます。

熊は火を恐れない?

キャンプファイヤーの火の画像
熊は火を恐れないので、焚火の中の食べ物でも平気で取り出して食べます。実際、過去のヒグマの襲撃事件では、火を焚いて熊を追い払おうとしても効果がなかった事例が多いのですが、中には例外もあります。

ある男性の体験談ですが、男性が釣りをしていたところに熊が向かってきたので、男性は着ているTシャツを脱いでライターで火を点けたところ、ボーっと燃え上がり、それを見た熊は驚いて逃げていったそうです。

火を恐れない熊でも、Tシャツの突然の変化には驚いたのかもしれません。この体験談からも熊の対処法には、100%の正解がないというのも分かりますよね。

また、熊が襲ってきたときに、傘をパッと開いたところ、熊が驚いて逃げていったという体験談もあります。このように熊に出会ったときには、自分を大きく見せることも効果的です。

熊からの警告音

有料写真 熊の親子の画像
クマ猟の達人によると、人が音を出して、人間が通っているよと熊に合図を送るように、熊のほうでも「これ以上来るな」という警告音を出すことがあるそうです。

子連れの母熊は人が接近すると、まず「フッ、フー」と鼻を鳴らします。その音に気付かずに人がさらに接近すると、熊は地面をバーン、バーンと大きな平手で叩いて「これ以上来るな」という警告音を出します。

しかし、実際に人がその音を聞くと、木を叩いたような音に聞こえるそうで、一般の人は、この熊の地面を叩く警告音を知らないので、熊に近づいてしまって被害に遭うこともあります。

熊撃退グッズ

ヒグマの画像
熊撃退グッズには、鈴、笛、熊よけスプレー、爆竹、武器(ナタなど)、電気柵などいろいろなものがあります。

鈴・笛・ラジオの熊よけ効果については、過信しないことが大切であることは既に見てきましたが、人馴れした熊の場合は、爆竹もあまり効果がないこともあります。

武器については、万が一の場合に備えて所持しておいたほうが、何も持たないよりは精神的に心強いです。

熊よけスプレーは最強の熊撃退グッズ


熊よけスプレーは、熊の攻撃をストップさせ人身事故を避ける最も有効な熊よけグッズです。北米での調査結果によると、熊の攻撃を90%以上の確率で停止させることができるとされています。

中には、トウガラシの辛み成分である「カプサイシン」を濃縮した液体が入っており、それを至近距離で熊の目や鼻に噴出することで熊を追い払うことができます。

熊よけスプレーは、商品によって射程距離に幅があります。実際に熊よけスプレーを使用するときには、噴射する前から風向きを考慮して熊から風下にならないように、ゆっくりと位置関係を変えておきます。

風向きによってはスプレーが効きづらく、最悪自分にかかる可能性もあります。

ただし、テントの周辺やゴミ捨て場などで、熊を寄せ付けないために、あらかじめ熊よけスプレーを付近に吹きかけておくのは逆効果です。刺激臭に興味を持って、かえって熊が近づいてきます。

ちなみに、熊よけスプレーは航空機に持ち込むことも、荷物として預けることも禁止されています。


また、かなり強烈な音を出すものに、下の動画にある「熊除けサイレン」のようなものもあります。森の中でこれは聞いたら、熊だけでなく人間も驚くでしょうが、沢沿いなど鈴の音が聞こえない場所でも、これなら聞こえそうです。値段は、18,500円(税別)と、かなり高めです。



熊の食べ物

魚を咥えている熊の画像
熊対策には、熊の季節毎の食べ物をよく知ることが大切です。熊の好物がある場所へ接近するときは、特に注意が必要です。

東・北日本では、6月のタケノコ、7~8月の養蜂、西日本では、10月の栗、11月の柿と、その時期の旬のものを熊は集中して食べる食性があります。

熊は、山ではどんぐりなどの木の実をよく食べていますが、人里では田や畑の農作物も食べます。農業被害は、6~8月に多く発生しています。

■被害にあう農作物 
    トウモロコシ、サツマイモ、麦、そば、イネ、スイカ、人参、クワの実など
■被害にあう果実 
    リンゴ、ナシ、柿、桃、ブドウなど
熊は甘いものが大好物ですが、その反面、悪臭漂う腐肉、オイルなどにも興味を示します。

ツキノワグマ
植物食を中心とした雑食性。中でも、ブナやコナラ、ミズナラ、栗、ヤマブドウ、ヤマザクラなどの木の実を好んで食べます。夏にはアリやハチなどの昆虫も食べます。鹿、カモシカなどの死体、時には仔ジカを捕食することもあります。

ヒ グ マ
植物食を中心とした雑食性。ツキノワグマより肉食性が強く、サケやマスなどの魚や、アザラシやエゾシカなどの動物の死体も食べます。


熊が人里に現れないようにする対策

人里に来る熊の画像
熊は山の実りが不作で、どんぐりなどがほとんど実らない年に、人里へ多く出没するようになります。熊が暮らしている奥山と、人里との間には「里山」と呼ばれる低山帯があります。

この里山は、かつては人と熊の生活空間の中間地帯としての役割を果たしていました。つまり、熊は山を下りても里山で人の姿を見かけると、それ以上は近づかなかったのです。

しかし、里山に住んでいた人たちが都市へ流れるようになり、里山から人の姿が減り、里山の家屋の軒下にも森が迫るようになりました。

こうして人と熊とを隔てる緩衝地帯であった里山の消失によって、熊は人間が暮らす生活空間との境目が分からなくなり、人里に頻繁に現れるようになりました。

また近年、温暖化の影響で熊が暮らしている奥山の生態系が変化し、その結果、熊の食べ物が少なくなったことも、熊が人里に頻繁に現れるようになった要因の一つです。


私の住む地域では、市街地で熊が目撃されることが近年増えています。市街地や農地に熊を引き付けないようにするための対策を下記にまとめてみました。

  • キャンプ場や山林に生ごみなどを放置しない
  • 熊の生息地に置くゴミ箱は、熊に壊されない丈夫なゴミ箱を設置する
  • 人里近くでは熊は夜中に動き回ることがあるのでゴミの夜間放置はしない
  • 廃棄農作物や出荷できなかった果実は、野外に放置せずに片づける
  • 庭の果実は早めに収穫して、とり残さない
  • 家の周囲でハチの巣を見つけたら早く取り去る(熊はハチミツが大好き)
  • 農耕地に電気柵を設置する
  • 山の周辺の環境を整える。山すそから人里へ繋がる森林や川沿いの草や木の茂みは、熊が身を隠しながら人里に近づくので、刈り取るなどして整備する

ほとんどの熊は、人や人家などを避けて行動します。しかし、一旦ゴミなどで人間の食べ物の味を覚えた熊は、人や人家にしつこく接近して食べ物を手に入れようとします。人身事故を起こす熊の多くが、人が捨てたゴミなどに餌付いたものです。

何気なく人が捨てたゴミが、「臆病な熊」を「人を襲う危険な熊」に変えてしまうのです。

おわりに

複数の熊の画像
熊による人身被害の多くは、人が熊の生息地に入っていって起きています。不幸な出会いを防ぐためには、野山に入るときには熊の生息地に入っていくという心構えを持って、熊の生態を知り、しっかり準備することが大切です。

また、熊は山の実りの不足や里山の崩壊など、いくつかの理由があって人里へ現れるようになります。人身被害を防いで人と熊とが共存していくためには、熊を呼び寄せない環境の整備と共に、人間側の行動の工夫も必要です。

この記事の作成にあたっては、熊対策に携わってる知床財団の方や、熊被害から人や農作物を守る業務に携わってる方から大変貴重なお話を伺わせていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。

皆様が熊被害に遭われないことを心から切に願っています。


参考書籍
  • ヒグマとの遭遇回避と遭遇時の対応に関するマニュアル第2版 山中正実著(市販はされておらず知床財団で購入できます)
  • 熊が人を襲うとき 米田一彦著
  • 人を襲うクマ 遭遇事例とその生態 羽根田治著
  • クマにあったらどうするか アイヌ民族最後の狩人 姉崎等・片山龍峯著
  • 生かして防ぐ クマの害 米田一彦著
  • 熊に出会った襲われた つり人社書籍編集部編
  • 熊と向き合う 栗栖浩司著




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