登山やキャンプでの熊対策!被害に遭わないための対処法


登山・キャンプでの熊対策の画像
登山やキャンプに行く時、あなたはどんな熊対策をしていますか?

熊による人身被害は、山菜採りや農林作業中に多いですが、登山やキャンプで熊に襲われるケースも少なくありません。特に2000年代に入って以降、熊による人身被害が多発しているので注意が必要です。

ツキノワグマによる人身事故発生人数
熊被害のほとんどは、人が熊の生息地である山の中に入っていって起きています。登山やキャンプ、あるいは山スキーなどで山の中に入るときは、熊に出会わない、熊を引き寄せない対策を心がけることが大切です。

では、登山やキャンプで熊被害に遭わないためには、具体的にどういう対策をしたらいいのでしょうか?さっそく見ていきましょう。

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熊被害の現状

2頭のヒグマの画像
日本には、ツキノワグマヒグマの2種類の熊がいます。ツキノワグマは、主に本州と、少数が四国に、ヒグマは北海道に生息しています。九州では、熊は絶滅したと考えられています。

熊被害の多い県は、岩手県、秋田県、長野県、福島県など東日本に多く、自然が豊かに残る地域で、人と熊との不幸な出会いが発生します。

熊による人身被害は、ツキノワグマのほうが圧倒的に多いですが、ヒグマによる人身事故の場合は、死亡率が高くなります。これは、ヒグマのほうがツキノワグマよりも体が大きいためと考えられます。

熊(ツキノワグマとヒグマ)による人身被害件数の表
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熊に襲われやすい部位


熊に襲われた場合、顔面を含めた頭部が一番狙われやすく、2番目に受傷しやすいのが手腕部、3番目が足です。

熊の初撃は、前足で顔面や頭部を一撃することが多く、中には眼球を剥ぎとられる痛ましい人身被害もあります。ダメージを最小限に抑えるためには、熊に襲われそうになったら、両手で、顔・頭を守り、頭部への熊の初撃をかわすようにしましょう。

手腕部の受傷が多いのは、熊からの攻撃を(かば)ったり反撃の手を出すためです。足の受傷が多いのは、若い熊が被害者の「足を刈り」に来る事故と、被害者が逃げようとして転倒し、足で反撃するためと考えられます。

山に入るときには、万が一、熊に遭遇した時に被害を最小限に食い止めるためにも、鈴や熊よけスプレーの他にヘルメットの装着、またピッケル、ステッキなどの防御用鈍器を所持することも大切です


熊被害が多い時期はいつ?

鋭い爪を持つヒグマの画像
熊被害が多く発生するのは、春(5~6月)と秋(9~10月)です。

この時期は人間側が、春の山菜採りや秋のキノコ採りなどで山に入ることが多くなることと、熊側から見ると、春は冬眠から開け、子熊が母熊から離れる子別れ時期でもあるため、若い熊の出没が増えます。

若い熊は好奇心旺盛で向こう見ずで、体力、気力ともに発展途上にあるため、人身事故を起こしやすいという特徴があります。

さらに6月~7月は熊の繁殖期でもあるため、オスがメスを求めて行動範囲を広げる時期でもあります。そのため普段生息していない地域にも熊が出没することもありますので注意が必要です。

秋は冬眠前で熊の食欲が旺盛になるので、食べ物を求めて熊の行動範囲が広がる時期でもあります。山の中に入る時には、熊被害の多い時期は勿論ですが、それ以外の時期でも熊対策をしっかり行って入るようにしましょう。

では次に、熊対策を考える上で把握しておきたい熊の特徴を一緒に見ていきましょう。

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熊の特徴

熊対策を考えるためには、まず熊のことをよく知ることが大切です。

熊の特徴の見出し
  • 嗅覚は犬以上に優れている

  • 耳もいい。ただし、沢沿いや雨の日は、川や雨の音で聞こえないことも。熊は低音には意外と鈍感で、高音のほうが、よりはっきり聞こえる

  • 目はあまりよくない。距離が離れていると、熊は人を認識できないこともある

  • 足は人間よりはるかに速い。熊は、100m 7秒で、時速50~60kmで走る

  • 木登りが得意。ただし体の大きな熊は木登りが苦手

  • 泳ぎも得意

  • 泳ぐ熊
  • 学習能力が高い。人間の食べ物の味を覚えると、食べ物の魅力で近づいてくる

  • 子連れの母熊には要注意。警戒心が増しているので襲われると重症率が高くなる

  • 若い熊に要注意。2~3歳の若い熊は、好奇心が強く向こう見ずで人身事故を起こしやすい

  • 山の中では熊は昼行性だが、人里近くでは夜行性にもなる。ただし、手負い熊は気が荒くなっているので、夜でも山の中を歩くようになる

  • 食性は、植物を中心とした雑食性。エゾシカなどの動物の死体を食べることもある

  • シカなどの動物の遺体に、枯れ葉や土がかけられてるのを見つけたら、決して近づかないこと。熊が自分の占有食物として近くで見張ってる可能性が高い

  • 熊の行動範囲は、オスがメスより広い。オスの場合…

    ツキノワグマ 100km2超えることも 
    ヒグマ    400km2超えることも(知床半島での記録)

では熊の特徴が分かったところで、登山やキャンプで熊に襲われないためには、具体的にどんな点に注意したらいいのかを次に見ていきましょう。

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登山やキャンプで熊に遭遇しないための対策

熊に襲われないためには、まず熊に出会わないようにすることが大切です。いざ熊に出会ってしまったら、100%身を守れる対処法というものはないからです。

熊は元々、臆病な動物なので、人の接近に気付くと、ほとんどの場合、熊のほうで逃げていったり隠れたりします。

しかし、至近距離で突然出会うと、熊はパニックを起こし襲ってくることがあります。熊は自分が襲われると勘違いし、防御的に攻撃してくるのです。

熊にパニックを起こさせないためには、人と熊とが距離が離れている間に、熊に人の存在を教えてやれば、ほとんどの場合、熊のほうから人を避けてくれます。

登山やキャンプで熊に遭遇しないための注意点!


熊との遭遇で驚く人の画像
  • 事前に自分の向かうルート周辺での最近の熊の出没情報や被害情報を自治体のHPなどで調べておく。出没情報のある地点へは近寄らない

  • 音を出しながら行動する(鈴、笛、ラジオ、手を叩く、声を出す)。ただし、鈴・笛・ラジオを所持していても過信せずに、周囲の音や気配に注意を払う

  • 見通しの悪い場所や曲がり角などでは、掛け声を出したり手を叩いたりして音を出す

  • 登山道以外のところを歩かない。見通しの悪いけもの道では熊に遭遇する危険性が高くなる

  • 熊の足跡、爪痕、新しい糞などを見つけたら、注意しながらすぐに引き返す

  • 山歩きの速度にも注意が必要。走ったりすると熊のすぐ傍に接近してしまう可能性が高くなる(トレイルラン、マウンテンバイクも要注意!)

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  • 子熊を見つけても近づかない。近くに必ず母熊がいる

  • 早朝・夕暮れ時の入山は要注意!

  • 山では単独で行動しない。複数のほうが話し声などで人の存在を熊に知らせやすい。負傷した場合、単独だと収容されなくなる

  • 山に入るときは、熊被害発生時の連絡手段としてスマホや携帯電話を所持する

  • 好天、快晴日の登山では、熊による人身事故が発生しやすいと考える

  • 山に入るときは、化粧品・香水・整髪料などを避けること。熊は香りの刺激で寄ってくることがある

  • 登山でのキャンプの画像
  • キャンプ場やテントの残飯は、熊を引き寄せる。残飯・空き缶などは全て持ち帰ること。土の中に埋めても、熊は匂いで分かってしまう

  • 山の中で調理する時は、できるだけ匂いの出ないものにする

  • 食料はテントサイトから離れた所に木があれば、木の細い枝に吊るすなどする

  • 登山時、熊の生息地では食料のデポ(事前の荷揚げ・残置)は絶対にやらないこと

  • テント内での調理・食事・食料保管は絶対にしないこと。山でのキャンプは、食料保管場所、調理と食事の場所、就寝場所をそれぞれ100m近く離し、三角形状に配置することが大切

  • キャンプ場での熊対策の図
  • テン場選びは慎重に!熊の通り道や餌場にならない場所を選ぶ配慮が必要

  • 古いゴミが散らかってる場所での幕営は避けたほうがいい(以前捨てたゴミに味をしめた熊が近くにいる可能性がある)

  • テントの周りに、熊よけスプレーを前もって吹きかけるのは逆効果。臭いの刺激で熊が寄ってくることがある

  • ガソリン、登山用の白ガソリンは熊を引き付ける恐れがある

熊に出会わないようにするための注意点を見てきましたが、では、それでも熊に出会ってしまった時には、どうすればいいのでしょうか?

次に、山の中で突然、熊に遭遇した時の対処法について見ていきたいと思います。

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登山やキャンプで熊に遭遇した時の対策

登山やキャンプで、熊に突然出会ってしまったら誰でも動転すると思います。しかし、ここは慌てず騒がず、出来るだけ冷静に対処することが大切です。

熊に至近距離で出会ってしまった場合、人間だけでなく熊のほうも驚いています。熊は人との突発的な出会いに強いストレスを感じながらも、逃げ出すべきか?あるいは身を守るために攻撃に打って出るべきか?と迷ってる状態です。

熊が人と遭遇した時の心理状態のイラスト画像
ここで騒いだり石を投げたりして熊をさらに興奮させると、熊に防御的な攻撃を誘発させることになります。

最初から捕食目的で人間に近づいてくる熊は、極めて稀です。過去に人を襲って食害した熊の場合は、人間が食べ物になることを知っていますが、人身事故を起こした熊の場合は、大多数が駆除されています。

熊との突発的な遭遇で、100%熊に襲われない安全な対処法というものはありませんが、中でも深刻な事態を回避できる可能性が高いと考えられる対処法を下記に挙げてみました。

熊に遭遇した時の対処法

  • 遠くにいる熊を見つけたら、走らずに静かにその場を立ち去る

  • 熊との距離が20m以上離れていて、熊が近づいてきたら、熊から目をそらさないようにして、ゆっくりと静かに後退する

  • 走って逃げない。熊は逃げるものを追う習性がある。走って逃げても熊のほうが足が速い

  • 熊を見て慌てて走る少年のイラスト画像
  • 岩の上や倒木の上などに立ち、自分をできるだけ大きく見せる。着ているジャケットの前を開いて、鳥の翼のように広げて体を大きく見せる

  • 熊に石や棒などを投げつけない

  • 持ち物を熊に直接当たらないようにして投げ捨てる。そして熊がそれに興味を持っている間に逃げる。ただし食べ物の投げ捨てはダメ。人間の食べ物の味を覚えると、熊は食べ物目当てに人を襲うようになる

  • 熊との距離が20m以下の場合は、全ての「急」のつく動作は危険。不動の姿勢で、穏やかに熊に話しかける。あるいは唖然として立ちすくむと、熊のほうから去っていくのが普通

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  • 熊が突進してきても、走らない・騒がない!熊よけスプレーの噴射準備。熊の突進は、威嚇突進(ブラフチャージ)であることが多い

  • 熊の突進が止まらずに、熊よけスプレーの射程距離内に来たら、熊の目・鼻をめがけて熊よけスプレーを一気に全量噴射。熊よけスプレーがない場合は、防御姿勢をとる

  • 攻撃が避けられないときは、すばやく地面にうつ伏せになり、両手を首の後ろで固く結び、首と頭をガードする。背中はザックで守られる

  • ザックなどに入ってる食べ物に熊が手を付けた場合は、絶対に取り返さないこと
熊豆知識
熊は自分が手をつけた食べ物を占有物と認識し、それに執着するため、取り返すと執拗につけ回され危険です。

熊の嗅覚は犬よりも優れているので、山の中であっても風が吹けば、かなりの距離離れていても見つけることが可能です。

ちなみに、1970年7月に日高山脈で、登山中の大学生がヒグマに襲われ、3名が死亡した「福岡大ワンダーフォーゲル部ヒグマ襲撃事件」では、ヒグマが大学生たちのキスリングの中の食べ物をあさった後に、そのキスリングを熊から取り返してしまったことが、熊に襲われるきっかけを作った要因の一つともいわれています。

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熊に遭遇した時の対処法には、これが正解というものはありません。熊と遭遇した際の状況や熊の状態はまちまちですし、子連れの熊やパニックを起こしてる熊の場合は、どうしても襲われる危険性が高くなります。

もし熊に襲われた場合は、致命傷を負わないように首と頭を両手で防御し、顔面は地面に伏せ、熊の攻撃が終わるまで出来るだけ動かないようにして耐えます。

熊から攻撃を受けた時の防御姿勢の図解
熊の攻撃は防御的な攻撃がほとんどなので、反撃しなければ短時間の攻撃で熊は立ち去ることがほとんどです。

また、熊に襲われないための対処法は、熊との距離によっても違ってきます。こちらの過去記事に、熊との距離別対処法も詳しく載せてありますので、こちらもあわせてご参考になさってください。
◆熊対策は鈴・ラジオのグッズだけでは危険!対処法を知る事が大事


登山やキャンプで熊がテントに接近した時の対策

キャンプ場に並ぶテントの画像
人を恐れずにテントに近づいてくる熊は、以前に人が捨てたゴミに餌付いて、テントを襲うと人の食べ物が入手できることを学習している可能性があります。

あるいは、もしかすると以前に人を食害したことがあり、人をエサと認識してるかもしれません。

熊がテントにのしかかったり、噛み破ろうとしたら…

  • 鍋釜などを打ち鳴らし、大声で威嚇して追い払う。強気の対応を!
  • 熊よけスプレーがあれば、すぐに発射準備
  • 何でも良いから武器になりそうなものを探して積極的に抵抗
  • 複数の人がいれば、必ずまとまって行動。あるいは抵抗する。バラバラに逃げるべからず

このような時、熊よけスプレーの有無は、生死を分けるかもしれません。テント泊の時には、熊よけスプレーを必ず持参し、就寝中もすぐに手に取れるところに置いておきましょう。(参考:ヒグマ遭遇時の対応マニュアル 知床財団発行)

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キャンプに持参したい熊よけグッズ

熊の生息地でのキャンプは、一歩間違うと、命にかかわる大事故になります。近年、人を見ても逃げない人馴れした熊も増えているので注意が必要です。

知床半島など熊が多数生息する地域でキャンプをする際に、環境省が推奨している熊対策グッズをご紹介します。

熊よけスプレー(必須アイテム)
熊除けスプレーの画像
熊よけスプレーは、中にトウガラシの辛み成分である「カプサイシン」を濃縮した液体が入っており、射程距離は商品によっても差がありますが、だいたい 4m~9m 位です。

熊から離れたところから噴射しても意味がないので、射程距離内で熊の目と鼻めがけて噴射します。熊よけスプレーは、使う時には風向きも考えて噴射しなければいけないので、前もって使い方をよく学んでおきましょう。

熊よけスプレーは正しく使えば、熊の攻撃行動を90%の確率で止めることができるといわれています。

山の中では熊よけスプレーを必ず所持し、専用ホルスターを用いて、すばやく取り出せるようにしておきます。テント内では就寝中でも、すぐに使えるように熊よけスプレーを傍に置いておきましょう。

熊よけスプレーや専用ホルスターが、お近くの登山用品店に在庫がない場合は、輸入元のアウトバックにお問い合わせください。

問い合わせ先: (有)アウトバック
電話 019-696-4647 熊撃退スプレー

フードコンテナ(必須アイテム)
フードコンテナの画像
キャンプでは、熊に食料を奪われないように工夫しましょう。熊に人の食べ物の味を覚えさせると、人のいる場所に近づくようになり非常に危険です。食べ物は匂いの少ないものを選び、匂いが漏れないように密閉袋に入れてから保管します

フードコンテナは熊に壊されない強度と熊に開けられない作りになってる熊対策用のものを用意しましょう。フードコンテナはテントから100m位離れたところに置き、就寝中に熊がテントに来ないようにします。

もし熊がフードコンテナに興味を持って、いじっていても、取り返そうとしてはいけません。攻撃してくる可能性があります。熊がコンテナを叩いたり、かじったり、蹴飛ばしたりしても、なすがままにさせておきます。そのうち諦めて行ってしまうでしょう。

携帯式電気柵(推奨アイテム)
携帯式電気柵のイメージ画像
熊に怪我はさせずに電気ショックだけを与え、テントに近づく熊を撃退します。乾電池で作動する小型軽量のものが市販されています。人が誤って触れても、軽い痛みは感じますが、怪我はしません。

電気柵というと、2015年7月、静岡県西伊豆町で動物よけの電気柵に感電し、2名が死亡、5名が重軽傷を負った事故を思い出す人もいるでしょう。

この痛ましい事故は、動物除けのために一般の人が作った電気柵が原因で起きましたが、この電気柵は決められている基準を明らかに違反したものであり、安全対策の装置も付けられていませんでした。

市販の電気柵では、人が触れても大量の電気が流れないような安全対策が義務付けられているため、人が誤って触れても怪我をすることはありません。

キャンプ用の熊対策に使える乾電池で作動する小型電気柵については、下記の取り扱い会社にお問い合わせください。

●サージミヤワキ
http://www.surge-m.co.jp/ 
電話 0133-25-2222(札幌営業所) 
石狩郡当別町字東裏1338-10

●ファームエイジ
http://farmage.co.jp/products/   
電話 0120-82-4390
北海道石狩郡当別町字金沢166-8

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登山者が多い山も油断しないこと!

複数で山登りする登山者たちの画像
登山者が多い山では、熊が人馴れしていて人を恐れない熊もいます。

さらに、登山者が不用意に捨てたゴミに餌付いた熊は、人間の食べ物を目当てに近づいてくるので非常に危険です。この場合は、鈴・笛・ラジオなどで音を出すと、熊は人の食べ物の魅力で寄ってくる可能性があります。

近年、鈴・笛・ラジオを所持していても、熊に襲われる被害が増えています。鈴・笛・ラジオを持っていても過信せずに、周囲の気配に十分気を付けながら行動するようにしましょう。

人がたくさんいても油断しない
熊被害に遭わないためには、単独行動より複数で行動したほうがいいですが、かといって人がたくさんいれば絶対安全かというと、そうとも限りません。

2009年9月に、10人が重軽傷を負った熊襲撃事件は、岐阜県乗鞍岳畳平(標高2702m)の駐車場で、大勢の登山者がいるなかで起こりました。

繰り返しますが、熊対策には100%身を守れる対処法というものはありません。そのため、できるだけ複数の対策を組み合わせて、身の安全をできるだけ確保するようにしましょう。


冬の雪山でも熊の襲撃事件は起きている

雪山を歩き回る熊の画像
冬は熊が冬眠するので、熊に襲われることはないだろうと思う人がいるかもしれません。しかし、現実には冬の雪山でも、熊の襲撃事件は起きています。

熊の冬眠は浅い眠りなので、冬眠中であっても周囲の音や振動などで目を覚ますこともあります。そのため、冬眠期間であっても熊は冬眠を妨害されると、穴から出て攻撃してくることもあります。

また野生の熊であっても、すべての熊が冬眠するわけではないともいわれます。暖冬の年には、冬眠期間は短くなりますし、西日本の暖かい南の地方では1~2か月しか冬眠しない熊もいます。

冬のスキー場に熊が出没することもありますので、冬山でも油断は禁物です。

なぜ熊被害は増えているのか

紅葉した山の中を登山する人たちの画像
近年、熊による人身被害が増えている要因の一つに、昔のように人と熊とが、うまく住み分けができなくなった背景が挙げられます。

山の実りが少なければ、熊は山を降りたところにある人里へ向かいます。熊が暮らしている奥山と、人里との間には「里山」と呼ばれる低山帯があります。

かつては熊は山を降りても、里山で人の姿を見かけると、それ以上は近づかなかったのです。

ところが、里山が高齢化と過疎化によって崩壊すると、熊は里山へ降りてきても人の姿を見かけることがなくなり、そのまま人里へと降りてくるようになりました。

また戦後、国の復興政策の一つとして山の広い範囲が伐採され、人の生活のために自然林が人工林に置き換わったことで、山の実りが減り、熊の食べ物が少なくなったために熊は人里に現れるようになりました。

その他にも、地球温暖化の影響で奥山の生態系が変化し、熊のエサが減ったこともあります。

登山する人たちの群れの画像
また、昔と比べると登山者が増え、熊の生息地である奥山まで人が入り込むようになったことも、熊被害が増えた要因の一つです。人間が頻繁に奥山に入り込むようになれば、人を恐れる熊は奥山から出てこざるを得なくなります。

本来、熊は臆病な性格で、人との接近を避ける動物ですが、山の中で人が不用意に捨てたゴミや空き缶に餌付くと、熊は驚くほど変わってしまいます。

人の食べ物の味を覚えた熊は、食べ物の魅力で人に積極的に近づいてくるようになり、非常に危険です。

こうして見てくると、熊被害が増えたのは、熊が変わってしまったわけではなく、人間側の都合によって熊の生活環境が大きく変わってしまったことが原因だということが分かります。

おわりに

秋の登山風景
登山やキャンプで山を利用するときは、熊が生息する地域に入っていくという心構えを持って、しっかり準備しましょう。

熊被害に遭わないためには、まず熊に出会わないように工夫することが大切です。

自分の向かうルート周辺での最近の熊の出没情報を集めることから始め、熊よけスプレーや鈴、防御用鈍器、ヘルメットの装着など熊に遭遇した状況を想定して万全の準備をするようにしましょう。

登山やキャンプでは残飯などを捨てたりせず、一人ひとりが登山マナーをきちんと守ることが熊被害を防ぐことに繋がります。


参考書籍
  • 熊が人を襲うとき 米田一彦著
  • ヒグマとの遭遇回避と遭遇時の対応マニュアル 知床財団発行
  • マタギに学ぶ登山技術 工藤隆雄著
  • 人を襲うクマ 羽根田治著
  • 山でクマに会う方法 米田一彦著
  • 熊に出会った襲われた2




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