頭痛肩こりを漢方で治す 鎮痛薬の多用による悪化を改善!
慢性頭痛に悩む人は約4000万人以上いるといわれています。慢性頭痛のなかでも、近年特に増えてきているのが、薬の使いすぎによる慢性頭痛です。
頭痛・肩こりのときに市販の鎮痛薬などを使えば、痛みは取り合えずは治まります。しかし、鎮痛薬を習慣的に使っていると、やがて薬の使いすぎで鎮痛薬が効かなくなり、頭痛が悪化していきます。
西洋薬の鎮痛薬は、即効性があり痛みから早く解放されるという便利さはありますが、多用していると脳に悪影響を与えたり、頭痛をさらに悪化させてしまいます。
そこで今回は、慢性的な痛みの治療には特に効果のある漢方で、頭痛・肩こりを治す方法についてご紹介したいと思います。
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頭痛・肩こりに、なぜ漢方なの?
慢性頭痛には、4つのタイプがあり、複数を併発してる人も少なくありません。あなたの頭痛はどのタイプですか?
■慢性頭痛の種類■
片頭痛
- ズキンズキン痛む
- 吐き気がある
- 動くと痛みが強くなる

- 頭全体が締めつけられるような痛み
- 動くことはできる
- 伴う症状はない
- 目の奥が痛む
- 片側だけに症状が出る
- ある期間に集中して起こる
- 片頭痛や緊張型頭痛でトリプタン・非ステロイド系抗炎症薬を月に10回以上使う
慢性頭痛とは別に命に関わる危険な頭痛もあります。くも膜下出血や髄膜炎が原因の頭痛には注意が必要です。突然の激しい頭痛や、発熱を伴う頭痛が数日~数週間続いたときは、まず危険な頭痛を疑い一刻も早く受診なさってください。
上記の4つのタイプの慢性頭痛の中で、近年非常に増えてきてるのが、薬の使いすぎによる頭痛です。病院によっては、頭痛外来を受診する人の4割が、薬の使いすぎによる頭痛の患者さんだそうです。

鎮痛薬を多用してると、脳などの中枢神経での痛みの感受性が変化し、少しの刺激でも痛みを感じやすくなります。
その結果、だんだん薬が効かなくなり、むしろ痛みが悪化してしまいます。痛みがあれば、また薬を使うという悪循環で、どんどん症状が悪化してしまいます。
こうなってから頭痛外来を受診すると、医師の指導のもと、頭痛薬の種類を変えたり、片頭痛の人は予防薬を使用して鎮痛薬の使用頻度を減らしていきます。
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西洋医学で症状が改善されない、あるいは副作用がある場合、漢方を用いるのも一つの方法です。
痛みが出た時に、痛みだけを止める鎮痛薬と違い、漢方医学は痛みの原因となる身体のアンバランスを調整して痛みそのものが出ないように治療します。
私も長年、漢方薬を愛用していますが、体質に合う薬に出会えたときには、副作用もほとんどなく実によく効きます。
それでは、頭痛・肩こりに効く漢方薬には、どのようなものがあるのかを一緒に見ていきましょう。
頭痛・肩こりに効く漢方薬

頭痛や肩こりが起こるとき、その背景には冷えがあったり、気・血・水の滞りがあったりすることが多いもの。たとえば冷え性を漢方薬で改善すると、頭痛と肩こりの両方がよくなることもあります。
下記に頭痛に使われる漢方薬をあげてみました。
葛根湯(カッコントウ)
比較的体力があり、胃腸のじょうぶな人の首から肩にかけてコリがある緊張型頭痛に用いる。
ただし葛根湯には麻黄剤が入っているため、心臓や腎臓に持病のある人には使えない。強い処方なので体力が弱ってる人も避けたほうがよく疾患をいくつも抱えてるような高齢者は症状を悪化させる危険性があるので要注意。
ただし葛根湯には麻黄剤が入っているため、心臓や腎臓に持病のある人には使えない。強い処方なので体力が弱ってる人も避けたほうがよく疾患をいくつも抱えてるような高齢者は症状を悪化させる危険性があるので要注意。
黄蓮解毒湯(オウレンゲドクトウ)
比較的体力があり、のぼせ、肩こり、イライラ、不眠、顔色が赤いなどの頭痛に用いる。高血圧にともなう頭重感や肩こり・めまい・動悸などに用いる。
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大柴胡湯(ダイサイコトウ)
体格、体力ともに充実した人で、上腹部がはって痛み、頭痛、便秘、耳鳴りなどがある場合に用いる。
五苓散(ゴレイサン)
体質(証)にそれほどこだわらず使える。のどが渇き水を飲んでも尿量が少なく、むくみ、吐き気、下痢などのある人の頭痛・頭重に用いられる。
釣藤散(チョウトウサン)
中年以降の人で、慢性的な頭痛、高血圧ぎみ、めまいなどのある人に用いられる。起床時に痛みが起こり数時間で治るタイプの頭痛や、怒りっぽく神経質なタイプの頭痛に用いられる。
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
比較的体力のある人で、冷え性で、のぼせる傾向があり、充血しやすく、頭痛、動悸、息切れ、めまい、肩こりなどがあり、下腹部が張り、押すと痛みがある場合に用いる。
代表的な女性薬として月経不順や更年期障害などにも用いられ、体質改善薬として冷え性、のぼせ、便秘、肩こりなどの症状にも効果がある。女性ばかりではなく、男性にも広く用いられる。
代表的な女性薬として月経不順や更年期障害などにも用いられ、体質改善薬として冷え性、のぼせ、便秘、肩こりなどの症状にも効果がある。女性ばかりではなく、男性にも広く用いられる。
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五積散(ゴシャクサン)
上半身がのぼせ、下半身が冷えて、みぞおちにつかえがある場合の頭痛、発熱、肩こりに用いられる。体がひどく弱ってる人は、強い副作用が現われる恐れがあるので注意が必要。
葛根加朮附湯(カッコンカジュツブトウ)
肩や首筋にコリがあり、寒気・発熱・頭痛をともなう場合。葛根湯にさらに温める作用の生薬を足したもの。
抑肝散(ヨクカンサン)
緊張型頭痛には気の処方も。神経過敏で興奮しやすく、イライラする、眠れないなどの精神神経症状がある場合に用いる。
抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)
抑肝散を用いる場合と同様の症状で、高齢で胃腸が虚弱な場合に用いる。神経興奮が著しく、皮膚が乾き、へその左からみぞおちにかけて動悸を感じるなど、より体力が低下して慢性化している場合に用いる。
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麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)
体力の低下した人、あるいは高齢者の風邪のひきはじめの寒け、微熱、全身倦怠感、ふしぶしの痛みや頭痛に用いる。
呉茱萸湯(ゴシュユトウ)
比較的体力のない人で、手足が冷え、吐き気をともなった発作性の激しい頭痛があり、みぞおちがはって、うなじや肩がこるような場合に用いる。習慣性の頭痛、嘔吐、しゃっくりなどに効果がある。
半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)
体質虚弱な人で、胃腸が弱く、足の冷えがある場合の緊張型頭痛、頭重、めまいに用いられる。ときに吐き気、全身倦怠感などをともなう場合、胃下垂、低血圧症などに用いる。
加味逍遥散(カミショウヨウサン)
体力が中等度、あるいはそれ以下の虚弱体質の人で、疲れやすく、肩がこり、頭痛・頭重、めまい、不眠、イライラがあり、また上半身がのぼせやすいといった症状に用いる。
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桂枝人参湯(ケイシニンジントウ)
胃腸が弱い人の、頭痛、動悸、慢性胃腸炎などに用いる。虚弱な人の発熱、頭痛、下痢をともなうような風邪にも効果がある。
当帰芍薬散 (トウキシャクヤクサン)
比較的体力の低下した人で、足腰が冷えて疲れやすく、貧血ぎみ、排尿回数は多く尿量は減少し、下腹部の痛み、めまい、耳鳴り、動悸、肩こり、頭重などに用いる。主に、体力の衰弱した女性のための薬として知られ、安産の薬として妊娠時にも用いられる。
川闃賜ヲイ散(センキュウチャチョウサン)
体力の程度にかかわらず、風邪などの初期の頭痛のほか、寒気、発熱などがある場合に用いる。また血の道症にも用いる。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)
体質虚弱で、手足が冷え、頭痛、吐き気、下腹部痛、腹痛、しもやけなどがある場合に用いる。
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頭痛・肩こりの市販薬の副作用

消費者庁は、2013年度までの5年間に市販薬の服用で起きた副作用の報告が1225症例に上ったと発表しました。
風邪薬で400症例、解熱鎮痛消炎剤が279症例、漢方製剤134症例。そのうち死亡例は15症例。後遺症が残ったケースも15症例。
ドラッグストアなどで手軽に購入できる市販薬は、比較的安全だと思われていますが、市販薬にも副作用はあるので注意が必要と呼びかけています。
ま と め

- 即効性の高い漢方薬もある
- 健康保険が適用される漢方薬は約150種類
- 自分の体質に合った漢方薬を見つけるためには、医療機関での処方が望ましい
漢方薬といえば即効性がなく、改善に時間がかかるというイメージを持っている人も多いと思いますが、実際には、風邪などで起こる頭痛に使う頓服など、一服でピタっと治せる即効性の高いものも沢山あります。
費用の面においては、現在、約150種類の漢方処方に健康保険が適用されていますので、少ない負担で利用できます。ただし、自費診療の医療機関もあるので、受診の前に確認しておいたほうがいいでしょう。
漢方薬は西洋薬に比べると副作用は少ないといえますが、副作用が全くないわけではありません。自分の体質に合っていないものを使ったときは副作用が出る場合もありますし、アレルギー反応が起こる場合もあります。
漢方薬は市販もされていますが、自己判断で自分の体質に合う漢方薬を見極めるのは難しいので、できれば医療機関で処方してもらい、副作用も含めて、その後の経過をきちんと診てもらうほうが望ましいでしょう。
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