カラスが鳴く理由 夜中に鳴くと不吉?鳴き声の意味を簡単に紹介
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カラス~♪なぜ鳴くの?
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カラスの勝手でしょう~♪
カラスはカァーカァーと、本当によく鳴きますよね。毎日カラスの鳴き声を聞かない日はないぐらいカラスの鳴き声は、私たちの生活に身近なものとなっています。
しかし、カラスがどうして鳴いているのか、その理由が分からないので、群れで鳴きさわいだり夜中に鳴いたりすると、これは何か不吉な前兆かと不安になります。
カラスは、人を不安にさせるほど実によく鳴きますが、なぜあんなに鳴くのでしょうか?今回は、カラスの鳴く理由と鳴き声の意味についてお伝えします。
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カラスの鳴き声は種類によって異なる
カラスの鳴き声は、種類によっても微妙に違ってきます。日本に一年中いるカラスは、ハシブトガラスとハシボソガラスの2種類です。「ハシ」とは、くちばしのことで、くちばしが太いのが「ハシブトガラス」、細いのが「ハシボソガラス」です。
この他にも、主に冬に、ミヤマガラス、ワタリガラス、コクマルガラスも日本に渡ってきますが、私たちが普段よく見かけて、人がカラスの被害を受けるのは、ハシブトガラスとハシボソガラスの2種類です。
ハシブトガラスの鳴き声

- カァーカァーと澄んだ声で鳴く。
- 額(ひたい)が盛り上がっている。
- くちばしは分厚く太い。
- 樹木がある環境を好み、森や林や都会に多い。
- 両足をそろえてピョンピョンはねるように歩くことが多い。
ハシボソガラスの鳴き声

- ガーガーと濁った声で鳴くことが多い。
- 額(ひたい)は盛り上がらない。
- くちばしは細い。
- 郊外の農村部や草原に多いが、地域によっては都市部にも多い。
- 脚を交互に出してノコノコ歩くことが多い。
- 鳴く時に、頭を上下させお辞儀のような動作をする。
カラスの種類によって基本の鳴き声が違うことを見てきましたが、それでは次に、カラスが鳴く理由について、一緒に見ていきましょう。
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カラスが鳴く理由
カラスが頻繁に鳴く理由は、ひとことで言えば、仲間たちとコミュニケーションを取りあって生きているためです。
「カア」と鳴く声には、個体ごとに特徴があり、カラスは他のカラスの鳴き声と顔を識別できるといいます。つまり、「カア」と鳴けば、回りのカラス達には、「あぁ、あいつか」と分かるのです。
ハシブトガラスに至っては、鳴き声を聞いただけで、そのカラスと自分との力関係まで思い出せるというのですから驚きです。
ただし、カラスの鳴き声の意味については、詳しくは解明されていません。その理由は、カラスの鳴き声が複雑すぎるから。
一般に、鳥の声には「さえずり」と、日常の鳥たちのコミュニケーションの「地鳴き」があります。
【鳥の鳴き声】
◆さえずり・・・求愛・縄張り宣言のとき
◆地鳴き ・・・日常のコミュニケーション
◆さえずり・・・求愛・縄張り宣言のとき
◆地鳴き ・・・日常のコミュニケーション
ところが、カラスの場合「さえずり」と「地鳴き」の違いが、分かりにくいのです。そういえば、カラスがさえずってるイメージってないですよね。
さらに、都会に多いハシブトガラスにいたっては、40種類以上の鳴き声があり、その鳴き方を使い分けるだけでなく、さらに、その組み合わせによってコミュニケーションをとっていると言われるので、とても複雑です。
それに比べてハシボソガラスは、たまに「キャンキャン」と甲高い声で鳴くこともありますが、たいていは「ガーガー」という濁った鳴き声がメインです。

ハシブトガラスの鳴き声の種類が多いのは、樹木の多い山間部に好んで住みつくためです。見通しの悪い森林の中では、仲間たちの姿が見えにくいため、鳴き声で互いの意思疎通をとりあう必要があったため、ハシブトガラスは鳴き声のバリエーションが豊富になったと考えられています。
このようにカラスの鳴き声の種類が豊富なことと、コミュニケーションの取り方が複雑なため、カラスの鳴き声については、実はよく分かっていない部分も多いのです。
しかし、幾つかのパターンについては、カラスが鳴く理由が分かっています。では次に、カラスの鳴き声の意味について一緒に見ていきましょう。
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カラスの鳴き声の意味
カラスがなぜ鳴くのか、幾つかのシーンで理由が分かっているものもあります。- 朝の縄張り宣言(目立つ所でカッ、カッ、カッと鳴く)
カラス
ここはオイラの縄張りだから近づくなよー!
- 縄張り内に入ってくるものに対して「カッカッカッ」と警戒鳴き(警戒の相手は、カラス・人間・猫などいろいろ)
カラス
オイ!あっちへ行け!
- 警戒鳴きを無視して近づくものに対して強く連続して「ガァガァガァガァガァ」と威嚇鳴き。
警戒モードが高まるほど鳴き方が速くなるので要注意!
カラス
オイ!コラー!立ち去らないと攻撃するぞー!
- 朝のゴミ置き場で「カーカーカー」と鳴いて仲間を呼び寄せる
カラス
おーい!メシだぞ!
録音した「カーカーカー」というカラスの鳴き声を再生するとカラスが集まります。
- ねぐらなどに近づいた時に大勢で「カァーカァー」と鳴く
カラス
危ないヤツがいるぞ!気をつけろ!
- 早朝にねぐらの森から出ていくときに「カァ~~カァ~~」と間延びした鳴き声の場合(目的地まで一緒に行動するつがいの相手と、はぐれないように連絡を取り合う)
カラス
あなた、こっちよ~!
カラスが人を襲うときには、その前に必ずカラスの鳴き声が変化します。後ほど、「繁殖期にカラスが鳴く理由」の章でも、詳しくご紹介しますが、カラスの鳴き声が、強く速く連続し始めたときには、注意が必要です。
また、実験によると、ハシブトガラスの集団では、よく鳴くカラスが決まってるそうです。
ひと声だけの「カァ」という声は、すべてのカラスが出しますが、「カァ、カァ、カァ」と鳴いてエサの存在を仲間に知らせるのは、強くて地位の高いカラスです。
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ちなみに、カラスの集団にも順位があります。といっても、カラスのボスが、他のカラスを従えてるという感じではなく、強いカラスは、エサを見つけた時に真っ先にエサにありつけるというだけで、他のカラスに何かを命令したりはしません。
強いハシブトガラスは、鳴くことによって仲間を呼び集め、採餌中のリスクを減らそうとします。
この他にも、カラスが鳴くパターンには、いろいろありますが、その中でも、特に私たちが気になる「夜中にカラスが鳴く理由」について、次に見ていきましょう。
夜中にカラスが鳴くと不吉?

「カラスが夜鳴くと、災いの起きる兆し」(秋田県など)
「夜、カラスが鳴きわたると、死人の出る知らせ」(沖縄県)
「夜、カラスが鳴きわたると、死人の出る知らせ」(沖縄県)
日本各地には、「カラスが夜鳴くのは不吉な前兆だ」という言い伝えが残っています。
たとえば、「夜、カラスが鳴きわたると、死人の出る知らせ」という言い伝えがありますが、これは、夜にカラスが鳴くから人が死ぬのではなく、人が死んで通夜があるからカラスが鳴くのです。
つまり通夜で人の出入りがあると、食べ物が出るかもしれないので、カラスが様子を見に集まることがあるため、そこから発生した言い伝えでしょう。
カラスは、真っ黒で死肉も食べ、おまけに鳴き声も不気味となれば、カラスが不吉な鳥と思われるのも致し方ない気がします。
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しかし、専門家に聴くと…
◆夜にカラスが鳴くことは、特に珍しいことではないとのこと!
カラスは、夜は、ねぐらの森などで集団で眠る習性があります。そのねぐらの近くでは、夜にカラスの鳴き声を結構聞けるんだとか!ねぐらで何か危険が迫ってるときに警戒してカラスが鳴くことは、よくあることだそうです。
また夜に、カラスは他のねぐらに移動することもあるので、そんなときは、2羽で鳴きながら深夜に飛んでいきます。
子育て中のカラスの場合は、夜も、ねぐらの森に帰らずに、巣の付近で眠ることもあります。子育て中は、特に神経質になっているので、警戒のため鳴きさわぐこともあります。
ちなみに…
◆カラスは夜でも目が見えます。
夜まったく物が見えない「鳥目」なのは、ニワトリです。カラスは、月明かりや星明かり程度の明るさでも、人よりは目が見えているといわれます。
カラスA
昼に鳴くと、うるさいって言われるし…
カラスB
夜に鳴くと、不気味だって言われるし…
カラスA
オレ達、いつ鳴いたらいいんだ?
カラスが鳴くのは地震の前兆?

カラスの大群が鳴きさわぐと、地震の前兆なのでは?と思う人もいるようです。
この件に関して気象庁に問い合わせたところ、カラスに地震の予知ができるかということについては、「科学的に実証されていないので分からない」という回答でした。
大地震の前にカラスが鳴きさわいでいたという報告もありますが、その反対に、いつもと変わらなかったという報告も多いそうです。
地震となると広い地域にわたりますが、本当にカラスに地震予知の能力があるのなら、その地震全域にいるカラス全体に何らかの行動の変化が見られると思うのですが、今のところ、そのような報告はないようです。
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また空を自由に飛べるカラスが、大群で鳴きさわぐほど地震を恐れる必要があるのかどうかも疑問です。
地震の前に発生する電磁波を感じ取ってカラスが鳴きさわぐのではないかと言われてるようですが、カラス以外の動物、たとえばナマズの地震前の異常行動はよく知られていますよね。
水中や地中に生息する動物は、地震の影響をもろ受けるので、地上や空を飛ぶ生きものよりも、地震を予知するのが早いと言われるのは納得できます。
しかし、カラスにいたっては、地震が直接生命の危機につながることはないので、群れで鳴きさわぐ必要性があるかどうかは疑問です。
ただ、カラスには、人が感じられない特殊能力があるのかもしれませんが、現段階では、カラスに地震予知能力があるかどうかは、よくわかっていません。
繁殖期にカラスが鳴く理由

春になり、カラスの繁殖期になると、カラスの鳴き声がにぎやかになります。カラスの種類によって繁殖時期が少し異なりますが、だいたい3月~7月がカラスの繁殖期です。
カラスは、縄張りを確保して繁殖する鳥なので、その縄張りを宣言するために、目立つところにとまって大きな声で「カァーカァー」とよく鳴きます。
これだけカラスが増えて密度も高く、縄張りが錯綜しているにもかかわらず、カラスの取っ組み合いのケンカを見ることは稀です。ある意味、よく鳴き合うことで、平和的に領土問題を解決しているのでしょう。
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また、カラスが人を攻撃するのは、子育て中がほとんどです。そして人へ直接攻撃してくるのは、ほとんどがハシブトガラスのほうです。ハシボソガラスも稀に攻撃することもありますが、ほとんどはハシブトガラスのほうです。
カラスも、好きこのんで人を攻撃してくるわけではなく、わが子を守るために必死なんですね。人からすると、いきなり攻撃されたと思いますが、カラスからすると、攻撃する前に、ちゃんと手順を踏んで鳴き方を変えて警告を発してるわけです。

では、カラスはどのような段階を踏んで、攻撃してくるのでしょうか。
まず、カラスの縄張り内に、カラスにとっての危険人物が入ってくると、カラスは「カァーカァー」と警戒鳴きをします。それでも、人間は気づきません。
人が更に近づくと、カラスは鳴きながら飛び回り、「おーい!あっち行けよ!」と警戒鳴きをします。
それでも危険人物が、カラスの警戒鳴きを無視して接近してくると、今度はその危険人物の近くまで行って「ガァガァガァ」と威嚇鳴きをします。「オイ!あっち行けって言ってるだろ!!」とカラスは、退去命令を発しているわけです。
それでも危険人物が巣やヒナに近づいてくると、カラスの夫婦は、木の枝や葉を激しくつついて下に落としたりします。
「ヒナが危ない!!」とカラスの危機感は頂点に達します。

子育て中のカラスは、「わが子を守らなくちゃ!」と、とうとう人の頭めがけて低空飛行して、両脚で危険人物の後頭部を蹴るというわけです。
道路をただ歩いていただけでカラスにいきなり攻撃された人は、そりゃー驚きますよね。こういう場合は、巣立ちビナが地面にいることが多いです。
ヒナを人に取られたりしないかと親ガラスは気が気でないのです。親ガラスは、必死の思いで、ヒナに近づく人間に、手当たり次第、通り魔的に襲い掛かります。
カラスの攻撃から身を守るためには、傘が効果的です。カラスは、人の目がある前からは攻撃してきません。カラスは、後ろから(たまに横から)攻撃してくるので、傘で後頭部を隠すようにすると効果的です。

おわりに

カラスが鳴く理由をいろいろ見てきましたが、賢いカラスは、私たちと同じように、仲間たちとコミュニケーションをとりあって生きている生きものなのです。その時々で、いろいろな鳴き声を使い分けながら、私たち人間が会話をするように、カラスもコミュニケーションを取り合っています。
カラスにとっては、普通に会話してるだけなのでしょうが、昼間に鳴くと、うるさいと言われ、夜に鳴くと不気味だと思われ、カラスもなかなか大変ですよね。

【カラスについての記事を集めてみました。】
◆カラスの知能指数!鳥類No.1の頭脳とは!
◆カラスの撃退グッズって効果あるの?
◆白いカラス!日本には茶色もいるよ
◆カラスの好きな食べ物・嫌いな食べ物 好物ベスト10は?
参考書籍
- カラスの常識 柴田佳秀著
- カラスなぜ遊ぶ 杉田昭栄著
- カラスの補習授業 松原始著
- カラスはなぜ東京が好きなのか 松田道生著
- カラスはホントに悪者か 大田真也著
7月11日夜9時50分頃カラスが夜に沢山鳴いてました。
天変地異の現象の前触れかも?しれません。
北海道札幌市
工藤満枝様
コメントどうもありがとうございます。
天変地異の前触れですか・・・ここのところ、あちこちで地震や豪雨災害が起きているので、いつどこで何が起きるか分かりませんものね。
夜にカラスが鳴き騒ぐと、何となく不安にかられるお気持ちも分かります。
ただ、今の時期は、カラスの子育て期間中なので、カラスもいろいろ神経質になってるのかもしれませんね。
いずれにしても、何も起きないことを祈っています。