サンタさんは本当にいるの?アメリカに実在したシークレットサンタ


「サンタさんは本当にいるの?」

幼い子供に、そう聴かれて戸惑うお父さん・お母さんも多いことでしょう。

サンタさんは本当にいるのと尋ねる子供のイラスト
そんな時に、子供の純粋な夢を壊さずに、「うん♪サンタさんはいるよ!」と話してあげたいですよね。

今回は、そんな時にお役に立てる実話、アメリカに実在した「シークレットサンタ」についてお話してみたいと思います。

シークレットサンタについては、数年前に「アンビリバボー」でも紹介され、ご覧になった方も多いと思います。

2007年1月12日、ラリー・スチュワートという一人の実業家が亡くなったニュースが、全米を悲しみの渦に巻き込みました。

このラリー・スチュワートという人物こそが、27年もの長きに渡って、クリスマスに、見ず知らずの貧しい人たちにお金を配って、沢山の人たちを愛で救ってきた謎のヒーロー「シークレットサンタ」その人だったのです。

まさに現代のサンタクロースであるラリー・スチュワートという人物は、どのような人だったのでしょうか。

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シークレットサンタの極貧生活を救った天使

1971年11月、ラリー・スチュワートは、23歳の時、会社が倒産し、お金も底をつき空腹を抱えて街をさまよっていた。

やがてラリーはあまりの空腹に耐えきれず、自分にお金がないことも忘れて無意識にふらふらと1軒のレストランに入ってしまう。そこで取りつかれたように沢山の料理を注文して、無我夢中で空腹を満たした。

無銭飲食b
請求書を出された時に、ようやく我に返り、支払うお金を持っていないことに気付いた。

何とかその場を取り繕おうと、ポケットの中を探すふりをして財布を落としたように装おうとしたが、このままでは無銭飲食で警察に突き出されても仕方がない・・と諦めかけたその時だった。

「お客さん、これ、そこに落ちてたよ」と、その店の人が、20ドル紙幣(現在の2400円)をラリーに渡してくれたのだ。

20ドル紙幣
その20ドル紙幣のお陰で、ラリーは会計を済ませることができ、無銭飲食で警察に捕まらずに済んだ。

ラリーにとっては、まさに天使がくれた20ドル!

この人生の最大の苦境で、偶然手に入れた20ドル紙幣こそが、後にラリーの運命を変える重大な鍵となる。

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極貧のどん底生活で悪魔の誘惑が・・・

運よく手にした20ドルの残りを旅費にして、ラリーはカンザス州に移り住み、警備会社を立ち上げ懸命に働いた。

やがて結婚し子供も授かってラリーは幸せな生活を手に入れたかに見えたが、1977年12月、不況のために会社は倒産。その日の食事代にも困るほど、ラリー一家は追い詰められた。

サンタ失業
子供に食べさせるお金もなくなり、焦りと貧しさがラリーの心に悪魔を呼び寄せた。ラリーは銃を懐に入れ、銀行に行き、強盗を働こうとした。だが、銀行の窓口で、20ドル紙幣を見た瞬間、ラリーはハッと我に返った。

前にレストランで渡された20ドル紙幣のことを思い出し、自分を救ってくれた20ドル紙幣を見て、ラリーは我に返り、あやうく銀行強盗を思いとどまった。

改心したラリーは、その後、妻の兄からの援助を受けて、セールスマンとして懸命に働いた。

しかし、神は、またしても彼に試練を与える! 

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シークレットサンタの誕生

1979年12月、会社の経営が苦しいということで突然ラリーは解雇される。貧しさに負けまいと必死で頑張ってきたのに、またしても失業してしまったラリー。

失業b
もう助けてもらうあてもなく途方に暮れていた時、ふと目にした売店に、ラリーは、ふっと立ち寄り、ポップコーンを注文した。

店員の女性は、元気のない暗い表情で、ラリーが注文したものとは違うものと、おつりをラリーに渡した。

普通なら、注文したものと違うものを渡されたら店員に文句を言うところだが、ラリーは違った。

ラリーは、その店員の女性の表情から、彼女が困っているのだと気付き、おつりの中から20ドル紙幣を彼女にプレゼントしたのだ。

彼女は見ず知らずの人から、そんなお金を受け取れないと断ったが、ラリーは、「メリー・クリスマス」と言って彼女に20ドル紙幣を手渡した。その日は、ちょうどクリスマスだった。

その女性は、とても嬉しそうに「ありがとう!」とラリーにお礼を言った。その彼女の喜ぶ笑顔は、ラリーの辛い心を癒し、ラリー自身も温かい気持ちになった。

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そして彼は、突然、思いも寄らない行動をする。ラリーは銀行へ行き、なけなしのお金を全額引き出すと、白いオーバーオールと赤い服と赤い帽子を身にまとい、街中へと繰り出した。

そしてお金に困ってそうな人たちや、ホームレスの人たちに「メリー・クリスマス」と言って、20ドル紙幣を渡していった。

シークレットサンタが誕生した瞬間だった。

santa
この年以降、ラリーは1年も欠かすことなく、クリスマスになると街に繰り出しサンタ活動をし続けた。

20ドル(現在の約2400円)は大金ではなかったが、お金に困ってる人たちにとっては大きな助けとなる。20ドルを渡された人たちは、皆、心から喜んだ。

そして人々が心から喜んでくれることが、ラリーのその後の人生に、大きな影響を及ぼすことになる。

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家族にも隠しつづけたサンタ活動

家に帰ると、妻から「銀行に行ったら、お金が残っていなかったけど、何に使ったの?」と尋ねられ、ラリーは落としてしまったと嘘をついた。

しかし妻は怒ることもせず、「仕方がないわね。でも、あなた、なんだか幸せそうな顔してるわね」と微笑んで文句も言わなかった。

翌年の1980年、ラリーは知人と共に、長距離電話会社を興し、懸命に働き始めた。

そして、その年のクリスマスにも、ラリーは街中で人々に現金をプレゼントする活動を続けた。そのプレゼントの金額は毎年少しずつ多くなっていった。

不思議なことに、シークレットサンタとして人々に施しをすればするほど、会社の業績も上がり、長年の切り詰めた生活から、ようやく抜け出し、家族の為に、家や新しい車を買ってやることも出来るようになった。

その後もラリーは、自分がシークレットサンタであることを家族にも隠し、毎年クリスマスにシークレットサンタの活動を続けていった。

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そして9年目のクリスマス、ラリーがシークレットサンタであることが、とうとう妻にバレてしまう。

妻に「すまない・・・」と謝るラリーに向かって、妻は「どうして謝るの?素敵なことじゃない!これからは、もっと節約して沢山の人を助けられるように協力するわ」と言い、以後、ラリーのサンタの活動を家族は陰から支えた。

夫婦愛b

1995年、地元ではすっかり有名になっていたシークレットサンタに取材要請が来た時、ラリーは匿名を条件に取材を受けた。

取材した記者によると、「ラリーさんは決して表舞台に出ようとしませんでした。名前はもちろん、家族のことも一切秘密にしていました」と語っている。

しかし匿名の報道がされてから、人々のシークレットサンタの正体への関心は、いっそう高まっていった。

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自分を救ってくれたあの天使に会いたい!

ラリースチュワート背景b

ラリーは多くの人たちから感謝されるにつれて、ある人物との出会いの記憶が鮮明になっていった。

「どうしても、あの人に会いたい!」ラリーの思いは、つのった。1999年12月、ラリーはその人物に会うためにミシシッピー州の小さな町を訪れた。

その人物とは、28年前、ラリーが一文無しでレストランで無銭飲食をした時、床に落ちていたといって20ドル紙幣をラリーに渡して救ってくれた人物、テッド・ホーンだった。

その20ドルは、実際は床に落ちていたのではなく、ラリーを無銭飲食から助けようとして、その人は自分の20ドル紙幣を、わざと床に落とし、さもラリーが落としたお金であるかのように装ってくれたのである。

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その時の恩を、ラリーはずっと忘れなかった。

「あなたが私にしてくれたことを、いつか私も人にしようと決めていたんです。あなたがいなければ、私はきっと刑務所に入ることになっていたでしょう。あの時のご恩へのせめてものお礼です。これを受け取ってください」と言って、ラリーは、その恩人テッドに1万ドル(約120万円)を渡した。

実に28年振りの恩返しだった!

28年ぶりの恩返し
しかしテッドは、その120万円は受け取らず、近所の病気で困ってる人たちや、生活の苦しい人たちのために使ったという。

その後、ラリーのシークレットサンタの活動は、全米へと広がっていった。

2001年には、世界貿易センタービル爆破テロ事件で、多くの犠牲者を出したニューヨークへ行き、ホームレスや職を失った人たちに、2万5000ドル(約300万円)を配った。

2005年には、ハリケーンで壊滅的な被害を被ったミシシッピ州を中心に、7万5000ドル(約900万円)を配った。

27年間に及ぶ活動で配った総額は、150万ドル(約1億8000万円)。

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癌におかされ余命わずか・・・

2006年、ついにシークレットサンタは、カメラの前で自分の正体を現した。何十年間も正体を隠し続けてきたラリーが、なぜ正体を明かす気になったのか?

実は2006年4月、ラリーは食道ガンのため、治療しなければ1ヶ月生きられないと宣告されていた。彼は自分の死期を悟り、カメラの前で自分の正体を明かす決心をしたという。

シークレットサンタ末期癌
最期の命をふりしぼって、ラリーは人々に、「身近な人へ小さな思いやりを広めていってほしい」というメッセージを伝えたかったのだろうと記者は語る。

正体を明らかにしたラリーに対する反響は、すさまじかった。

なんと2日間で7000通もの手紙やメールが届き、その大半が、自分もシークレットサンタになって、幸せを人々に配りたいというものだった。

癌の宣告から8ヵ月後、その年のクリスマスにも、ラリーは、いつも通りシークレットサンタの姿となり、癌に蝕まれた体をおして人々にお金を配り続けた。

人々に愛を分け与え、そして年があけた2007年1月12日、ラリー(58歳)は静かに息を引き取った。

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世界中に広がるシークレットサンタ

シークレットサンタ

ラリーが亡くなった後も、ラリーの遺志は世界中の多くの有志に引き継がれることになります。

生前ラリーは、シークレットサンタ協会(SECRET SANTA USA)を設立していました。

会員資格は、「少なくとも1回、他人への親切な行為を行うこと」。

そこには、今も世界中から登録の申し込みが後を絶たないといいます。

ラリーは亡くなりましたが、ラリーの精神は永遠に受け継がれ、ラリーは「永遠のサンタ」となったのです。


シークレットサンタ、ラリー・スチュワートの言葉

イブの夜b
生前、ラリー・スチュワートが遺してくれた言葉をご紹介します。

「人々に優しくすると、私は温かい気持ちになれます。それは二重の喜びであり、相手のためだけではなく、自分のためにもなるのです。」
 
「ほかの誰かを助けることこそが、私たちの生きる目的なのです。」

クリスマスやイヴの日は、美味しいケーキやご馳走を食べて喜ぶ日ではなく、他の人に愛を分け与えることの大切さを再確認させてくれる日であることを、シークレットサンタは教えてくれます。

メリークリスマスのロゴbあなたに幸せが訪れますように♪





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