カラスの知能指数!鳥類No.1の頭脳とは! 


カラスって本当に賢いですよね。カラスの撃退グッズも、カラスが学習してしまうと途端に効果がなくなってしまいます。

カラスは、鳥の中では知能の高さはピカイチだといわれますが、カラスの知能指数ってどの位なんでしょうね。カラスは鳥類なので、人間のように知能指数を測ることはできませんが、カラスが、6まで数を数えられることは分かっています。


↑スノボーするカラス


また、カラスは、好奇心旺盛で観察力も鋭く、子供が公園のすべり台で遊ぶのを真似して、カラスもすべり台で滑って遊んだり、自分の好みのもの(ボタン・クリップ・輪ゴムなど)を収集して楽しんだり、時には、電線や木の枝などに逆さまにぶら下がって遊んだりもします。

このように生きていくのに全く必要のない遊びという行動をするのは、知能の高い証拠だともいわれます。

今回は、そんな賢いカラスの知能について探ってみました。

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カラスの知能指数は?


<↑カラスが、短い木の枝から長い木の枝へと道具を使い分けながらエサをとる動画です。カラスの知能の高さが分かります↑>

カラスの脳研究に詳しい宇都宮大学の杉田昭栄教授によると、カラスは、簡単な三段論法的な知能行動ができるといいます。人間では7歳くらいから、この三段論法的思考ができるそうです。

【三段論法とは】推論の方法の一つ。
  • AはBである
  • BはCである
  • よってAはCである

つまり、カラスは、こと「生きるため」という能力においては、小学校低学年程度の思考能力を持っていると考えられています。

しかし動物の知能の高さを、どのように測ったらいいのか、また、そもそも賢いということは、どういうことを示すのかとなると明確な答えはありません。


ポイント!
  • カラスの知能指数は計測のしようがない
  • カラスの知能は小学校低学年程度(ただし、人間同様、個体差はある)

それでは、鳥類No.1の知能をもつカラスの頭の中はどうなっているのか、次にカラスの脳について一緒に見ていきましょう。

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カラスの脳の大きさ


カラスの脳の大きさは、ニワトリやアヒルなど他の鳥と比べると、とても大きいそうです。日本で一番身近に見られるハシブトガラスとハシボソガラスの脳を比べると、鳴き声の種類の豊富なハシブトガラスのほうが、ハシボソガラスよりも、少し脳が大きめです。

脳の発達の度合いを示すものの中に「脳化指数」というものがあります。脳化指数とは、動物の体全体の大きさに占める脳の大きさの割合を示したものですが、その脳化指数を見ると、カラスは、犬・猫よりも大きいのです。

カラスの脳化指数・他の動物との比較表
カラスのイラストA
脳化指数の値だけで動物の賢さは測れませんが、ヒトに次いでイルカ、チンパンジーというように、一般的に能力が高いと考えられている動物が上位をしめている脳化指数は、ある程度、賢さの目安になります。

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カラスの記憶力


ワシントン大学のジョン・マーズラフ教授によると、ニューカレドニアで捕獲したカラス(ニューカレドニアに生息するカラスは、知能が高いことで有名)は、5年半経過しても、捕獲した人間の顔を覚えていて、近くを通ると威嚇行動をするといいます。

5年半というのは、マーズラフ教授が、その事について書いた本が出版された時点の話であり、おそらくそれ以降も、カラスは危険人物の顔を、ずっと覚えているでしょう。

なぜなら、カラスは、他の仲間たちや自分の子供たちにも危険人物の情報を伝えるからです。

その証拠に、5年半前にカラスを捕獲して実験のために足環をはめただけなのですが、その現場を見ていなかったカラスたちも、足環をはめた人間に一斉に威嚇行動をするようになっていったというのです。

カラスの群れの写真

また、宇都宮大学の研究では、15人の人の顔写真を貼った容器の一つだけにカラスの好物であるドックフードを入れて覚えさせると、15人の顔をしっかり覚えて100%近い正解率を出すといいます。

しかも3週間ほど後に、もう一度同じことを試しても、カラスの成績はほとんど変わらないというのですから驚きですよね。

またカラスは、エサをあらかじめ隠しておいて、後で取り出して食べるという行動「貯食」が見られますが、野生のカラスは、100ヶ所以上の場所に隠しても、その場所をちゃんと覚えているそうです。

カラスの貯食行動のイラスト
仲間のカラスに隠し場所を見られたときには、あとでこっそり戻ってきて、別の場所に隠し直すんだとか。

おまけに日持ちがする物、いたみやすい物などをきちんと区別して貯えておき、腐る前に食べにくるというのですから、カラスの記憶力恐るべしです!

冷蔵庫の奥に食品をしまっておいたことを忘れて、気づいたときには賞味期限切れだったという私は、カラス以下の記憶力ということになるのでしょうか(笑)。

さらに、カラスのこの驚異の記憶力は、年をとっても衰えません。鳥の脳は、成鳥になっても新たなニューロンをつくりだすので、老ガラスになってもボケることはないというのですから羨ましい限りです。

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カラスの知能の高さ

カラスの知能の高さは、カラスの食行動によく表れます。

◆カラスの知能の高さが分かる実験


↑上の動画(無音声)は、カラスの知能の高さを測る実験です。カラスが、容器に入ってる水を飲もうとしますが、先の細い容器のため、くちばしが届かず水を飲めません。

そこでカラスは、容器に小石をどんどん入れ水面を高くして水を飲むことを考えます。

石の容積分だけ器の水かさが上昇するということにカラスが気づいたのは、アルキメデス並みの発想力だと、カラス博士の杉田教授はいいます。

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◆クルミを、車にひかせて割って食べる


カラスが車にクルミを割らせるイラストB
カラスが、車にクルミをひかせて割って食べる話は、有名ですよね。私も、実際、目の前で見たことがありますが、感心して見入ってしまいました。

カラスは、道路のセンターラインや路肩からの距離を経験的に察知して、車輪が通りそうな場所にクルミを置きます。うまくいかないときは、クルミを置き直します。

また海岸地域にいるハシボソガラスは、固い貝を高いところから落として割って食べます。カモメも空中から貝を落として割りますが、地面の固さまでは考えていないようで柔らかい砂の上に落として失敗することもあります。

その点、ハシボソガラスは、舗装路の硬い上に落とすので確実に貝を割ることができます。

おまけにカラスは、明らかに貝の種類とサイズを認識して割っているというのです。4種類の貝で実験した結果、カラスが好む貝は、殻が割れやすく最も扱いやすい大きさの貝を常に選ぶんだとか。さすがカラス!頭がいいですね。


◆エサを捕獲するために道具を作るカラス


賢そうなカラスのイラスト 1996年、イギリスの科学雑誌「ネイチャー」に、道具を作ってエサをとるニューカレドニアに生息するカラスのことが掲載されてから、カレドニアガラスの知能の高さが脚光を浴びました。

カレドニアガラスは、木の葉をくちばしで切り取り、柄の部分をまっすぐな棒に加工して、木の幹の奥深くにいて取り出すことができない幼虫を、その加工した道具を使って器用に吊り上げて食べます。


◆固いエサは、水につけて、ふやかしてから食べる


カラスの好物であるドッグフードや、固い木の実などを与えると、一度水場などに行き、ドッグフードや木の実を水につけ、ふやかして柔らかくしてから食べます。

また辛いエサを与えると、カラスは一度水に浸して、まるで洗ってるとしか思えない行動をとります。カラスは洗うことの効能を知っているのでしょう。

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カラスが人の言葉を話す


<↑カラスが「おはよう!おはよう!おはよう!」と、おしゃべりしています↑>

カラスが人の言葉を話す様子は、しばしばテレビやYoutubeで見かけますよね。言葉を話すカラスに共通してるのは、怪我をしたり病気で飛べなかったりして人に保護されてるものばかりです。

こうしたカラスは生存競争の厳しいカラスの社会の中では生きのびられませんが、運よく人に拾われ、保護を受けるうちに、人の言葉を真似し始めます。

野生のカラスは、自然界で生活している限り、突然人に話しかけたりはしません。しかし、人に飼われているカラスは、人の言葉を真似すると、人が喜んだり大きな反応が返ってくることを覚えます。

こうして人の心を引きつけ、ひいては自分が生き延びるための手段として人の言葉を覚えていくのです。

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◆人に甘えるカラス

カラスの子供2羽
カラスが人に愛される戦略は、単に人の言葉を真似るだけではないようです。カラスは、人の歓心(かんしん)をかい、愛らしくふるまう(すべ)も心得てるというのです。

怪我をして人に保護されたカラスの興味深い話があります。飼い主によると、そのカラスは飼い主の前では、自分の力で食べられないフリをして飼い主にいつも食べさせてもらってたそうです。

が、ある時、そのカラスが自力で食べてるのを飼い主がたまたま見てしまったそうです。見られてしまったことに気づいたカラスは、あわてて羽をバタバタさせて、ヒナが親鳥にエサをねだる時のように、甘えの行動に出て飼い主に食べさせてもらおうとしたそうです。

飼い主は、ひょっとして誰も見てないところでは、カラスはもう怪我が治り、飛べるようになってるかもしれないと思ったそうです。甘えの行動で保護者の人間の気持ちをひきつけて、エサをもらい続けようとするのは、カラスも、なかなかしたたかですよね。

言い換えれば、生き残るための嘘をつく(他をあざむく)という知恵が発達してるということは賢さの証しでもあります。

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◆しゃべるカラス「海外編」

また、もっと凄いカラスの話もあります。

ノーベル賞受賞者の科学者コンラート・ローレンツが世話をしていたカラスが、しばらく行方不明になっていた時のことです。傷ついた足を引きずりながら、カラスがようやく家に戻ってきたとき、怪我をしたいきさつをカラスが自分で話したというのです。

「すげぇ罠でやつを捕まえた!」という意味の短いドイツ語をしゃべり、この科学者を驚かせたといいます。おそらくカラスを捕まえようとした人間がしゃべった言葉をそのまま覚えていたのでしょう。

カラスの写真
また、アメリカのモンタナ大学構内では、人の言葉をしゃべるカラスが、犬たちに講義をしてる様子が目撃されています。

「ヒア・ボーイ(こっちだ、おーい)!」と強い口調で人の言葉と口笛音を真似て、近所の犬たちを一箇所にいっせいに集めて、そこでカラスがオークの木の低い枝に止まり、教え子の犬たちに何やら講義をしていたというのです。

カラスに呼ばれて集まった犬たちは、カラスの周りに集まって、カラスを一心に見つめ大人しくカラスの講義を聞いていたそうです。(参考:世界一賢い鳥 カラスの科学 ジョン・マーズラフ教授著)

このような「ほんまかいな?」と思うカラスにまつわる話が、世界中には色々あります。

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おわりに

カラスがリンゴを食べてる写真
カラスは、猛禽類のような強さがないだけに、その分知恵を働かせ、頭を使うことによって生きのびてきたのでしょう。その点では、人間と似てますよね。

カラスの賢さは、人間と同様に個体差があるといいます。知能の高いカラスが開拓したワザを、他のカラスたちが学び覚えていくことによってカラス全体の知的レベルを上げてきたのでしょう。

またカラスは賢いだけでなく、カラスを助けてくれた人間に対しては、群れで恩返しの行動をとることもあります。

カラスをよく知ることによって、私たち人間とカラスは、もっと良い関係を築いていけるのかもしれません。



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参考書籍
  • カラスなぜ遊ぶ 杉田昭栄著
  • カラスはどれほど賢いか 唐沢孝一著
  • カラスの常識 柴田佳秀著
  • 世界一賢い鳥カラスの科学 ジョン・マーズラフ著




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