スマホ依存症の症状と対策 ネット依存から子供を守ろう!
スマホ依存症は、今や急速な勢いで子供たちの世界に広がっています。早い子では小学生でスマホ中毒となり、不登校となってしまう子もいます。
スマホ依存症を含めたネット中毒は、一時的な熱中とは異なり、脳レベルで異常が起きます。
そのため、いったん重症化すると、親がいくらネット使用を止めさせようとしても、子供は理性のコントロールが不可能になり、暴力暴言や引きこもり、最悪自殺に至ったケースもあります。
スマホ依存症は、重症化すると脳の萎縮が進み、麻薬中毒患者の脳と似たような状態になります。そのため深刻な後遺症を残す場合もあります。
思春期の進路選択という大事な時期に、スマホ依存症となってしまった場合には、留年や中退に追い込まれ、その子の将来に大きな影響を与えてしまいます。
子供を深刻なスマホ依存症にさせない為には、子供の症状からスマホへの依存度を正しく見極め、依存が重症化する前に早期発見・早期治療することが大切です。
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そこで今回は、前半では、スマホ依存症の症状を軽度・中度・重度の3段階に分け、スマホ依存症が重症化していく過程をご覧いただき、後半では、スマホ依存症の具体的な対策について取り上げてみました。
スマホ依存症の対策からご覧になりたい場合には、目次の「子供のスマホ依存症の対策(依存度が軽い場合)」をクリックなさってください。目次からご覧になりたい所を自由に選べます。
目次
スマホ依存症の症状

スマホ依存症が重症化していく過程には、いくつかの段階があります。スマホ中毒が悪化していくと、健康面、学業・生活面、精神面、対人面で、どのような症状の変化が表れるのかを一緒に見ていきましょう。
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◆健康面への影響
長時間画面を見続けることで視力低下、頭痛、めまい、吐き気、肩こり、腱鞘炎などの症状が多く見られます。
睡眠障害は、スマホ依存症に陥った子供のほとんどに見られます。朝なかなか起きれない、眠ろうとしても寝付けないなど、睡眠時間を削ってスマホ使用するため自律神経のバランスが崩れ、次第に昼夜逆転生活となり睡眠の質も悪化していきます。
依存が進んでいくと、スマホに夢中になり食事をきちんとしなくなるため栄養失調状態をひき起こします。
運動もしなくなるので運動能力も急激に低下していきます。栄養失調と運動不足から骨粗しょう症になるリスクも高くなります。
■ 軽 度

- 睡眠不足
- 目の疲れや視力の低下
- 肩・腰などのこり
■ 中 度
- 夜眠れない、不規則に目覚める
- 目が痛い、頭が痛い
- 体のこわばり、姿勢のゆがみ、腱鞘炎(けんしょうえん)
- 運動不足による体力の低下と肥満
- 食欲低下、吐き気、食事をしない
- 体がだるい
- 疲れやすい
- 自律神経のバランスが崩れる
■ 重 度

- 手足の震え
- 感覚の鈍化
- 栄養失調
- 過労、衰弱
- 生活習慣病予備軍
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◆学業・生活面への影響
深夜までスマホで遊んでるために朝起きれなくなり、遅刻が増え、授業中に居眠りすることが多くなります。
スマホに夢中になるために勉強への意欲が低下していき、次第に学校も欠席が多くなり、不登校やひきこもりへと発展することもあります。学業不振のストレスが、さらにスマホ依存を加速させてしまうこともあります。
■ 軽 度
- 時間の浪費
- 勉強や仕事など、やるべきことがおろそかになる
- 成績が下がる
■ 中 度

- 自由な時間をほとんどスマホのために使う
- 遅刻、授業中の居眠りや、さぼり
- 成績が下がっても気にしない
- 現実の生活への興味が薄くなりスマホの世界が中心になる
■ 重 度

- 昼夜逆転し睡眠の質が悪化
- 起きている間はスマホを離さない
- 食事をきちんと摂らない
- 不登校になる
- 進学や就職など将来のことを考えなくなる
- 生活が破綻しても気にしない
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◆精神面への影響
スマホをいじってる時は集中していますが、それ以外の現実生活では無気力、無感動、無関心となります。相手の表情を読み取ったり、自分の感情をうまく表現できなくなることもあります。
思考力や判断力が低下して、自己中心的な考え方しかできなくなります。感情のコントロールがきかなくなり、常にイライラしてキレやすくなります。
親にとがめられると、自分は少しやりすぎているだけで問題はないと言い張り、逆切れ状態になります。
■ 軽 度

- 目の前のことに集中できない
- やる気が起きない
- ついスマホやりたいと考えてしまう
- スマホで好きなことをやっていると不安感や孤独感が和らぐ
- スマホで遊んでるとストレスが発散され、現実の世界でのイライラが収まる
■ 中 度
- スマホをずっとやっていたいと思う
- もっと強い刺激や快感が欲しいと思う
- スマホの世界のほうが自分らしいと思う
- 現実の世界では不機嫌や暗い気分になる
- 嬉しい、悲しいといった感情が起きにくくなる
- 表情が乏しくなってくる
- 自分はダメな人間だという気持ちが強くなる
- スマホの使い過ぎに不安や恐怖を感じることがある
■ 重 度

- 現実の世界はどうでもよくなる
- 何も考えないようになる
- 自傷行為をする
- 幻覚・幻聴が生じる
- 自殺他殺への衝動が起こる
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◆家族や人との関わり
家族との会話は激減して、親子げんかが増えます。家族が心配して声をかけても、ほとんど返事もしません。
金銭感覚も変わり、お小遣いの値上げを要求したり、ときには無断で家のお金を持ち出したり、勝手にクレジットカードを使ったりすることもあります。
ゲームマネー欲しさに、犯罪に手を染める子供もいます。
私がオンラインゲームをしていた頃に、実際にゲーム場にいた子供のケースですが、ゲーム関連で詐欺・恐喝を働き、数百万円を荒稼ぎして警察に捕まった子供や、親のクレジットカードの不正使用でオンラインゲームに600万円使った子供もいました。

■ 軽 度
- ネットの世界の友達のほうを大切にする
- 学校の友達と遊ばなくなる
- 家族といる時間でもネット世界にいることが多い
■ 中 度
- 必要最小限しか話さなくなる
- 家族は顔を合わせると文句を言うか言われるかの関係
- 家族といても遠慮なくネットの世界に入りこむ
- 直接人と会うことが面倒になり極力避ける
- ネット仲間のほうが現実の人より重要
■ 重 度

- 直接、人とほとんど関わらなくなる
- 家族は邪魔者か無き者
- ネットが全て。ネットを邪魔する者は許さない
- ネット仲間との関わりだけで十分だと思う

またお子さんがスマホでゲームに熱中してる場合には、こちらの記事もご参考になさってください。
→ ゲームは子供に悪影響!時には最悪の結末も…
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スマホ依存症に合併する精神障害
スマホ依存症(ネット依存症)は、他の精神疾患との合併が多く見られることが、海外の研究でも報告されています。
韓国のある研究では、ネット依存症の実に75%が、他の精神障害を持っていると報告されています。
中でも、ADHD(注意欠陥多動性障害)やアスペルガー症候群の子供は、スマホ依存症を合併してることが多いようです。その他には不安障害、うつ病、強迫性障害、双極性障害の子供にもスマホ中毒が多く見られます。
■ スマホ依存症(ネット依存症)に合併しがちな精神障害
●ADHD
●アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)
●うつ病
●不安障害
●強迫性障害
●双極性障害
●アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)
●うつ病
●不安障害
●強迫性障害
●双極性障害
ADHDやアスペルガー症候群のような発達に課題を抱えた子供たちは、対人関係においてコミュニケーションが苦手という特性があるため、ネット依存症になりやすい傾向があります。
しかし逆に、ネット依存症になったために、二次的にこれらの精神障害を引き起こすケースもあるといいます。
元々は、表面化するほどでもなかった発達上のわずかな偏りが、ネット依存症になることによって発達障害の症状を引き起こしてしまうというのです。
元々、発達障害とは遺伝的要因や出産前後のトラブルなどによって脳に機能的な障害が生じたものを指していましたが、近年、発達障害が異常に多くなってきた背景には、深刻なネット依存の問題が影響していると指摘する専門家もいます。
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たとえばADHDは、遺伝的要因が強いと考えられていますが、環境的要因にも影響されやすく、虐待や両親の不安定な関係は、症状を悪化させます。
しかし、年齢が上がるにつれ症状も改善することが多いと考えられてきたADHDですが、近年、一部で異変が見られるようになってきたというのです。
幼児期に、さほど発達に問題がなかったにもかかわらず、青年期以降に発達障害に似た症状になるケースがあり、こうしたケースでは深刻なネット依存を伴っていることが多いといいます。

最新の脳の画像診断技術を用いて、オンラインゲーム依存者の脳を調べると、注意力や衝動性のコントロールをつかさどる脳の領域が壊れて、ADHDと似た状態を引き起こしていることが分かってきました。
スマホやパソコンなどで重度のゲーム依存に陥ると、脳の萎縮さえも引き起こし、元々は表面化するほどでもなかった発達上の問題を悪化させるといいます。
しかも、こうした傾向は早くからゲームを始めた子供ほど強く表れるといいます。
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子供のスマホ依存症の対策(依存度が軽い場合)

あなたのお子さんが、スマホにハマリかけてて暇さえあればスマホをいじっている状態でも、学校を休むことなく日常生活にほとんど支障が出ていない状態なら、本人と家族の自助努力で、スマホ依存症を悪化させずに回復できる場合もあります。
そのためには…
- 親子でスマホの使用ルールを作る
- 親が頭ごなしにルールを決めるのではなく、子供も納得したうえで親子で相談してルールを作る。
- スマホの使用時間や、夜の使用は夜○時までなど、子供の実態に合ったルールを作り、目につくところに貼っておく。
- ルールを破ったときのルールも相談で決めておく。
- 子供の成長に応じて、ルールは適宜見直す。
- 親子で作った使用ルールを破った時には毅然とした態度をとる
- 子供と取引しない・駆け引きしない(2時間勉強したら1時間スマホ使っていいよという取引はしない)
- フィルタリングや時間管理ソフトを活用する(Wi-Fiに接続した場合、フィルタリングをくぐり抜けてしまう場合もあるので要注意)
- スマホに多くの時間を費やすことで失いつつあるものを紙に書き出し、本人の自覚を高める
- スマホを使用している時間を計る
- 子供との会話を増やす・1日10分でもいいので子供と真剣に向き合う
- 週末など家族で1日スマホを持たずに外出してみる(デジタルデトックスのススメ)
- スマホ依存になったきっかけを探して、可能ならその問題を解決する(依存症のウラに、いじめなどの問題が隠れている場合も多いので子供の発信しているSOSに気付く)
ちなみにマイクロソフト社創業者のビル・ゲイツ氏は、ご自身のお子さん達には、厳しくネット使用制限時間を設け、平日は45分、休日は1時間までとしていたそうです。
携帯電話も、ご自身のお子さん達には、14歳になるまで持たせなかったといいます。
また、Appleの創業者で iPhoneや iPodを生み出したスティーブ・ジョブズ氏も、ご自身のお子さん達には、iPhone やiPad を使わせなかったそうです。
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若者のネット依存症が社会問題化している韓国では、2011年より16歳未満の子供は、午前0時~午前6時まではネットにアクセスできない「強制的シャットダウン制度」を導入しています。
中国ではネット依存症の若者たちのために政府のクリニックが設置され、ネット依存症(スマホ依存症)を精神疾患として国をあげて治療する対策が取られています。
残念ながら日本ではネット依存症(スマホ依存症)の対策は、非常に遅れているので早急な対策が望まれます。
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スマホ依存症(ネット依存症)の病院の選び方

もし、あなたのお子さんが、既に重度のスマホ依存症となってしまった場合には、フィルタリングや時間管理ソフトを使って使用制限したとしても、依存症というのは、そんな物でコントロールできるような単純な問題ではないと専門家は指摘します。
重度の依存症になった場合に、特に気を付けなければいけないのは、子供と十分な話し合いもせずに、頭ごなしに制限だけかけることです。
そのような対応をすると、依存のために既に理性のコントロールができなくなってる子供の場合は、ますます危険な方向に向かいやすくなります。
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子供を守るのは、フィルタリングソフトや時間管理ソフトではなく、親の愛情であり、親の関わり方だと専門家たちは強調します。
スマホ依存症などの依存も含めて、子供の問題行動の多くは、愛情や関わりを求める気持ちが裏返ったものだといいます。
わが子が、もしスマホ依存症になってしまったら、親は心配して子供のスマホ使用時間を、もっと短くコントロールするように説得すると思います。
そのときに、親の話にまったく耳を貸さず、イライラして逆上するようなら、依存状態は深刻な状態と考えられますので、専門医にご相談なさってください。

しかし今の日本(2015年8月)には、ネット依存症の専門病院は非常に少ないです。
心療内科や精神科などに相談した場合、ネット依存症に詳しくない医師も多いので、「飽きるまでゲームをやらせれば良い」とか「様子をみましょう」という不適切なアドバイスをされ、かえって事態を悪化させる場合もあります。
適当な医療機関が見つからない場合には、地域の保健所や精神保健福祉センターに相談してみましょう。
またスマホ依存症だけでなく発達障害も疑われるときは、できれば発達障害とスマホ依存症の両方に通じた専門医のいる病院を受診なさってください。
医師
スマホ依存症は、早期発見・早期治療をすれば、学業面や健康面への影響を小さく抑えられます。
スマホ依存症(ネット依存症)は、依存が重症化する前の早い段階で治療を開始すると回復しやすいといいます。
しかしスマホ依存症は、スマホを始めて、たった数ヶ月で本人の状態が、みるみるおかしくなっていくケースもありますので、まだ大丈夫だろうと放置することは危険です。
ほとんどの場合、子供本人には依存の自覚がないので、子供は受診を拒否するケースが多いです。
その場合には、親御さんだけでも専門家に相談なさってアドバイスを受けられることをお勧めします。一人で悩まずに、まずは医療機関に電話をして相談なさってみてください。
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スマホ依存症は早期発見・早期治療が決め手!

いったんスマホ依存症になってしまうと、スマホをやらないでいると離脱症状(禁断症状)に襲われるため、やめることが困難になっていきます。
スマホ依存症は、お子さんの成長過程の貴重な時間を失うだけでなく、人としてもっとも大切なもの、健康や将来の可能性、人とのつながりを壊され、本人だけでなく家族もつらい日々を送ることになってしまいます。
スマホ依存症で悩んでいらっしゃる親御さんは年々急速に増えています。一人で悩みを抱えていると、親のほうが精神的に参ってしまうケースも少なくありません。
お子さんが部屋にこもりっぱなしで、いつもイライラしていることが多く、口数も急に減った、片時もスマホを離さない、学校も休みがちなど気になる症状がある場合には、早期の受診を検討なさってみてください。

スマホやパソコンなどのデジタル機器は、使い方を一歩間違えると「デジタル・ヘロイン」と化し、人の脳と心を蝕んでいきます。そして、その影響をもっとも受けやすいのは、脳の発達段階にいる子供たちなのです。
スマホの急速な普及により、ネット依存症への国をあげての早急な対策が望まれます。その為には、私たち一人ひとりの意識を変えていくことが、ひいては国を動かす大きな原動力となります。
どうすれば子供たちの未来を守れるのかを皆で真剣に考えていきましょう!
ネット依存症の専門病院、あるいは専門科がある医療施設(2014年3月現在)
久里浜医療センター 神奈川県横須賀市
成城墨岡クリニック 東京都世田谷区
大阪市立大学医学部付属病院 大阪市阿倍野区
東北会病院 宮城県仙台市青葉区
希望ヶ丘病院 熊本県上益城郡御船町
【追記】
久里浜医療センターのホームページに、日本全国のネット依存の治療施設のリストがありますので、ご参考になさってください。
◆久里浜医療センター ネット依存治療施設リスト
久里浜医療センター 神奈川県横須賀市
成城墨岡クリニック 東京都世田谷区
大阪市立大学医学部付属病院 大阪市阿倍野区
東北会病院 宮城県仙台市青葉区
希望ヶ丘病院 熊本県上益城郡御船町
【追記】
久里浜医療センターのホームページに、日本全国のネット依存の治療施設のリストがありますので、ご参考になさってください。
◆久里浜医療センター ネット依存治療施設リスト
参考書籍
- ネット依存症から子どもを救う本 樋口進著
- ネットに奪われる子どもたち 清川輝基編著 古野陽一・山田眞理子著
- インターネット・ゲーム依存症ネトゲからスマホまで 岡田尊司著
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