トナカイと鹿の違い!サンタのそりをひくのは雄?雌?
クリスマスシーズンになると、サンタさんと共にトナカイが話題にのぼる機会も増えてきますよね。そんなとき、子供たちに「トナカイと鹿ってどこが違うの?」と聞かれて困ったことはありませんか?
私は長いこと、トナカイは、サンタクロースのそりをひいて空を飛ぶ想像上の鹿だと思っていたので、トナカイが実在する動物だと聴いてビックリ!
「マジ?そんな無知な大人がいるの??」という声が聞こえてきそうですが、それがいるんですよ、ここに!(笑)
親戚の可愛いチビっ子たちに「トナカイと鹿の違い」を尋ねられた時に、間違ったことを教えないように、早速、トナカイと鹿の違いについて調べてみました。
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トナカイと鹿の違い
シカ(鹿)は、偶蹄目(ぐうていもく)シカ科に属する哺乳類の総称で、トナカイは、そのシカ科の中に属するトナカイ属のことを指します。
ただ、私たち日本人が一般にシカ(鹿)と呼ぶのは、ニホンジカのことですよね。奈良公園でよく見かけるニホンジカも、トナカイも、同じシカ科の仲間です。
トナカイは、英語ではレインディア(reindeer)、北アメリカに生息する個体は、カリブーと呼ばれます。

シカ科の動物の特徴は、枝分かれした角(枝角:えだつの)をもち、その角は毎年落ちて(落角)、また生え変わります。
シカ類は、オスだけに角が生えますが、トナカイだけはオス・メス共に角が生え、落角(らっかく)の時期も異なります。
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また生息地の違いに関しては、シカ科の動物は、オーストラリアとアフリカを除いたすべての大陸に、さまざまなシカが生息していますが(地中海沿いを除く)、トナカイは、北アメリカ北部、グリーンランド、ヨーロッパ北部からアジア東部にかけて生息しています。
トナカイと鹿(シカ)の違い
シカ(鹿)科の動物は、オスだけに角が生えるが、トナカイだけは、オス・メス共に角が生える。
でも、なぜトナカイだけメスも角が生えるのでしょうか?それでは、次にその理由について一緒に見ていきましょう。
トナカイの角は、なぜメスにもあるの?
トナカイのオスにとって、角はメス争奪戦に欠かせない武器ですが、繁殖期の9月~10月が終わると、オスは11月~12月中旬に角を落とします。
しかし、トナカイのメスの角はそのままで、妊娠してるメスは、5月~6月に出産を終えてから落角します。ただし、日本で飼育されているトナカイのメスの場合は、3月~5月に落角し、出産前に落角する個体もいます(トナカイ牧場に確認済)。
日本にいるトナカイのメスの落角時期が異なるのは、飼育環境下でエサも与えられており、極寒の地と日本の気候が異なるためと考えられます。
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シカ科の中で、唯一トナカイだけメスにも角が生える理由は、子供を育てることに大きく関係してるようです。
寒さの厳しい地域に暮らすトナカイにとって、草が枯れ、大地が雪に埋まってしまう冬は、エサ確保の厳しい季節となります。トナカイは冬の間、雪を掘り起こしてトナカイゴケという地衣類を食べます。
トナカイゴケは、タンパク質が多く栄養価が高いので、極寒の地でトナカイが生きていけるのは、このトナカイゴケのお陰だともいわれます。
しかし、雪穴を掘ってトナカイゴケを探す作業は大変で、特に生まれたばかりの子供がいるメスの場合には、2頭分のトナカイゴケを確保しなければなりません。

トナカイゴケの争奪戦には、立派な角が欠かせません。トナカイの間の優劣を決めるのは、体重が重くがっちりした体つきをしていることと、立派な角を持っていることです。
ところが、トナカイのオスとメスは、体の大きさの性差が大変大きく、オスはメスの体重のほぼ2倍の大きさです。まともに戦うと、メスはオスに勝てません。
しかし、冬の間、オスが落角すると角があるのはメスだけとなり、そのためメスはオスより優先的にエサ確保ができるようになります。
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出産は5~6月で、トナカイのメスは1頭の子供を産みます。トナカイの子供の成長は早く、2歳になると完全に親から独立します。
トナカイの出産率は大変高く、ほとんどのメスが毎年子供を産みますが、極寒の地で生き残ることは大変で、栄養状態がよくない子供は、吹雪きに埋もれて亡くなってしまうことも少なくありません。トナカイの子供は、1歳になるまでに約7割の子供が、厳しい冬を越せずに亡くなるといいます。
そのため母トナカイは、我が子に少しでも栄養を与えようと、食物の少ない冬に角を使ってオスと戦うのです。つまりトナカイのメスにとって冬に立派な角を生やしていることは、我が子の命を守ることに繋がるのです。
それでは次に、そのトナカイの象徴ともいえる立派な角について、さらに詳しく見ていきましょう。
トナカイの角
トナカイも含めたシカ科の動物は、1年に1回、角が根もとからはずれて落ち、その後、柔らかい皮膚をかぶった袋角が生えてきて、次第に成長して先のとがった堅い角になります。

ちなみに、鹿のこの袋角は、昔から「鹿茸(ろくじょう)」という漢方薬として強精強壮薬として使われています。
トナカイの角は、ベルベット状のやわらかい皮でおおわれていますが、交尾期の9月の初めには、袋角の皮がはがれ、堅い角だけになり尖端は鋭くとがります。
生え変わる回数を重ねると、角の枝の数が増えていくので年齢を重ねたトナカイの角は、若いトナカイのものとは比べ物にならないくらい立派になります。
しかし、角が立派になっても実力がなければ、その地位は守れません。堅い立派な角を持ったオスは、他のオスとのメスの争奪戦の時に有利になります。
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トナカイの角の形は個体によってさまざまですが、オスの角の先は、人間の手のひら状になったものが多いのに比べて、メスはそうなりません。枝角の数や形は、個体差が大きく、最大で44本にもなります。
トナカイに特徴的な角は、額角(ひたいづの)で、左右どちらかの角の根元から、一本、額から前方に向かって突き出ていてシャベルのような形になっているので、冬でも雪を掘りやすくなっています。
ここまでは地上を走るトナカイについて見てきましたが、それでは今度は、空を飛ぶサンタさんのトナカイのナゾについて一緒に見ていきましょう♪
サンタクロースのトナカイは、オス・メスどっち?

トナカイのメスの角は、オスの角より小さく、トナカイの角の落角時期は、オスは、11月~12月中旬、メスは、5月~6月です。
トナカイ博士
それでは、ここで問題です!
サンタさんのそりをひくトナカイの性別は、オス・メスのどちらでしょうか?
1.オス
2.メス
3.オスとメス
サンタさんのそりをひくトナカイの性別は、オス・メスのどちらでしょうか?
1.オス
2.メス
3.オスとメス
トナカイの繁殖期は9月~10月で、繁殖期が終わるとオスは角を落とします。念のため日本の動物園で飼育されてるトナカイの落角時期について動物園に確認したところ、日本で飼育されてるトナカイのオスは、11月に落角するそうです。
となるとトナカイの落角時期から考えると、クリスマスの時期に角があるのは、メスということになりますよね。
しかし、ここで大きな疑問が湧きます。トナカイは、シカ科の中でも特にオスメスの性差が大きく、オスの体重はメスの2倍ほどあります。サンタさんのトナカイは、ご存知のようにとても立派なので、メスにしては、体格も角も立派すぎるという疑問が湧いてきます。

トナカイの生態に詳しい京都大学名誉教授の河合雅雄氏によると、サンタさんのトナカイは、オスだといいます。しかも、ただのオスではなく去勢されたオスだというのです。
北欧などのトナカイ牧畜民にとって、繁殖時期のオス同士の争いを減らし、気性を穏やかにするためには、トナカイのオスの去勢は欠かせないといいます。
去勢されたオスは繁殖能力を失いますが、トナカイ牧畜民にとってより重要なのは、仔を産み乳を出すメスのほうで、種オスは少数いれば十分だといいます。(トナカイのオスが、可哀想……(-。-) ボソッ)
去勢されたオスは、落角の時期が遅くなり、メスの落角時期と同じぐらいになります。しかも、去勢されたオスは、袋角の皮がむけづらくなりますが、見た目には袋角状態のほうが、太くて立派な角に見えます。
というわけで、サンタさんのトナカイは、去勢されたオスだというのです。
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しかし、ここでまた別の説もあり、サンタさんのトナカイの名前から性別を推測すると、オス・メス両方という考え方もあります。
また、サンタさんを、60年以上観察し続けている北米航空宇宙防衛司令部(通称ノーラッド)によると、サンタさんを乗せたソリの最高速度は「星の光の速さ以上」だといいます。
そこから推測すると、サンタさんのそりをひくトナカイたちは、やはり妖精のトナカイかもしれないと私は思っているのですが(笑)、あなたはどう思われますか?
サンタクロースのトナカイの名前から推測される性別
- 赤鼻のルドルフ 雄
- ダッシャー 雄
- ダンサー 雌
- プランサー 雌
- ヴィクセン 雌
- コメット 雄
- キューピッド 雄
- ブリッツェン 雄
- ドンダー 雄

トナカイについて色々見てきましたが、ひょっとしたら冬休みの自由研究にトナカイについて調べるお子さんがいるかもしれないので、最後に、ちょっとだけトナカイの生態について触れておきますね。
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トナカイの生態

トナカイは、夏は大量に発生する蚊やアブと暑さをさけるため、大群を作って高地や北極海沿岸地方に移動します。また冬には積雪の少ない低地や北部に、トナカイゴケを求めて大群を作って移動します。
しかし、それ以外の季節には、小さなグループを作ってトナカイは分散して暮らしており、繁殖期以外は、オスとメスは別々に暮らしています。
ということは、冬にメスが角を使ってエサ争いのためにオスと戦うのは、夫婦ゲンカではなく、他のオスと戦っているということになりますね。少し安心しました(笑)。
オスは、一頭で行動しますが、若いオスはしばしば数頭が集まってオスグループを作り、メスたちは仲のよい者が集まって小さなグループを作って行動します。

交尾期は、9月~10月にかけての短い間で、メスグループの中にオスが入り込み、一夫多妻のハーレムを作ります。このハーレムに他のオスが入りこもうとして、しばしばオス同士の激しい戦いが繰り広げられます。
雪の多い地域に住むトナカイの蹄(ひづめ)は、幅が広く、雪の上を歩きやすくなっています。夏は、草やスゲ、ハーブを食べ、冬は地衣類(トナカイゴケ)やキノコを食べます。
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トナカイと鹿の一番の違いは、トナカイだけはメスにも角が生えることですが、それは極寒の地で子育てをする母トナカイの母性が生んだ進化だったのでしょう。
今回トナカイの生態を調べながら、サンタさんと9頭のトナカイは、おとぎ話ではなく本当にいるんだなぁと思ってしまいました。
今年のクリスマス・イヴは夜空を見上げながら、サンタさんと9頭のトナカイたちに、「どうもありがとう!」と叫んでしまいそうです♪(笑)

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