インフルエンザと風邪の症状の違い!高齢者と子供の注意点
冬のインフルエンザの流行時期。のどが痛くて熱を測ると38度。
「これってインフルエンザ?それとも風邪?どっちかな?」と迷ったことはありませんか?
名医でも、インフルエンザか風邪なのか症状だけで見分けることは難しいこともあるといいます。軽いインフルエンザもあれば、重い風邪もあり、また症状が重なってる場合もあるからです。
しかし、ひき始めの初期の症状から、ある程度インフルエンザか風邪かを見分けることができます。
そこで今回は、インフルエンザと風邪の症状の違いから見分け方のポイントをまとめてみました。
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インフルエンザか風邪か初期症状の違いから見分ける!
◆見分けるポイントは、ひき始めの症状の違い!

普通の風邪の症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳などの呼吸器症状が中心で、全身症状はあまりありません。熱も、一部のものを除いてはそれほど高くは出ません。
それに対してインフルエンザは、ゾクゾクと寒気を感じて、熱を測ると38度以上の高熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、倦怠感などの全身症状から始まります。これらの全身症状は、急激に進行していき、次第に普通の風邪のような鼻水や咳やのどの痛みなども伴ってきます。

つまり、ひき始めの症状が、のど・鼻の炎症(くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳など)の呼吸器症状から始まった場合には風邪(普通感冒)、ぞくぞくとした寒気に続いて38度~40度の急激な発熱、しかも身体のふしぶしが痛くて、だるいといった全身症状から始まった場合にはインフルエンザということになります。
インフルエンザと風邪の症状の違い
ひき始めの症状が…
- 呼吸器症状(のど・鼻)から始まったときには風邪
- 全身症状(悪寒・高熱など)から始まり急激に悪化したときにはインフルエンザ
★インフルエンザと風邪の症状の違い★

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◆インフルエンザは風邪症候群の一種
「インフルエンザは風邪の一種」「いやいや、インフルエンザと風邪とは別物」と2つの意見がネット上でも見られます。そこで、ちょっと整理してみましょう。
私たちが一般に「風邪」と呼んでる病気の正しい名前は「風邪症候群」といい、通称「感冒」ともいいます。
風邪症候群は、大きく分けると次の2つに分けられます。

- 風邪(普通感冒)
- インフルエンザ(流行性感冒)
日本では現在、インフルエンザは風邪症候群の一種と分類されていますが、中には「インフルエンザは風邪とは別のもの」と分けて考えるべきという主張もあります。

インフルエンザや風邪は、健康な成人の場合には、数日中には治っていきますが、高齢者や子供の場合には、合併症が起き重症化する場合もあるので注意が必要です。
それでは次に、高齢者の場合のインフルエンザ・風邪の症状について一緒に見ていきましょう。
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症状の違いが分かりにくい高齢者の風邪・インフルエンザ

高齢者は、風邪をひいても熱もなく、苦しい、痛いと症状を訴えることもあまりありません。さらに認知症のお年寄りの場合は、症状の把握が難しいので、一般的な症状からの判断では、風邪かインフルエンザなのかの区別がつかないことが多いのです。
高齢者はインフルエンザにかかっていても、熱が出ても38度台で、微熱程度しか出ない場合も少なくありません。普通の風邪でも肺炎を起こすこともあり、しかも、肺炎を起こしても、熱が出ないため、周囲がなかなか気付けないことも多くあります。
それでいて、肺炎で亡くなる高齢者はとても多く、肺炎で死亡する人の94%は75歳以上の高齢者です。しかも、その70%以上が誤嚥に関係しているといわれています。
高齢者の風邪・インフルエンザの症状

- 症状が分かりにくいので見分けがつきにくい
- 熱があまり出ないことが多く、風邪でも重症化して肺炎を起こすことがある
- 肺炎を起こしても熱が出ないこともある
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高齢者が肺炎になりやすいのは、脱水症状のために、粘液の分泌が少なくなり、気道が慢性的に炎症を起こしているためです。その上、たんの排出力が弱くなり、ねばり気のあるたんが、常にたまっています。
お年寄りは、のどの渇きを感じる中枢機能が低下しているため、自分から水分を欲しがることは少ないので脱水症状になりがちです。

また高齢者は、下気道がおかされやすいため…
◆咳、たんの症状が中心
◆鼻水、鼻づまり、のどの痛みはあまりない
元気だった老人が、急に床離れが悪くなったり、だるそうにしていたら、肺炎だったということもよくあります。普段と様子が違うときは、とりあえずかかりつけの医師に相談しましょう。

高齢者の風邪・インフルエンザは、熱や症状から判断できない場合が多いので、日常的な変化に気をつけること。
【お年寄りのサインに気付こう!】
- 食欲がない
- だるそう
- かるく咳をしている
- 急に床離れが悪くなった など
高齢者と共に抵抗力の弱い子供の場合も、インフルエンザは脅威となります。それでは次に、子供のインフルエンザ・風邪について一緒に見ていきましょう。
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子供のインフルエンザ・風邪の症状の注意点!

子供は風邪をひきやすいですが、治るのもまた早いのが特徴です。
一般に子供の体温は高く、39度の熱でも平気でいる子もいますし、平熱が37.5度という子も結構います。子供は大人ほど体力がないため、その分、熱を上げて病原菌と戦っています。
このように子供は熱に対して強い反面、脱水症状になりやすいという特徴があります。
子供の水分代謝はとても活発で、目に見えない水分蒸発量が多いうえに、よく汗をかき、おしっこをし、すぐ吐き、下痢もします。
脱水症状には、普段から十分気をつけなくてはいけませんが、インフルエンザや風邪のときには、いっそうの注意が必要です。
子供は高齢者と同じく、インフルエンザが重症化して合併症を引き起こすことがあります。
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子どものインフルエンザ合併症
インフルエンザ脳炎・脳症
中耳炎
熱性けいれん
気管支炎
肺炎
心筋炎 など
サリチル酸系の解熱剤(アスピリンなど)は、脳症を発生させる危険性があるので使えませんし、抗炎症剤のジクロフェナクナトリウム(商品名ボルタレン)、メフェナム酸(商品名ポンタール)も同様です。
市販の解熱剤や総合感冒薬には、こうした成分が入っている場合があります。
夜中に突然子供が高熱を出した場合には、大人用の解熱剤やかぜ薬を与えることはやめましょう。解熱剤の使用に関しては医師の指示に従ってください。
子供の発熱と解熱剤の正しい使い方については、こちらをご参考になさってください。→ 子どもの発熱と解熱剤について

インフルエンザ脳炎・脳症
中耳炎
熱性けいれん
気管支炎
肺炎
心筋炎 など
チェック
インフルエンザ脳症の原因については不明ですが、一部の解熱剤の関与が疑われるため自己判断で市販薬を使うのは危険です。サリチル酸系の解熱剤(アスピリンなど)は、脳症を発生させる危険性があるので使えませんし、抗炎症剤のジクロフェナクナトリウム(商品名ボルタレン)、メフェナム酸(商品名ポンタール)も同様です。
市販の解熱剤や総合感冒薬には、こうした成分が入っている場合があります。
夜中に突然子供が高熱を出した場合には、大人用の解熱剤やかぜ薬を与えることはやめましょう。解熱剤の使用に関しては医師の指示に従ってください。
子供の発熱と解熱剤の正しい使い方については、こちらをご参考になさってください。→ 子どもの発熱と解熱剤について
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子供に多い風邪・インフルエンザと似たような症状の病気

子供に多い病気で、風邪のような症状を示すものもあります。ただの風邪だと思っていたら、実は違っていたという場合もあるので注意が必要です。
初期症状が風邪・インフルエンザと似ている子供の病気をご紹介します。下記の病気のときは、すぐに病院に行きましょう。
ロタウィルス感染症
赤ちゃんに多い病気で、最初は軽い風邪のような症状のために、つい油断していると、米のとぎ汁のような下痢が1日何回も起こります。吐き気も強く、脱水症状を起こして危険な状態になります。
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マイコプラズマ肺炎

せき、のどの痛み、発熱と、風邪に似た症状で、とくに頑固な咳が夜中に出ます。秋から冬に多い子供の肺炎の代表です。ウィルス性肺炎に似ていますが、細菌性肺炎のような症状も見せます。
X線写真で肺全体にすりガラス状のかげが見られ、血液の抗体検査で、やっと病名がはっきりします。
クループ
咽頭炎なので、最初は風邪の症状が出ます。気道の通りが悪くなり、「ケンケン」「クゥーンクゥーン」といった犬の遠吠えのような咳が出て、呼吸困難を起こします。
こんなときは、夜中でも病院に連れて行きましょう。ぜんそく様気管支炎、百日ぜきなどが原因で起こります。
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川 崎 病
はじめは発熱と、のどの赤身しかありません。やがて首のリンパ節がはれ、発疹が出て、手足の先がテカテカでパンパンにはれてきます。赤目、紅唇も特徴です。すぐに入院させなければなりません。

ただの風邪だと思っていたら、風疹やはしかなど伝染性の病気だったということは、子供の場合、よくあります。こんな時には、すぐ病院に行きましょう。

インフルエンザと風邪の症状の違いは、ひき始めの症状の相違から、ある程度見分けることができます。
初期症状が、くしゃみ・鼻水など、のど・鼻の呼吸器症状の場合には風邪、そして悪寒・発熱・だるさなどの急激な全身症状の場合にはインフルエンザというのが目安になります。
しかし高齢者の場合には、症状が分かりにくく、また子供の場合には、風邪・インフルエンザに似た症状を示す他の病気もあります。
高齢者や子供は、インフルエンザが重症化して合併症を起こすこともあるので、周囲の人たちが注意深く見守ってあげましょう。
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参考書籍
- 知って安心かぜ対策 小菅孝明監修
- かぜとインフルエンザ 岡部信彦著
- ササッとわかる感染症 岡部信彦著
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