白いカラス!日本には茶色もいるよ


白いカラスって本当にいるんですね!

初めて見たときには、カラスとは全然思えなくて別の鳥かと思っちゃいましたよ。黒いカラスのダークなイメージとは正反対で、白いカラスは、とても綺麗でカッコイイですね♪

白いカラスの画像(上野動物園2) 出典:白いカラス・・・・ハシボソガラスのアルビノ
<↑フチコマさんが上野動物園で撮影なさった白いカラスの写真です。美しか~♪>

ギリシャ神話では、白いカラスは神の使いとして描かれていますが、純白の羽根を広げて飛ぶ白いカラスの姿は、とても神々しくて、神の使いとして神話に登場するのも分かるような気がします。

カラスが黒でなくて全部真っ白だったら、確実に今より好感度アップするでしょうね。

今回は滅多にお目にかかれない白いカラスについてのお話です。

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白いカラスの出現の確率は?

<↑白いカラスの首が、後ろに180度回転するのを見て、ちょっとビックリ!(笑)>

普通の黒いカラスは、黒色素のメラニンによって黒くなりますが、メラニンの生成には、いくつかの劣性遺伝子が関係していて、遺伝子の突然変異で先天的にメラニン色素が欠乏すると全身が真っ白のカラスが産まれます。

カラスのアルビノ(先天性色素欠乏症)の場合、体は真っ白ですが、目は毛細血管内の血液が透けて淡紅色となります。あるいは成長と共に少しずつメラニンが沈着して淡青色となる場合もあります。くちばしはピンク色です。

白いカラスが出現する確率は、10万~100万分の1くらいなので、非常に珍しいそうです。

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しかも、白いカラスが産まれると…

◆親ガラスは何と育児拒否をするんだとか!

カラスの給餌拒否のイラスト
ハシブトガラスやハシボソガラスは、ヒナの羽毛が生えるときになると、白い羽毛のものには給餌拒否をするので、白いカラスはエサをもらえず、巣からはみ出て落下してしまいます。

中には育児拒否をせずに白いカラスをちゃんと育てる親ガラスもいますが、白いカラスに対して給餌拒否をする親ガラスが多いため、生き残ってる白いカラスは、巣から落下した後に、人に保護されたものがほとんどです。

白いカラスの飛ぶ画像(野室さんより掲載許可ok)
普通の黒いヒナなら、人間を襲ってまで必死にヒナを守ろうとする親ガラスですが、ヒナの羽毛が白いと、我が子だと認識できないのでしょうか。

なぜ親ガラスが、白い羽毛のヒナに給餌拒否をしてまで、黒色の子孫を残すことに固執するのかは分かりませんが、中には、体だけ真っ白で、顔が黒いヒナが産まれることもあり、その場合には親ガラスからエサをもらえます。

なぜかというと、くちばしと目の部分が黒いと、体が白くても、巣の中では体の白い部分が目立たないので、親ガラスは、白いカラスのヒナだと気付かずにエサを与えるため無事に巣立つことができるのです。

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公園に捨てられた子猫は、黒っぽいものほど生き残る確率が高いそうです。その理由は、黒っぽい子猫ほどカラスに襲われないからというのですが、黒いと共食いのような感じがするのでカラスは避けるのでしょうか。

カラスが黒にこだわる理由は、カラスに直接聞いたことがないので(笑)、本当のところは分かりませんが、猛禽類ではないカラスが、厳しい自然界で生き残っていくためには、白色の子孫を排除したほうが子孫繁栄に繋がるということでしょうか。

白いカラスは産まれる確率も低いですが、自然界で生き残っていくのも相当厳しいようです。

では次に、白いカラスは黒いカラスと比べて、どのような点がハンデになるのかを更に詳しく見ていきましょう。


白いカラスが自然界で生き残るのは大変!

<↑カラスの行水! 美しさを保つのも大変なのよ~♪>

白いカラスは、見た目は真っ白でとても綺麗ですが、こと自然界で生き抜いていくとなると色々なハンデを持ってるようです。

白いカラスは羽毛がもろく、すり切れやすく、特に目が紫外線に弱いので、網膜の感覚細胞が傷つきやすくなります。

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おまけに白いカラスは、とにかく目立つので天敵に狙われやすく、しかも黒いカラスたちからは仲間はずれにされたり、イジメに遭うことが多いので、身体面での不利と孤独な環境の中で、一般に短命になりやすく、野生状態で生き残れる確率は非常に低くなります。


茶色のカラスや白い斑点のあるカラスもいるよ!

カラス科の仲間たち
メラニンの異常は、先天的な遺伝子の変異だけでなく、栄養やホルモンのアンバランスや病気などによっても生じることがあります。

全身が白いカラスは、滅多にお目にかかれませんが、体の一部だけが白いカラス(白斑のカラスなど)は比較的よく見かけます。

アルビノと白変種のカラスは、見た目は体が白くて違いが分かりませんが、アルビノのカラスは、瞳孔が赤く透けて見えるのに対し、白変種の場合は瞳孔が黒くなります。

白変種は、正常な遺伝情報により白化したもので、先天的な遺伝情報の欠損によるアルビノとは異なります。

アルビノと白変種の違い
  • アルビノは瞳孔が赤く透けて見える
  • 白変種は瞳孔が黒い

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また茶色(赤褐色)のカラスも日本で発見されています。2006年熊本日日新聞に写真入りで茶色のカラスが紹介されていました。

メラニン色素には、主に黒褐色の真性メラニンと、橙赤色の亜メラニンの2種類がありますが、この茶色のカラスは、何らかの原因で真性メラニンだけが生成されず、亜メラニンが顕在化したものだろうと考えられています。

カラスは黒いと思われていますが、実際はこのように白いカラスや白斑のカラス、あるいは茶色のカラスなどもいて、その他にもカラス科の仲間には、コクマルガラスホシガラスのように黒くないカラスもいます。


ギリシャ神話に登場する白いカラス

ギリシャ神話の中には、カラスがなぜ黒くなったのかというお話も出てきます。興味深いお話なので、ご紹介しますね。

白いカラスの画像(上野動物園)
古代ギリシャ神話に登場する白いカラスは、太陽神アポロンに仕えていました。白いカラスは鳴き声も美しく、人の言葉も話せる賢い鳥で、アポロンはその白いカラスをたいそう寵愛し、白いカラスもそれに応えて、アポロンのために、あちこち飛び回っては情報を集めてアポロンに逐一報告していました。

ところがある日、アポロンの妻コロニスが、ほかの若い男に心を寄せていると勘違いした白いカラスは、そのことをアポロンに報告すると(虚偽の報告とも)、アポロンは激怒してコロニスを殺してしまいました。

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コロニスは、亡くなる直前に「あなたの子をみごもってる」と言い残し、その言葉を聴いたアポロンは、とんでもないことをしてしまったと後悔の念でいっぱいになります。

そしてコロニスのことを密告した白いカラスまで憎んで、カラスから美しい鳴き声と人の言葉を話せる能力を剥奪し天界から追放してしまいました。

ギリシャ神話の白いカラスとアポロン
白いカラスは、永久にコロニスの喪に服すようにと真っ黒にされ、美しい鳴き声も失い、潰れた鳴き声しか発することができなくなりました。

ハシボソガラスの学名(Corvus corone)の種小名corone(コロネ)は、一般的には鳴き声に由来していると見られていますが、アポロンの妻だったコロニスによるものでないかという見方もあるそうです。

種小名(しゅしょうめい)とは…
生物の学名を、属名と種小名で表す方法を二名法といいます。二名法による学名の表記で、属名のあとに付ける名称のことを種小名といいます。




日本にいる野生の白いカラス

白いカラスの画像(野室さんから掲載okもらう)

白いカラスは、見た目が美しく華麗ですが、いろいろなハンデを持っているため、厳しい自然界で生き残ることは難しく、野生の白いカラスを日本で見かけるのは非常に稀です。

普段は滅多にお目にかかることができない野生の白いカラスですが、その撮影に成功なさった方達もいます。

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2012年11月に、野生の白いハシブトガラスの写真がテレビ・新聞に紹介され話題になりましたが、その白いハシブトガラスの写真を撮影された野室庸司さんに、電話で直接お話を伺うことができました。

野室さんは、ハシブトガラスの好物であるカラス山椒の木に、白いハシブトガラスが来ると予想して、そこでずっと待機なさってたそうです。さすが野鳥の撮影のベテランだけあって鳥の行動パターンを見事に読んでますよね。

ちなみに野室さんの開設されてる野鳥の写真サイト「鳥撮り写真帖(とりとりしゃしんちょう)」は、ホントに素晴らしいサイトです。一度見始めたら、「やめられない、とまらない」のかっぱえびせんのようなサイトです(笑)。野鳥の姿がとても美しく撮影されているので、見ているだけで心が癒されます。


おわりに

白いカラスは、見る者の心を魅了する美しさを持っています。しかし、非常に目立つために天敵からも襲われやすく、自然界で生き残ることは難しいため、カラスの中では稀有な存在です。

そのため白いカラスは、神聖な存在として世界各国の神話などに神の使いとして登場することもよくあります。白いカラスは、信仰心の篤い者の祈りを叶える神の使者だという伝承もあります。

私も死ぬまでに一度でいいから白いカラスの神々しい姿に出会ってみたいと思いました。


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参考書籍
カラスはホントに悪者か 大田眞也著




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