うつは薬で治るの?8割には効かないってホント?


うつは抗うつ薬を飲んで本当に治るのでしょうか。

「うつになって何年も抗うつ薬を飲んでるけど一向に治らない」
「薬がどんどん増えていく一方だ」
「抗うつ薬の副作用がつらい。。」

うつが治らない
抗うつ薬を飲んでも治らないと、次々に薬が増量されていく現代の薬漬け精神医療に対して疑問視する声も高まっています。

今回はそんな疑問の声に、ズバリ答えてくれる本「うつの8割に薬は無意味」をご紹介したいと思います。

この本の中で、著者である井原裕医師(獨協医科大学越谷病院こころの診療科教授)は、「うつは生活習慣の改善で治せる」「病院で薬漬けにされてはいけない」と患者さんたちに警告を発しています。

抗うつ薬を飲んでも治らない方、うつの薬を飲まないで治したいと思ってる方達に、井原医師は薬に頼らない治療を提案しています。

うつ病患者さん達に、ぜひ知ってほしい貴重な情報満載の本ですので、ほんの一部ですが、ご紹介したいと思います。

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うつは抗うつ薬で本当に治るの?

うつ病の画像

井原医師によると、うつの8割の人に抗うつ薬が効かないことは、精神科医・製薬会社の人たちが古くから知っている常識だといいます。

20年近く前の研究論文からも、8割の人に抗うつ薬が効かないことは既に分かっていたそうです。また最新の研究でも同じような結果が出ています。

知っていて、それじゃ、なぜ抗うつ薬を出すの?という話ですが、その理由は、「8割に効かなくても、2割の患者さんを救えるのなら抗うつ薬を使うべきだ」と考える精神科医と製薬会社が多いためだそうです。


2008年以降、抗うつ薬SSRIとプラセボ(偽薬)の効果を比較した結果、軽症および中等症までのうつ病では有意差は認められず、最重症例でのみ有意差が示されたという論文も複数発表されました。

つまり、うつ病の大半を占める軽症~中等症のうつ病には、SSRIの効果は小麦粉と大差なかったということです。

うつ病の症状が重くなるほど、SSRIのほうがプラセボ(偽薬)より有効であるケースは増しますが、重度のうつ病であっても、SSRIとプラセボ(偽薬)との差は微々たるものだったそうです。

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◆うつの8割に薬は無意味


うつの女性の画像
それでは、「うつの8割に薬は無意味」の8割という数字は、どこから出てきた数字なのでしょうか?井原医師は次のように説明しています。

NNTという薬の効能を示す指標があります。NNTは、ある出来事が一人に生じる為に、その処置が何人に必要かを表すものだそうです。

2009年に発表された論文によると、うつ病にSSRIを処方した場合のNNTは7~8。つまり、抗うつ薬で治るのは7~8人のうち1人です。

2012年に発表された論文ではNNT3~8でした。間をとって仮にNNT5とすれば、抗うつ薬が効くのは20%、つまり8割の患者には無意味ということになります。

NNTが3~8までだった論文の結果を正確に表せば、うつ病の67%~88%には、薬は無意味となります。

つまり、少なく見積もれば12%、多く見積もっても33%のうつ病の人にしか抗うつ薬は効かないのが事実だと、井原医師は説明しています。


これらの数々の研究論文から、世界中の学会が軽症うつ病に対して抗うつ薬を第一選択からはずしました。

2012年、日本うつ病学会も、軽度うつ病に対する積極的な抗うつ薬投与を推奨しないとしましたが、しかし現実は、抗うつ薬の投与は減っていないといいます。

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◆薬の効果が期待できなくても処方され続ける抗うつ薬


効果が期待できないことが分かっている薬をなぜ処方し続けるのか・・・その背景には製薬会社の販売戦略と、薬物療法しか学んでいない精神科医たちの事情があるといいます。

実は、精神科医の多くは精神療法が出来ないんだとか。今の大学病院には精神療法を教えられる教師がほとんどいなく、教授ですら精神療法を自信をもって語ることの出来る人は極めて少数だそうです。

そのために、多くの精神科医は薬物療法しか学んでいないため、薬を出すことしか出来ないのが現実だそうです。

加えて患者さんを助けてあげたい、治してあげたい一心で精神科医たちは、患者さんの訴えに応じて薬を出していくというわけです。

現代の薬漬け医療の原因は、薬物療法しか出来ない精神科医たちの患者さんを救いたいという善意が基本にあると井原医師は指摘しています。

しかし、患者の立場である私から見ると、そんな綺麗事だけではないように思えます。薬漬け医療の原因は、精神科医たちの患者さんを救いたいという善意だけではなく、そこには精神科医たちの金儲け主義が大きく関わっていると私は思います。

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うつ病の急増と抗うつ薬との深い関係

うつ病の女性の写真A
うつ病は、かつては日本人にそれほど多い病気ではありませんでした。それが1999年を境に急激に増えていき、たった9年で2.4倍にも膨れ上がり100万人を超えました。

うつ病が急激に増えた背景には、1999年に抗うつ薬が認可されたのを機に、製薬会社が精力的に行なったうつ病啓発キャンペーンの影響があります。

「うつは心の風邪」の有名なキャッチコピーを覚えていらっしゃる方も多いと思います。

この手法は、うつ病を大げさに喧伝(けんでん)して、不安をあおり、本来はうつ病とはいえない「悩める健康人」を大量にうつ病に仕立てあげる疾患喧伝だと、早くから批判が出ていたそうです。

疾患喧伝(しっかんけんでん)とは
  • 薬の販売促進を目的に「病気の宣伝」を行なうこと。
  • 病気とはいえない程度の身体の些細な不調を「病気だ」と騒ぎたて、病院に行くように促し、治療しないとまずいと思わせるように「病気の宣伝」を行なうこと。

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製薬会社による「うつは心の風邪」キャンペーンは、日本でも、うつ病を急増させ、抗うつ薬の売り上げは、SSRIが認可される前年(1998年)の売り上げの173億円から2007年には1000億円を超えました。

またSSRIには、吐き気や下痢、不安、不眠など様々な副作用がありますが、中には自傷、自殺、他人に危害を加えるなど危険な副作用が出る場合もあります。

SSRIにこうした副作用があることは製薬会社は当初から把握しており、ある程度は公開していたそうですが、残念ながら副作用の意図的な隠蔽工作もあったようです。


黄色の花のライン2
これらのことから私たちが学ばなければならないことは、製薬会社は企業であり、営利を目的とする組織である以上、製薬会社の情報を聴く際には、薬の有効性についての情報は誇張され、副作用についての情報は過小評価されがちで、時には隠蔽されることもあるということを常に念頭に入れておく必要があると井原医師はアドバイスしています。


薬漬け医療の一番の責任は精神科医にあり、第二には精神科医に薬を使うように勧めた製薬会社に責任があることは間違いありませんが、かといって精神科医も製薬会社も最終的には患者さんに対して責任を取ってはくれません。

だったら、患者さん自身が自分の身を自分で守るしかないのです。患者さんは、精神科医の言葉も、製薬会社からの情報も、警戒レベルをマックスに引き上げて聴く姿勢が大切だと井原医師はいいます。

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うつを薬を飲まないで治す!薬を飲みたくない人へ

大量の薬の画像
うつは、治る病です。
しかし何年も抗うつ薬を飲んでも治らない人がいるのも現実です。あるいは、副作用がきつくて薬を飲みたくない人もいるでしょう。

井原医師は「薬に頼らない治療」をめざし、薬を使う場合でも必要な範囲にとどめ、薬物療法よりも睡眠や生活リズムをめぐる療養指導に力を入れて、うつ病の治療に当たっています。

実際、薬物療法よりも生活習慣の指導のほうが効果が現われるのが圧倒的に早いので本人が実行さえしてくれたら薬物を使う必要もないそうです。


井原医師が行なっている療養指導のメインは…

就寝中の男性のイラスト
  1. 睡眠量

  2. 睡眠相(何時に眠り、何時に目覚めるかのパターンのこと)
      
    起床時間を日によって大きく変えない。
    寝不足の場合には早く寝て起床時間はできるだけずらさない。

  3. アルコール管理

  4. 毎日30分の散歩

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もしご家族が、うつ病と診断され精神科医にかかっているのなら、ご家族も一緒になって睡眠・覚醒リズムなどの生活習慣の改善に取り組まれることが大切です。

毎日同じ時刻に起き、同じ時刻に就寝するなど健康な睡眠・覚醒リズムが確立できれば、うつは自然と治っていくというのが井原医師の主張です。

ある患者さんは、うつ病の薬物治療を受けて状態が悪化し、休職3ヶ月の診断書を出されたそうですが、薬物療法に疑問を感じ、井原医師の元を訪れ生活習慣指導を受けたところ、その結果は、休職中の3ヶ月で断薬にも成功し抑うつ状態も脱し復職後も経過はいたって良好だそうです。


※薬を飲まないでうつを治す方法の詳細については「うつの8割に薬は無意味」の書籍をご覧ください。



うつで薬漬けに遭わないための精神科医選びのコツ!

精神科医と患者のイラスト

うつ病患者の急増と共に、急激に増えたのが街角のメンタルクリニックです。メンタルクリニックは外来のみで入院施設もないので、早い話が椅子と机さえあれば簡単に開業できます。

中には、簡単に開業できて儲かるという理由だけで、精神医学のトレーニングを受けたことのない他科の医師がメンタルクリニックを開業するケースまで出てきました。

こうなると困るのは患者さんのほうで、そういう病院に知らずに行くと、薬漬けにされてしまいます。

井原医師によると、今や精神科クリニックにかかることはギャンブルだといいます。

精神科クリニックを受診して、そのクリニックが質の高い治療をしてくれるクリニックかどうかの確率は、パチンコ程度には負ける確率が高いと覚悟しておいたほうがいいと井原医師はいいます。
ショックを受けてる男性のイラスト
それじゃ、患者さんはどうすればいいのでしょうか。

まずメンタルクリニックを受診するにあたっては、実際にそのクリニックを受診した人から話を聴いたり、ネットでその病院の評判を調べることが大切です。

またクリニックを受診する際には、一人で行かず家族や友人に同行してもらい第三者の目で、そのクリニックのドクターが信頼できる人物かどうかを見極めてもらうことも大事です。

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薬漬けに遭わないための精神科医選びのコツ!

・初診なのに薬を3種類以上出す
・処方した薬の説明をしない
・副作用の説明がない
・不調を訴えるたびに薬が増える、変更になる
・治療に関して疑問に思うことをたずねると機嫌が悪くなる
・薬を出すだけで、助言、指導、提案をしない
・症状ばかり尋ねて、生活を知ろうとしない

などの傾向があれば、どうか警戒レベルを一段、二段と引き上げてください。診察のたびにじわじわと薬剤が増えるようであれば、もはや警戒レベルをマックスにあげるべきです。そして医療機関を変えることを考えるべきでしょう。

<出典:うつの8割に薬は無意味>


初診で数種類の薬を処方されることもあると思いますが、その時の手立ても井原医師は教えてくれています。

初診の際に、いきなり薬を出すような精神科医には、ためしに、「ガイドラインでは、軽症では非薬物療法を優先するとありますが、私は薬を使わないといけないほど重症なのですか?」と質問してみるといいかもしれません。

それですぐに不機嫌な表情をするようであれば、この医者はまず間違いなく薬物療法以外の手立てをもっていません。薬漬けに遭うリスクは高いといえるでしょう。

<出典:うつの8割に薬は無意味>

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おわりに
「うつの8割に薬は無意味」の本は、現代の精神医療の問題点を、歯に衣着せぬ物言いでズバリ指摘しているので、読んでいて気持ちがスカッとする本です。

著者は大学教授ですが、ここまで率直に語ってくれてる精神科の教授本というのは、私はお目にかかったことがなかったので、とても新鮮でした。

最初は、この本を図書館で予約したのですが、予約待ちの人数が某大なため読めるのはいつになるか分からなかったのでネット購入して読んだのですが、買って後悔しない本でした。

薬物療法主体の現代の精神医療に対して批判の声が高まっていますが、井原医師のような臨床医がもっと増えてくれたらと思います。


最後に、本の著者が読者の皆さんに伝えたかったことを記します。

青い花の枠
  • 辛いことがあって憂うつになるのは病気ではなく正常な反応なので薬を飲む必要はありません。

  • うつも不安も不眠も、人生にはつきものであり、人生に不可欠の一要素である憂うつは、本来医療の対象とする必要はないのです。

うつ病治療に、まず抗うつ薬ありきの考え方を私たち一般人も変えていかなければいけないと思いました。



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参考書籍
うつの8割に薬は無意味 井原裕著




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