うつに漢方薬は効果あり!失敗しない薬の選び方のコツ


うつに漢方薬って効果あるの?

私の場合、介護うつになった時に、漢方薬は効果がありました。

でも、自分のうつ症状に効果のある漢方薬に出会うまで、かなり月日がかかったので、うつに改善効果が実感できるようになるまで数ヶ月もかかってしまいました。

漢方生薬の写真
漢方薬のよい点は、抗うつ薬ほど副作用が強くないことと、飲むのを急に止めても離脱症状が起きない点です。

ところが、漢方薬で大分うつが良くなってきた頃、ちょっと欲を出したばかりに、私は漢方薬選びの思わぬ落とし穴にハマってしまいました。

今回は、うつに漢方薬を効果的に使うために、気をつけたい注意点を私の失敗談も含めてお伝えしたいと思います。

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うつに効果のある漢方薬選びは、必ず漢方の専門家に!

漢方医のイラスト画像
漢方薬の市販薬は、ネット通販でも簡単に手に入れることができます。しかし、素人判断で市販の漢方薬を選ぶと、効果が得られないばかりか思わぬ副作用が出る場合があります。

「えっ!?漢方薬って副作用ないんじゃないの?」という声が聞こえてきそうですが、それがあるんですよ。

自分の体質に合っていない漢方薬を服用した場合には、副作用が出る場合があります。ただ、抗うつ薬の副作用と比べると、漢方薬の副作用は軽いです。


漢方医や漢方薬剤師は、問診だけでなく患者の舌の状態を診たり、手首の脈やお腹に触れて、患者の体質や病態を診て細やかな調剤を行ないます(正式には、四診の診察法ができるのは漢方医のみ)。

ところが、私の場合は、家の事情で遠方の漢方医のところまで行くことが出来なかったため、漢方専門薬局に電話して症状を話して薬を処方してもらいました。

漢方医と患者の電話
これが第一の失敗点でした。

漢方薬剤師は、電話で症状などを聴くだけで、患者の体質を実際に診ていないため、私の体質に本当に合った処方が、なかなか出来なかったのです。

私の場合、うつの症状の漢方薬だけでなく、身体全体のバランスを整える漢方薬などを含めて最初は3種類の漢方薬を処方されました。

微妙に副作用が出たり、効果が見られなかったりで、とっかえひっかえ処方を変えてもらい、自分の体質に本当に合う漢方薬に出会えるまで、数ヶ月分の時間とお金が無駄になりました。

この時の失敗から、私は漢方薬を選ぶ際には、漢方の専門家に直接診てもらってから薬を処方してもらうことの大切さを学びました。

漢方薬選びのポイント1
  • 漢方薬は、経験豊富な専門家に直接診てもらって処方してもらうこと
  • 自分の体質に合った漢方薬が見つかるまで日数がかかる場合もあることを覚悟しておくこと

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風邪の時のような一過性の病気の漢方薬選びとは違い、うつの場合は、血も気も滞ってる状態だと考えられているため、その処方は非常に複雑です。

うつに効果がある漢方薬を、ネット通販などで自己判断で購入することは可能ですが、最初にそれをやると失敗する可能性が大です。


そして、私は、漢方薬でうつが改善され、かなり状態がよくなってから、さらに第二の失敗をしてしまいました。

漢方薬選びには、意外な落とし穴が隠れているので、次にそのことについてお話しますね。


同じ漢方薬でも製薬会社によって効果・副作用が異なる場合がある

うつ症状で悩む女性
漢方薬を飲んで、うつの状態が楽になっていくと、薬を飲む頻度を少々減らしても平気になっていきました。そのうち飲む漢方薬の種類も、加味帰脾湯(かみきひとう)1種類だけと数も減っていきました。

加味帰脾湯は保険適用の漢方薬なので、病院で処方してもらえば、物凄く安くなります。そこで私の中にドケチ根性が芽生えてしまったのですが、それが第二の失敗を招いた原因でした。

加味帰脾湯なら、どこで処方してもらっても同じだろうと考え、病院で某有名メーカーの加味帰脾湯を出してもらったのです。その時は、料金が凄く安くなり、得した気分で喜んでいました。

ところが飲み始めてから1ヵ月半ほど経ってから、心臓の動悸が激しくなり不安症状も強くなっていったのです。

不安な女性のイラスト
しかし、まさか病院でもらってる加味帰脾湯が原因だとは想像もしませんでした。なぜなら長い間、漢方専門薬局で加味帰脾湯を処方してもらって、効果のほどは自分の身体で感じてきたからです。

同じ名前の漢方薬を飲んで、製薬会社によって、これほど大きな差が出るとは思ってもいなかったのです。

その後、前の漢方薬局から加味帰脾湯を再度処方してもらい、ようやく動悸と精神不安から脱出しました。

この時の失敗から、同じ名前の漢方薬でも、製薬会社によって作り方も生薬の配合率も微妙に違うことと、市販薬と医療用漢方薬(病院でもらう漢方薬のこと)の違いも学びました。

漢方薬選びのポイント2
  • 同じ名前の漢方薬でも製薬会社によって効果・副作用に違いが出る場合がある
  • 市販薬は、医療用漢方薬に比べて、効果がやや弱くなる反面、副作用が出にくいように作られている

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誤解のないように付け加えますが、某有名メーカーの加味帰脾湯が悪いのではなく、同じ名前の漢方薬でもメーカーが違えば、効果や副作用の出方が個人の体質によって異なってくる場合があるということです。

また市販薬は、生薬の含有量や一日の服用量が、医療用漢方薬に比べて少なく設定されています。かといって市販薬の効果が劣るということではありません。

漢方専門薬局では、保険診療では使えない高品質な生薬が自由に使えますし、個人の体質に応じた微妙なサジ加減も可能なため、オーダーメイド制の高い漢方薬が手に入ります。

同じ理由で、漢方専門病院でも、保険適用の漢方薬を使わないで自由診療としているところが多くなります。

保険診療で出される医療用漢方薬は、値段が安いというメリットはありますが、その反面、難点もあります。

一般の病院では、漢方の専門的な知識を持って漢方薬を処方している医師は、まだそれほど多くはいません。そのため、患者さんの証に合っていない漢方薬を処方する医師も残念ながらいます。

漢方薬の処方は、個人の体質や病態に合った微妙なサジ加減が難しいため、漢方に熟練した医師や薬剤師に処方してもらうほうが治癒率は高くなります。

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うつに効果のある漢方薬

うつに効く漢方薬
精神科医によるうつ病の治療は、抗うつ薬による薬物療法が基本ですが、軽度の抑うつ状態の場合や、抗うつ薬の補助として漢方薬が使われる場合もあります。

特に、軽度のうつには漢方薬は有効だといわれています。また抗うつ薬の副作用を改善するために漢方薬が処方される場合もあります。

漢方薬は副作用が抗うつ薬よりも少ないため、副作用が強くて抗うつ薬を使用できない場合に漢方薬が使われることもあります。

既に抗うつ薬で治療中の方で、漢方薬を試してみたい場合には、主治医の許可を得たうえで、漢方の専門家に相談されるのがいいでしょう。

また漢方薬で症状が落ち着いていった場合でも、抗うつ薬を併用している場合には、自己判断で抗うつ薬を急にやめると、危険な離脱症状が出る場合がありますので、抗うつ薬をやめる際には、必ず精神科医の主治医の指導のもとに行なってください。

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うつによく使われる漢方薬
実 証
    実証とは、体力・抵抗力があり、生理機能が高まっている状態。体力があり、筋肉質で体格もよく、消化器系が丈夫などの特徴があります。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) 

  • 体力が中等度以上。
  • 精神不安、不眠、イライラなどの精神症状があり、便秘、尿量減少をともない、みぞおちから肋骨の下にかけての部分がはって、押すと痛みがあり、へその周辺に動悸を感じる場合に効果があります。
大承気湯(だいじょうきとう)

  • 体力の充実した人。
  • 腹部が硬くつかえて膨満感が強く、不安、不眠、興奮などの精神症状をともなって便秘する場合か、あるいは肥満体質で便秘する場合に有効です。

柴胡加竜骨牡蛎湯も大承気湯も、妊婦が使用した場合には、流早産の危険性があります。また授乳中は、乳児が下痢をする場合がありますので、使用には注意が必要です。 


中間証
    ある特徴は虚証を示していますが、別の特徴は実証を示しており、特徴が明確に虚実のどちらかに偏ることがない場合を中間証と呼びます。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

  • 体力中等度以下。
  • 胃腸虚弱で食欲不振、吐き気、嘔吐などがあり、腹部が張って、胃内停水(みぞおちを軽くたたくとポチャポチャと水の溜まっているような音がする)が見られる場合。
  • 気分がふさぎ、不眠、動悸、精神不安などがあり、咽喉・食道部に異物感があり、ときに、咳、めまい、顔面や手足のむくみなどをともなう場合に有効です。
  • この薬は、ふさがっている気分を開く「気剤」の代表的なもので、漢方の抗不安薬ともいえます。
柴朴湯(さいぼくとう)

  • 体力が中等度の人。
  • 気分がふさぎ、のどに異物感があり、風邪をひきやすく、ときに動悸、めまい、吐き気をともなう人に処方されます。

半夏厚朴湯、柴朴湯は、妊婦・妊娠している可能性のある人は使用できない場合があります。


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虚 証
    虚証とは、体力や抵抗力が低下しており、生理機能も衰えている状態。痩せていて顔色が悪く、疲れやすい、消化器系が弱いなどの特徴があります。
加味帰脾湯(かみきひとう)

  • 体力が中等度以下。
  • 心身が疲れ、血色が悪く、貧血、不眠、動悸、精神不安、微熱、寝汗などの症状がある場合に有効です。
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

  • 体力が中等度以下。
  • 倦怠感があり、血色が悪く、動悸、息切れがし、微熱があって、ときに寝汗、首から上に汗をかきやすく、口の渇きがある人に処方されます。
  • へその上のあたりに動悸を感じ、みぞおちが軽く張っている感じがして、押すと抵抗があり、神経過敏で不眠を訴え、尿量が少なく、からせきがあるといった場合に有効です。
香蘇散(こうそさん)

  • 体力虚弱の人。
  • 胃腸が弱く、神経過敏で気分がすぐれず、不安や不眠があり、胃内停水(みぞおちのあたりを軽く叩くとポチャポチャと水の音がする)がみられる場合に処方されます。

加味帰脾湯、柴胡桂枝乾姜湯、香蘇散は、妊婦・妊娠している可能性のある人は使用できない場合があります。

加味逍遥散(かみしょうようさん)

  • 体力が中等度以下。
  • のぼせ感や頭痛があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘傾向のある人に処方されます。
  • 冷え性、虚弱体質、月経困難、更年期障害、血の道症、不眠症に用いられます。

加味逍遥散は、妊婦・妊娠している可能性のある人は、流早産の危険性がありますので、その旨を漢方医に伝え、できるだけ使用しないでください。


案内する看護婦

実証・中間証・虚証についての詳細は、こちらをご覧ください。↓ ↓ ↓
インフルエンザに麻黄湯!飲み方の正しいコツ3か条!


漢方に詳しい医師の探し方
指差し案内する女性
漢方に詳しい医師の探し方が分からない場合には、下記の別記事もご参考になさってくださいね。PMSという別の症状についての記事ですが、その中に、「漢方に詳しい医師の探し方」「漢方薬の入手先による違い」など知っておくと便利な漢方情報をお伝えしています。

◆PMSに効く漢方薬!市販薬と病院でもらう漢方薬の違い

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おわりに(リボンのイラスト)

うつの治療法は、抗うつ薬による治療法の他にも、心理療法(認知行動療法、対人関係療法など)、電気ショック療法、磁気刺激療法、光療法、漢方薬など、さまざまな治療法があります。

それぞれの治療法には、メリット・デメリットがあり、うつの状態によって向き・不向きもあると思います。あなたが、ご自身に一番合った治療法を見つけられ、一日も早くうつの辛さから解放されますように♪



参考書籍
  • 決定版 漢方 花輪壽彦監修
  • 漢方薬・生薬の教科書 花輪壽彦監修
  • 症候による漢方治療の実際 第5版 大塚恭男・渡邉賢治 著

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