脳梗塞の前兆に頭痛は関係ある?
脳梗塞の前兆に、頭痛は関係あるのでしょうか?
「最近、頭痛が続いてるんだけど、これって脳梗塞の前兆なのでは?」という質問をネット上でも見かけます。父が脳梗塞だったので、頭痛もちの私にとっては、脳梗塞と頭痛の関係は、特に気になります。
しかし脳出血やくも膜下出血は、突然の頭痛の症状で始まるということを、よく聞きますが、脳梗塞の場合には、調べてみても、前兆の症状に頭痛が見当たりません。
頭痛が続いていても脳梗塞に繋がる心配はないのでしょうか。さっそく脳梗塞と頭痛は、関係あるのかどうかを調べてみました。
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脳卒中は日本人の4大死因のひとつ
脳梗塞といえば、高齢者の病気と考えられがちですが、最近では若い人にも発症する若年性脳梗塞も増えてきました。日本人の死亡原因(2013年)は…
1位 ガ ン
2位 心疾患
3位 肺 炎
4位 脳卒中
2位 心疾患
3位 肺 炎
4位 脳卒中
脳卒中は、日本人の4大死因に入ります。
脳卒中は大きく分けて3つのタイプに分かれます。
■ 脳卒中 ■
- 脳梗塞
- 脳出血
- くも膜下出血
脳の血管がつまったり狭くなったりする
脳の細い血管が破れて出血する
脳の表面の血管が破れて、くも膜下腔に出血が広がる

以前は、脳卒中による死因のほとんどが脳出血だったそうですが、近年では脳梗塞が、脳卒中の約4分の3を占めるようになりました。
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脳梗塞の前兆

脳梗塞は、脳の中の血管がつまったり狭くなるために血液が滞り、脳に酸素や栄養が届かなくなり脳細胞が死んでしまう病気です。
脳のどの部分が障害を受けたかによって症状の現れ方が異なりますが、脳梗塞患者の1/4には、本格的な発作の前に、TIA(一過性脳虚血発作)という前兆の発作が見られます。
TIAの症状は短時間で自然に治ってしまうので、疲労のせいだと思い、軽く考えて受診しない人が多いそうです。
しかし、TIA(一過性脳虚血発作)を起こした場合、その約5%の人が48時間以内に脳梗塞を発症し、15~20%の人が90日以内に脳梗塞を起こすといわれています。
TIA(一過性脳虚血発作)を起こした場合、24時間以内に適切な治療を受ければ、その後の脳梗塞の発症率を大きく下げるともいわれています。TIAの症状は、下記のとおりです。
TIA(一過性脳虚血発作) |
---|
◆片側の手足や顔の半分に麻痺やしびれが起きる |
◆立てない・歩けない・ふらふらする |
◆ろれつが回らなかったり、言葉が出てこない |
◆片方の目が見えにくくなる(一過性黒内障) |
◆片側にあるものが見えなくなる(同名半盲) |
上記にあるように、脳梗塞の前兆の症状には頭痛は入っていません。
では、頭痛は脳梗塞と本当に無関係なのでしょうか?次に脳梗塞と頭痛との関係を見ていきたいと思います。
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脳梗塞と頭痛の関係

「脳の病気なら頭痛が起きるのでは?」と思いがちですが、脳梗塞の約9割では、頭痛は起こらないそうです。ただし、特殊な原因の脳梗塞では、頭痛をともなうものもあります。
頭痛をともなう脳梗塞の原因としては…
- 動脈解離
- 抗リン脂質抗体症候群
- MELAS(ミトコンドリア脳筋症)
心原性脳塞栓症(※心臓でできた血栓が脳の血管をふさぐ)では、他の病型の脳梗塞より頭痛をともないやすいと言われており、大きな梗塞で頭蓋内圧亢進をともなうと、頭痛や嘔吐を生じることがあります。
また、片頭痛発作で血管攣縮(※血管が縮んで細くなること)が強く、かつ長時間、片頭痛が持続する場合には、脳梗塞を併発する場合があります。
この片頭痛性脳梗塞は、若年性脳梗塞(特に女性)の原因として注意しておきたい脳梗塞の一つです。
若年性脳梗塞とは
30代や40代という若い年代に発症する脳梗塞をいいますが、公式な年齢規定はありません。脳梗塞は、60歳以上の人に多くみられる病気でしたが、近年は50歳未満の世代にも増えてきており、ときには10代~20代の人にもみられます。
ちなみに、脳卒中全般では男性のほうが多いですが、若年性脳梗塞に関しては、女性に特有のものも多いです。
片頭痛や自己免疫疾患は女性に多く、またピル(脳梗塞のリスクを高める)の使用も女性だけなので、働き盛りの女性の方は、注意が必要です。
ちなみに、脳卒中全般では男性のほうが多いですが、若年性脳梗塞に関しては、女性に特有のものも多いです。
片頭痛や自己免疫疾患は女性に多く、またピル(脳梗塞のリスクを高める)の使用も女性だけなので、働き盛りの女性の方は、注意が必要です。
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偏頭痛、特に前兆を伴う偏頭痛の場合には、脳梗塞のリスクが2倍近く高くなるという報告もあります。
最近では、偏頭痛のタイプ(前兆のある偏頭痛・前兆のない偏頭痛)は無関係とする報告もありますが、いずれにしても高齢者よりも若い人の脳梗塞に偏頭痛の症状が多いといわれています。
偏頭痛は、前兆のある偏頭痛と、前兆のない偏頭痛に分けられます。前兆のある偏頭痛の人は、2~3割です。
偏頭痛は、発作のたびに、血管に小さな損傷が生じるので、偏頭痛の発作の回数が多い人は、脳梗塞になる確率も上がるといわれています。
また、前兆を伴う偏頭痛は、脳梗塞だけでなく心筋梗塞のリスクも高めます。
偏頭痛は、市販の痛み止めを飲んで済ます人が多いと思います。しかし、偏頭痛は放置すると、脳梗塞や心筋梗塞のリスクも高めます。
また鎮痛剤を大量に服用したり、長期に多めの量を飲み続けると、脳の血管が痙攣して収縮し、血管攣縮を起こす可能性があります。血管攣縮は脳梗塞の発症につながるため注意が必要です。
将来、脳梗塞を発症しないためにも、頭痛外来などを受診し、片頭痛の発作の回数を減らし、血管を守る根本的な治療を行うことが大切です。
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★動脈解離による脳梗塞
頭痛をともなう脳梗塞の中の一つに、脳動脈解離による脳梗塞があります。これは働き盛りの男性に多い脳梗塞です。動脈の壁は、内膜、中膜、外膜の3層で構成されています。このうち内膜と中膜の間に裂け目ができると、そこから血液が血管壁に入り込みます。血液が流れるべきでない空間に入り込むことによって、血管の内腔が狭くなります。
これが脳動脈解離で、最悪の場合、血管がつまって脳梗塞を起こします。脳動脈解離は、血管が裂けるときに、頭痛や頚部痛が起きます。
脳動脈解離の誘因となるのは、ゴルフやヨガ、エアロビクス、体操などのスポーツで力を入れたり、ひねったりした時です。
そのためスポーツ中に脳梗塞を起こすと、医師はまず脳動脈解離を疑います。
スポーツ以外では、カイロプラクティックや強いマッサージでも起こることがあります。また事故などで、むち打ちを起こした時などにも動脈解離は起こりえます。
動脈解離は、血管の内幕と中膜の間に裂け目ができることで起こりますが、中膜と外膜の間に裂け目ができることもあり、この場合は動脈瘤(解離性動脈瘤)になります。動脈瘤が破裂すると、くも膜下出血を起こします。
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★抗リン脂質抗体症候群による脳梗塞
これは自己免疫疾患の一種で、抗リン脂質抗体が血液を凝固させるために起こる脳梗塞です。この場合に、片頭痛の症状が見られることがあります。脳梗塞で緊急入院してくる人の約10%は、なんらかの抗リン脂質抗体が陽性に出ます。
このタイプの脳梗塞は、若年性脳梗塞に見られることが比較的多いので、働き盛り世代(特に女性)は、注意が必要です。全身性エリテマトーデスという膠原病に伴って発症する場合もあります。
★ミトコンドリア脳筋症(MELAS)
細胞の中にあるミトコンドリアの異常により、脳卒中と同じような症状が現れる病気で、国の指定難病です。頭痛・嘔吐の症状で始まることが多いです。
さらに、最近注目されているのは、可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)です。
これは雷鳴様頭痛と呼ばれる激しい頭痛とともに脳血管が収縮して脳卒中や一過性脳虚血発作(TIA)を起こす病気ですが、血管収縮は一過性であることが特徴です。
このように脳梗塞の中には、数は少ないですが、頭痛をともなう脳梗塞もあります。
頭痛の症状をともなう脳梗塞は、高齢者よりも働き盛りの若年性脳梗塞に見られることが多いようです。
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脳梗塞は発症したら時間との勝負!
脳梗塞を発症してから4時間半以内なら、tPAという血栓を溶かす薬を使って治療することができます。
tPA治療を受けた患者さんは、受けない患者さんに比べて後遺症が軽いか、完全に回復する人が3割増えます。tPA治療は、脳梗塞に対して最も有効な治療法です
しかし、tPA治療は、脳梗塞を発症してから時間が経過すると出来なくなるため、脳梗塞は、時間との勝負といわれています。
実際、発症から4時間半という制限時間内にtPA治療を受けることができた患者さんは、脳梗塞を起こした人の1割以下だそうです。
しかし、そうはいっても、以前はこれよりも短い「3時間以内」だったので、4時間半にまで時間が拡大されたことで、治療の恩恵を受けられる患者さんも増えました。
そのtPA治療について、脳梗塞の患者さんが救急病院に運ばれてから、どのような治療をするのかERの現場からも説明してくれてるのが下の動画です。脳梗塞のことが分かりやすく説明されてます。↓↓↓
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おわりに
頭痛は、一般的には脳梗塞の前兆には見られませんが、特殊な原因の脳梗塞では、頭痛の症状を伴うことがあります。若年性脳梗塞の場合には、高齢者の脳梗塞より、頭に痛みを感じる場合が多いようです。気になる症状があるときには、早めに病院で診てもらってくださいね。
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