脳梗塞の後遺症による言語障害 失語症への理解を深めよう
患者さんを支える家族にとってもコミュニケーションが上手く取れないことで、戸惑うことも多いと思います。
父が脳梗塞だったので、脳梗塞発症後の後遺症にどう対応していいのか、最初は戸惑うこともありました。
患者さんが、どのタイプの言語障害なのかによって、患者さんへの対応や、リハビリも変わってきます。
脳梗塞後遺症の言語障害に苦しむ患者さんが、どのような状態になっているのかを、まず理解することが大切だと思います。
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脳梗塞の後遺症による言語障害の種類

脳梗塞の後遺症の言語障害には、次の2種類があります。
◆構音障害
◆失語症
◆失語症
では、構音障害と失語症のそれぞれについて、詳しく見ていきましょう。
筋肉の麻痺によって起こる構音障害
- 構音障害は、話すときに使われる舌やくちびる、喉などの筋肉が麻痺することによって起こります。
- 発音が正しく出来なくなったり、話す速度や声の大きさを調節できなくなりますが、言葉や文字は理解できます。
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言語中枢の損傷による失語症
- 失語症は、高次脳機能障害の一種で、話す・書く・読む・聞く・理解するといった、言葉に関する機能全般が損なわれるものです。
- 脳の言語中枢は、前頭葉と側頭葉の2ヶ所にあります。どちらが損傷を受けたかによって症状が異なります。
運動性失語 | 言葉を理解することは出来ても話せない |
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感覚性失語 | スムーズに話せても間違えていたり、聞く側になったとき言葉の意味が理解できない |
全 失 語 | ことばの理解も出来ず、話すこともできない |

失語症と戦う方たちの動画です。
失語症の方々が、どのようなつらさを感じているのかが分かります。
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脳梗塞の後遺症による言語障害の具体的な症状

言語障害に苦しむ患者さんは、自分の言葉で、自分の状態を相手に上手く伝えられません。
文章は理解できないけど、単語なら理解できるという患者さんの場合には、文章として話しかけるのではなく、単語をゆっくり組み合わせていくことによって、コミュニケーションが取れることがあります。
ここでは、失語症に苦しむ患者さんをより深く理解するために、失語症の症状を詳しくみていきましょう。
失語症のさまざまな症状
「話す」こと
◆頭の中でイメージしたものを言葉に置きかえられない
◆考えているのとは別の言葉が口に出てしまう
◆単語の音の順番が入れかわってしまう(つくえ→くつえ)
◆意味のない言葉を発してしまう
◆単語を組み立てて正しい文をつくれない
◆麻痺がないのに、発音がぎこちない
「読む」「書く」こと
◆文字を書くことができない
◆書きたい文字とは違う言葉を書いてしまう
◆聞いた言葉を書くことができない
◆ひらがなやカタカナは書いたり読んだりすることができるが、漢字は理解できない
◆漢字は書いたり読んだりすることができるが、ひらがなやカタカナは理解できない
「理解する」こと
◆聴覚は正常なのに、聞いた言葉が理解できない
◆読んだ言葉が理解できない
◆単語は理解できるけれど、文は理解できない
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ま と め
脳梗塞の患者さんが増え、命は助かったものの言語障害の後遺症に苦しむ方が増えています。脳の言語中枢は、前頭葉と側頭葉の2ヶ所にあり、これらの領域は左脳にある場合が多いため(右脳にある人もいる)、言語障害と右半身の麻痺を併発するケースもよく見られます。
患者さんは、さまざまな後遺症を抱え、脳梗塞発症前の自分との違いを痛感して、つらい思いをされています。言語障害が起きると、他人とのコミュニケーションをとりにくくなりますが、病気によって低下していくのは、言葉に関する機能だけです。
しかし、話せない様子を見て、ボケたと誤解する人も少なくありません。患者さんは、表現能力が失われても、知性や感情は保たれているということを忘れずに接することが大切です。
患者さんへの誤解と偏見が、患者さんのリハビリの進行を遅らせる要因にもなっています。
家族も社会も、患者さんの状態を深く理解した上で、温かくリハビリを応援していきたいですね。
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