脳梗塞の後遺症による嚥下障害 誤嚥性肺炎の原因
脳梗塞の後遺症による嚥下障害は、高齢者に多いのですが、この嚥下障害は、誤嚥性肺炎を引き起こす場合があるので、注意が必要です。
日本人の死因の1位 ガン、2位 心疾患は、変わりありませんが、近年3位と4位が入れ替わり、肺炎が脳血管疾患を上回った原因は、日本人の高齢化による、この誤嚥性肺炎が増えたせいだといわれています。
高齢者の肺炎の7割以上が、嚥下障害による誤嚥に関係していると言われています。
今回は、日本人の死因の順位まで変える誤嚥性肺炎の原因となる嚥下障害について調べてみました。
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脳梗塞の後遺症で、なぜ嚥下障害が起きるの?

脳梗塞の後遺症による嚥下障害は、急性期(脳梗塞発症から1~2週間の時期)の患者さんの6~7割に起こるといわれています。
嚥下障害は、短期間で自然に治まることもありますが、後遺症として残る場合もあります。
ものを飲み込む運動は、舌やあご、喉などの筋肉が連動して動くことによって行われていますが、これらの筋肉をコントロールする神経が損なわれると、食べ物を喉から食道へスムーズに送ることができなくなってしまうため、嚥下障害が起こります。
嚥下障害を起こすと、食べ物や飲み物をうまく飲み込めないため、飲食物や唾液が気道に入りやすくなり誤嚥性肺炎を引き起こしやすくなります。
人が物を飲み込むと、食べ物がどういう風に体の中に入っていくのか、嚥下造影で分かりやすく説明されてる動画です。嚥下障害のリハビリについても説明されてて、とても興味深い動画ですよ!

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嚥下障害が起きると、どんな症状が出るの?
嚥下障害の主な症状は、「飲み込みにくい」「むせる」などですが、本人が気づかないうちに誤嚥してることもあるので、周りの人たちが注意深く観察することが大切です。
下記の症状が現れたら、嚥下障害が起きてる可能性があります。
◆食事中やお茶を飲むときに、よくむせる
◆食べ物が喉に残る感じがする
◆痩せてくる
◆ものが飲み込みにくい
◆食べるのが遅くなる
◆硬いものが食べにくくなる
◆食べ物が口の中に残ることがよくある
◆食べ物や酸っぱい液が胃から喉に戻ってくることがある
◆夜、セキで寝られなかったり目覚めることがよくある
◆声がかすれてきた(がらがら声、かすれ声)
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口腔ケアが大切な理由
脳梗塞の後遺症の中でも、嚥下障害による誤嚥性肺炎は高齢者に多く、再発しやすい病気です。くり返すことによって、だんだん治りにくくなるので、何よりも予防が大切です。飲み込む力が低下してると、本人も気づかないうちに、唾液が気管に流れ込むことがあるため(不顕性誤嚥)、食事の時に注意していても、誤嚥を完全に無くすことはできません。
肺炎を防ぐためには、適切な口腔ケアで、口の中を清潔に保つことが大切です。
嚥下障害による誤嚥性肺炎を防ぐ・胃ろうについて
脳梗塞の後遺症による嚥下障害は、誤嚥性肺炎を引き起こす場合があるため、その対策として「胃ろう」があります。胃ろうとは、お腹に穴をあけ、そこから直接栄養剤を入れる方法です。
しかし胃ろうを作っても、唾液の誤嚥や、食道や胃からの逆流による誤嚥は完全には防げません。
また進行した認知症高齢者の嚥下障害に、胃ろうを作っても、誤嚥による肺炎の危険性は減らないとの研究結果もあります。
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高齢者の場合には、誤嚥性肺炎を少しでも減らして、栄養も確保する方法として、病院から家族に胃ろうを勧められるケースが多いと思いますが、家族は胃ろうの選択に当たっては悩むことも多いと思います。
胃ろうについては、さまざまな考え方があると思います。
実際にご家族に胃ろうを行った方々の体験談には、胃ろうを行ったことが本人のために本当に良かったのかどうかと後々まで悩まれてるご家族の思いが綴られており、それを読むと胸が痛みます。
私の父は、脳梗塞を発症後、嚥下障害を含む様々な後遺症が残ったため、自宅に帰ることを許されず、2年半の闘病生活の末、肺炎で亡くなりました。
父は、脳梗塞発症後、体中、管だらけになりましたが、時折戻る意識の中で涙を見せることもありました。
最先端医療を施し延命治療を行ったことが、本当に父にとって良かったのかどうか、今でも考えてしまいます。
脳梗塞の後遺症による嚥下障害は、誤嚥性肺炎のリスクを高めるので、慎重な対応が必要となります。
どの方法がベストなのかは、ご家族とご本人の考え方によっても変わってくると思いますが、難しい選択を迫られることがあるかもしれません。
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