PMSに効く漢方薬!市販薬と病院でもらう漢方薬の違い


PMS(月経前症候群)のツライ症状を、漢方で治療したいと思う女性は少なくありません。でも、市販薬がいいのか、面倒だけど病院に行って漢方薬を処方してもらったほうがいいのか、どっちにしようかと迷う人もいると思います。


漢方薬の市販薬と処方薬を迷う女性

そこで今回は、市販の漢方薬と病院で処方してもらう漢方薬の違いと、漢方でPMSを治療する際に、ぜひ知っておきたい注意点などについてお伝えしたいと思います。


漢方でPMSを治療するときは、どこで漢方薬を入手するのがいいのか、漢方に詳しい医師の探し方など、知っておくと便利な情報をお伝えしますので、ぜひご参考になさってくださいね♪

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PMSの漢方治療 市販薬と病院でもらう医療用漢方薬の違い

市販の漢方薬と病院でもらう漢方薬の違い
漢方薬は、大きく分けると次の2種類があります。

◆一般用漢方薬(市販薬)
    一般の薬局で売られてるもので医師の処方箋がなくても購入できるもの
◆医療用漢方薬  
    病院でもらう漢方薬のことで医師の処方箋が必要なもの

厚生省から認可されている医療用漢方薬には、エキス製剤(約150種類)の他に、煎じ薬に使用する生薬(200種類以上)も含まれています。

市販薬(一般用漢方薬)は、生薬の含有量や一日の服用量が、医療用漢方薬に比べて少なく設定されています。つまり、市販薬は、効果がやや弱くなる反面、副作用が出にくいように作られています。

その点、医療用漢方薬は、副作用が起きても医師が対応できるという前提なので、市販薬よりも薬効が強く出るように作られています。


医療用漢方薬と一般用漢方薬の違い
医療用漢方薬
一般用漢方薬
効 果強い医療用より弱い
副作用証が合っていない場合などに出ることもある医療用より出にくい
メリット健康保険が使える。ただし自由診療では保険適用外となる。手軽に購入できる

ただし、市販薬が医療用漢方薬より効き目が弱く作られているからといって市販薬が劣るという意味ではありません。市販薬・医療用漢方薬には、入手先によっても、それぞれメリット・デメリットがあります。

では次に、漢方薬の入手先による違いを見ていきましょう。

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漢方薬の入手先による違い


漢方薬の入手先は、大きく分けると次の3つに分けられます。

1.ドラッグストアやネット通販

ドラッグストアの画像
加味逍遥散などお馴染みの漢方薬は、ドラッグストアでも購入することができます。また、ネット通販でも手軽に購入できますが、出処のよく分からない漢方薬が出回っていることもあります。

ネット通販で海外から個人輸入するケースもありますが、中には劣悪なものも含まれており、健康被害を起こした例も報告されています。個人で市販のものを入手される場合は、漢方に詳しい薬剤師のいる薬局・薬店で購入するほうがいいでしょう。


2.漢方専門薬局


漢方専門薬局では、漢方医がいない代わりに、漢方に詳しい薬剤師が相談にのってくれます。

医師の処方箋がなくても購入できる手軽さはありますが、保険が使えない分、料金は高くなります。使う生薬によっても値段はさまざまですが、平均的な価格は、1日分600円~1000円程です。

料金は高くはなりますが、その代わり、保険診療では使えない高品質な生薬が自由に使え、個人の体質に応じた微妙なサジ加減も可能なため、オーダーメイド制の高い漢方薬が手に入るというメリットがあります。

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3.病院(一般病院と漢方専門病院)

病院の画像
医療機関で漢方薬を処方してもらう場合には、「保険診療」「自由診療」とでは、処方される漢方薬の種類や品質、料金がそれぞれ異なってきます。

保険適用で処方される漢方薬の場合は、料金は安くつきますが、自由診療(保険適用外)の漢方専門病院になると、自費になるので、かなりお高くなります。

使う生薬によっても料金は異なりますが、自由診療の漢方専門病院にかかった場合の平均的な漢方薬の料金は、1日分800円~1200円程です。この他に診察料が別途かかる場合があります。

漢方専門病院はなぜ自由診療のところが多いの
なぜ漢方専門病院では自由診療のところが多いのかは、次のような理由のためです。

保険診療では、病名に沿って漢方薬が決まるシステムですが、漢方の場合は、証によって薬が決まるため、漢方薬に適用される病名・症状がはっきりしないと保険適用の漢方薬が使えない不便さがあります。

また、漢方薬の場合…
◆生薬の品質の良し悪しによって治療効果が左右されます。

しかし保険診療では、使える生薬の品目数が制限されていることや、より高品質な生薬が使えないなどの制約があるため、漢方の専門病院では自由診療のところが多くなります。

自由診療の場合、確かに金銭的な負担は大きくなりますが、その代わり出される漢方薬のクオリティが高く、漢方に熟練した医師が、保険適用外の生薬を使った処方を出してくれるなど、自由診療ならではの良い点もあります。


【保険診療と自由診療の違い】
 保険診療自由診療
長 所漢方に詳しい医師が少ない。使える生薬の種類に制限がある。高品質な生薬が使えない。漢方に熟練した医師がいる。使える生薬に制限はない。より高品質な生薬が使える。
短 所健康保険が使えるので安い料金はかなり高い

最近は、一般の病院でも漢方薬を使用するケースが増えてきましたが、漢方の専門的な知識を持って漢方薬を処方している医師は、まだそれほど多くはいません。

もし、一般の病院で処方された漢方薬の結果に満足できない場合には、一度、熟練した漢方医のいる漢方専門病院に行ってみるのもいいでしょう。金銭的な負担は大きくなりますが、もっとも質の高い漢方治療を受けられます。

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PMSの漢方治療で大切なのは、証に合った正しい処方


漢方薬は西洋薬と違って、同じ症状でも患者さんの証(体質と病態)によって処方が変わります。

自分の証に合ったものでなければ、効果が期待できないばかりか副作用が出る場合もあります。

そのため、まずは、証を正しく判定してもらう必要があります。証の判定は、お腹に触れて診察したり舌の状態を診るなど四診(ししん)」と呼ばれる診察法によって決定します。

漢方医学に熟練した医師に診察してもらうか、あるいは漢方に詳しい薬剤師に相談して、証を見極めてもらい、その証に合った処方をしてもらいます。

漢方の診察風景
また、PMSのような慢性疾患の場合、漢方薬を飲み続けていくと、徐々に症状が緩和することで証は変化していきます。

証は、生涯にわたって一定ではなく、体質や健康の変化によって変わっていきます。

そのため症状の変化に伴い、漢方薬を減らしたり変更する必要が出てくる場合がありますので、漢方の専門家に処方してもらうほうが適切な対応をしてもらえます。

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漢方に詳しい医師はどこにいるの?

漢方専門医はどこにいるの?
自分の家の近くで、漢方に熟練した医師を探すとなると、なかなか難しいですよね。○○漢方内科とか病院名に漢方がつく所なら分かりやすいのですが、漢方専門病院が近くにない場合は、どこに行ったらいいのか分からないですよね。

一つの目安として漢方専門医を探すという方法もあります。漢方専門医とは、西洋医学の医師免許を持ってる医師で、さらに漢方医学にも修得した医師のことで、日本東洋医学会が作ってる認定制度です。

自分の家の近くのどこの病院に漢方専門医がいるのかを探したい時には、日本東洋医学会のサイト(http://www.jsom.or.jp/universally/index.html)から漢方専門医を探すことができます。

◆日本東洋医学会 漢方専門医検索 (https://www.jsom.or.jp/jsom_splist/listTop.do)

◆日本臨床漢方医会 漢方医検索 (http://kampo-ikai.jp/doctor/)

ただし、漢方専門医は、一般の医師よりは漢方医学に詳しいですが、腕の良さは、人それぞれだという評判も聞きます。

そこで漢方の薬剤師に「漢方に詳しい医師を見つけるコツ」を聴いたところ、「自由診療で漢方薬を扱ってる医師は漢方に詳しい!」という答えが返ってきました。

つまり、漢方薬の処方に、よほど自信がない限りは自由診療にはしないということです。言い換えれば、漢方の知識と経験を積み重ねた医師でないと、自由診療でやっていけないということです。


また、大学病院には漢方外来が設置されてるところもあります。漢方外来のある大学病院を探したいときには、こちらをご覧くださいね。

◆漢方外来のある大学病院一覧 
(http://ameblo.jp/kampodaisuki/entry-10035653685.html)

上記のサイトでも、お住まいの地域に漢方に詳しい医師が見つからない場合には、お近くの漢方専門薬局に問い合わせてみると、漢方に詳しい医師の情報が得られるかもしれません。

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PMSに効く漢方薬


全身の不調を改善したりバランスを整えるのは、漢方の得意とする分野です。西洋薬の場合、頭痛・腹痛には鎮痛剤、むくみには利尿剤、イライラが強いときには精神安定剤というように、それぞれの症状に対して薬が処方されます。

それに対し、漢方薬は、複数の生薬で構成されているため相乗効果も高く、一剤で複数の症状に対応できます。一つの生薬には、さまざまな成分が含まれており、そのため一つの漢方薬には、数十種類から多いものでは数百種類にのぼる成分が含まれています。

つまりPMSのように複数の症状が同時多発的に起こっている場合には、漢方薬は特に向いているのです。また作用が穏やかなので、西洋薬との併用も可能です。

女性の三大漢方薬といわれる「加味逍遥散」「当帰芍薬散」「桂枝茯苓丸」もよく使われますが、中でも、PMSの場合は、気の異常が関係するため、加味逍遥散の出番が多くなります。下記にPMSで使われることの多い漢方薬をあげてみました。

PMSで使われる漢方薬A
加味逍遥散(かみしょうようさん)
体力が中等度、あるいはそれ以下の虚弱体質の人で、疲れやすく、肩がこり、イライラや憂うつ感、頭痛、めまい、不眠があり、また上半身がのぼせやすいといった症状に用います。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
体力虚弱で、冷え性で疲れやすく、ときに頭重感、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸のある人に向いています。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
比較的体力のある人で、冷え性で、のぼせる傾向があり、頭痛、動悸、息切れ、めまい、肩こりなどがあり、下腹部が張り、押すと痛みがある場合に用います。

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桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
比較的体力のある人で、のぼせて便秘しがちな人で足腰が冷える場合に使われます。

抑 肝 散(よくかんさん)
体力中等度で、神経が高ぶり、怒りっぽくなりやすく、イライラ、抑うつがある場合に使用します。胃腸が弱い人は、抑肝散加陳皮半夏のほうが適しています。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
体力中等度以上で、些細なことを気にするといった精神不安、不眠、イライラなどの精神症状があり、便秘、尿量減少をともなう場合に処方します。

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
体力が中等度以上で、のぼせ気味で顔色が赤く、イライラや不眠、気分が落ち着かないなどの精神症状がある人に用います。

香 蘇 散(こうそさん)
体力虚弱で、胃腸が弱く、神経質で気分が沈みがちな人に用います。

女 神 散(にょしんさん)
体力中等度以上の人で、のぼせ・めまい・精神不安・不眠などに用います。

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半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
体力中等度で、気分がふさぎ、咽喉・食道に異物感があり、ときに動悸・めまい・吐き気をともなう場合に使われます。

五 苓 散(ごれいさん)
体力にかかわらず使用できます。のどが渇いて尿量が少ない人で、めまい・吐き気・むくみ・頭痛・腹痛などの症状がある場合に使われます。

温 経 湯(うんけいとう)
体力が中等度以下で、手足がほてり、唇が乾く場合に処方されます。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
体力中等度以下で、冷えが強く、特に下肢の冷えが強く、下肢または下腹部が痛くなりやすい場合に処方されます。

呉 茱 萸 湯(ごしゅゆとう)
比較的体力の低下した人で、手足が冷え、吐き気をともなった激しい頭痛に用います。

A さん
漢方薬って味が苦手なの・・・

B さん
それならオブラートに包んで飲めば大丈夫よ♪


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漢方薬の副作用と瞑眩(めんげん)

副作用と瞑眩は区別がつかないよ
漢方薬が西洋薬に比べて副作用が少ないのは、2000年にもわたる長い経験によって副作用を軽減し、予防する働きのある生薬を組み合わせた処方になっているからです。

しかし漢方薬も薬なので、副作用がでる場合もあります。誤った証をもとにした処方や不適切な服用、複数の薬の併用、食べ物との相互作用、アレルギー反応などによって副作用が起きる可能性はあります。

たとえば、その人の証に合ってない漢方薬を服用した場合には、下痢をしたり食欲が低下したり、だるくなるといった副作用が出ることがあります。

ただ、注意しなければいけないのは…
◆副作用と間違えやすいものに「瞑眩(めんげん)」があります。


瞑眩とは
瞑眩(めんげん)とは、漢方薬の服用を始めた際に、その処方が本人の証に合っているにもかかわらず、下痢や嘔吐、めまい、頭痛、吐き気、鼻血などの症状が一時的に出る現象のことをいいます。

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瞑眩は、慢性疾患などで体が良い方向に変化しはじめる時に、一時的に起こる好転反応のようなもので、漢方薬を飲んで一週間以内に起きることが多いですが、その後は急速に快方に向かいます。

瞑眩が表れた場合には、それが本当に瞑眩なのか副作用によるものなのかの判断はとても難しいので、気になる不快症状が出たときには、すぐに専門家に相談しましょう。

【副作用を起こしやすい生薬】
 甘 草(かんぞう)偽アルドステロン症(低カリウム血症、血圧上昇、むくみなど)、ミオパシー(脱力感、手足のけいれん、まひなど)
 黄 芩(おうごん)間質性肺炎、肝機能障害
 山梔子(さんしし)腸間膜静脈硬化症(黄連解毒湯・加味逍遥散・辛夷清肺湯で注意すること)
 麻 黄(まおう)不眠、動悸、頻脈、血圧上昇など
 附 子(ぶし)動悸、のぼせ、発汗、舌のしびれ、不整脈など
 地 黄(じおう)食欲不振、吐き気、腹痛、下痢など


PMSの漢方治療の効果はどの位で表れるの?


一般的に、慢性疾患に漢方薬の効果が表れる目安としては、2週間~4週間といわれています。それを過ぎても何の変化もない場合には、処方が証に合っていない可能性があります。その場合はすぐに医師に相談しましょう。



漢方薬の飲み方

漢方薬と湯のみ茶碗A
漢方薬の服用は、食間(食事と食事の間)に飲むのが基本です。空腹時に飲むほうが吸収がよく、食品との相互作用の心配もありません。基本は1日3回ですが、仕事を持っている人では、朝・晩の2回の服用でもかまいません。

飲み忘れた場合は、服用間隔を4時間以上あければ、次の食間まで待つ必要はありません。食前の服用でもかまいませんが、その場合には、服用後30分ほどしてから食事をとるようにしましょう。

服用後すぐに牛乳や清涼飲料水を飲むと、吸収が妨げられたり、成分が水分と一緒にすぐに排泄されて薬効が下がることがありますので注意しましょう。服用後の口直しのためのコーヒーやお茶は、30分ほど控えたほうがいいでしょう。


まとめ


市販されてる一般用漢方薬と病院で出される医療用漢方薬の違いは、市販薬のほうが効果がやや弱くなる反面、副作用が出にくいことです。しかし、どちらにもメリット・デメリットがあります。

漢方でのPMS治療において最も大切なのは、証の見極めと、証に合った正しい処方です。そのためには、漢方に熟練した医師か薬剤師のいるところで入手するのが、もっとも治癒率が高くなります。

漢方薬は、自分の証にピッタリ合うものだと驚くほど良く効きます。あなたも自分の証にピッタリ合う漢方薬を、ぜひ見つけて楽になってくださいね♪

あなたがPMSの辛さから解放されますように!
PMSを食事で改善する方法については、こちらをご参考になさってくださいね♪
◆生理前のイライラを解消する食べ物!PMSは食事で改善できる

参考書籍
  • 決定版 漢方 花輪壽彦著
  • 漢方薬・生薬の教科書 花輪壽彦監修
  • はじめての漢方 若草漢方薬局監修
  • 西洋医が教える本当は速効で治る漢方 井齋偉矢著




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