生理前のイライラを解消する食べ物!PMSは食事で改善できる
生理前になると、わけもなくイライラがひどくなって、些細なことで彼氏や旦那とケンカしたり、子どもをきつく叱りすぎてしまうことはありませんか?
生理前のイライラ、憂うつ、涙もろくなるなどの精神症状や頭痛、乳房痛、腹痛、眠気、むくみなどの身体症状は、月経前症候群(PMS)といい、多くの女性が抱えてる症状です。
この月経前症候群(PMS)のイライラなどの症状は、薬による治療法もありますが、薬物療法の場合には、副作用が強く表れる場合もあるため、薬を使わずに生理前のイライラを解消したいと願う女性たちも少なくありません。
実際、PMSの症状がそれほど重症でない人の場合には、食べ物を変えただけで長年の生理前のイライラがスッキリ解消された例が多数報告されています。
そこで今回は、生理前のイライラなどのPMS症状を、食べ物で解消する方法についてご紹介したいと思います。生理前のイライラだけでなく生理中のツライ症状(月経困難症)も、食生活の改善で軽減できますので、ぜひご参考になさってみてくださいね。
生理前のイライラ(PMS)の原因
生理前に起きるイライラなどの身体的・精神的な不快症状を、PMS(月経前症候群、または月経前緊張症)といいます。
PMSは、生理が始まる3~10日前頃から始まり、ほとんどの場合は軽症で、生理が始まると消えていきます。しかし中には月経開始後も不快症状が続き、月経困難症に移行する例もみられます。
【精神症状】
- イライラ、憂うつ、怒りっぽくなる、涙もろくなる、集中力低下、判断力低下、無気力、不眠など
- 頭痛、乳房痛、下腹部痛、むくみ、腰痛、便秘、下痢、食欲亢進(特に甘いものが食べたくなる)、眠気、ニキビ、肌荒れなど

生理前に、なぜイライラ・頭痛などのPMS症状が起きるのかは、残念ながら現代の西洋医学では、まだはっきりとは解明されていません。
PMS症状が表れる時期が、黄体ホルモン(プロゲステロン)が急激に増える黄体期と一致するため、PMSは女性ホルモンの変化が関係しているのではないかと一般的には考えられています。
しかし、PMSは、とかく「女性ホルモンのバランスの崩れ」というひと言で片付けられがちですが、実は、その他に、栄養の問題が原因となってる場合が非常に多いことが分かってきました。
中でも、PMSの発症には、次の3つが大きく影響していると考えられています。
◆隠れ貧血
◆機能性低血糖症
◆セロトニンの減少
PMSを解消するためには、「隠れ貧血」「機能性低血糖症」「セロトニンの減少」の3点を解消する食べ物をとることが、重要なポイントになります。
では、なぜ「隠れ貧血」「機能性低血糖症」「セロトニンの減少」が、PMSに影響を与えるのでしょうか。そこを理解しておくと、どんな食べ物を摂ったらいいのかが分かってきますので、まずは、その理由を、簡単に見ておきましょう。
◆隠れ貧血(貧血も含む)
生理前は子宮が活発に働くため、本来、脳に供給されるはずの血液が子宮の周りに集まり、そのため脳への血流量が一時的に少なくなります。生理前の頭痛は、この脳の血流量低下が原因の一つだと言われています。
このように血流量の減少による局所の貧血のことを、虚血性貧血といいますが、元々貧血や隠れ貧血がある女性の場合には、生理前の虚血性貧血の症状が強く出てしまいます。
隠れ貧血の症状は、PMS症状と非常に似ており、しかも生理前には虚血性貧血がさらに加わり、症状が悪化します。隠れ貧血の人は意外と多く、成人女性の6~7割に隠れ貧血が見られると言われています。

隠れ貧血かどうかを調べるフェリチン検査は、普通の血液検査の項目には入っていませんが、気になる貧血症状がある場合には、フェリチン検査は保険適用で受けることができます。
◆機能性低血糖症

黄体期の女性ホルモン(プロゲステロン)がインスリンの働きを低下させるため、生理前は機能性低血糖症を起こしやすくなり、イライラしたり怒りっぽくなります。
生理前に甘いものを食べたくなったり過食してしまうのは、この機能性低血糖症が原因だといわれています。
◆セロトニンの減少
黄体期に大量に分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)は、脳内神経伝達物質のセロトニン(別名:幸せホルモン)の分泌量を低下させます。
セロトニンが減少すると、イライラしたり怒りっぽくなったり、気分が落ち込みやすくなります。
対処法としては、セロトニンの原料であるトリプトファンというアミノ酸と、セロトニンの合成に必要なビタミンB6と鉄と炭水化物などを摂ることです。トリプトファンは、タンパク質を多く含む食べ物に含まれています。
「隠れ貧血」「機能性低血糖症」「セロトニンの減少」の3つが、PMS症状を悪化させるメカニズムを見てきましたが、では、具体的にどのような食べ物が生理前のイライラを解消するのかを、次に一緒に見ていきましょう。
生理前のイライラを解消する食べ物
◆鉄分を摂る

既に見てきたように、生理前のイライラに悩む女性の多くに、隠れ貧血が見られ、鉄分を補うことによってイライラなどのPMS症状の改善が見られます。
鉄には、吸収されやすいヘム鉄と、吸収されにくい非ヘム鉄とがあります。ヘム鉄の吸収率は 10~30%、非ヘム鉄の吸収率は 5%以下なので、吸収されやすいヘム鉄を積極的に摂りいれることが大切です。
鉄は、体内に吸収されにくい栄養素ですが、動物性タンパク質やビタミンCと一緒に摂ると、吸収率が上がります。
ヘム鉄を多く含む食品 | レバー 牛肉 コンビーフ缶 シジミ 赤貝 アサリ かつお いわしなど |
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非ヘム鉄を多く含む食品 | ひじき 海苔 ホウレン草 小松菜 パセリ 大豆 納豆など |
鉄分は不足してもいけない栄養素ですが、過剰摂取しても胃腸障害などの副作用が起きたり、重篤な過剰症を引き起こす危険性があります。
普段の食事では過剰症になる心配はありませんが、鉄のサプリメントを利用する場合には、使用容量を守り、あらかじめ医師に相談なさってから飲むようにしてくださいね。
下記のサイトは、鉄のサプリメントを選ぶ時に、参考になると思いますよ。
→ ◎クリニック・ハイジーア
◆砂糖をとりすぎない(甘い物・清涼飲料水を控える)

砂糖のとりすぎは、血糖値の急激な上昇と下降を招き、PMS症状を悪化させてしまいます。血糖値が急激に下がると、攻撃ホルモンと呼ばれるアドレナリンが分泌され、イライラしたり怒りっぽくなります。
また砂糖は、大量のカルシウムを奪います。カルシウムには、脳が興奮するのを抑える作用があり、カルシウムが足りなくなると、わずかの刺激にも過敏になりイライラしてキレやすくなります。
チョコレートやケーキだけでなく、コーラなどの清涼飲料水やスポーツドリンクにも、たくさんの砂糖が入っているので摂りすぎないように気をつけましょう。
◆GI値の低い食べ物を摂る

機能性低血糖症を防ぐためには、GIの数値の低い食べ物を選ぶことが大切です。たとえば、同じ炭水化物でも、「白米」より「玄米」、「うどん」より「そば」のほうがGI値が低く、血糖値を急激にあげません。
また、食べ合わせによってもGIの数値は変わってきます。たとえば、卵かけご飯よりも、意外なことに、カツ丼のほうがGI値は低くなります。ちょっとした工夫をすることで機能性低血糖症は改善していくことが可能です。
◆肉などのタンパク質をたくさん摂る

ストレスを感じると、脳内では、セロトニンなどの神経伝達物質が大量に合成されます。この盛んに合成される神経伝達物質は、すべてタンパク質を原材料にしています。
タンパク質不足は、ひいてはセロトニン不足を招き、セロトニンの減少は、イライラ、うつ、攻撃性を高めます。
特に、生理前の黄体期に分泌される黄体ホルモンは、セロトニンの分泌量を低下させます。そのため、生理前のイライラの解消には、セロトニンの原料である良質のタンパク質を多く摂ることが大切です。
◆大豆を食べすぎない!PMSに豆乳はホントにいいの?

ひところ、大豆に多く含まれるイソフラボンが卵巣ホルモンの一つ、卵胞ホルモン(エストロゲン)に似た作用を持つと脚光を浴びました。
しかしエストロゲンが増えることもPMSの原因の一つと言えるので、大豆製品の過剰摂取は、PMSの悪化をもたらします。
毎日の食事で普通に食べるのはかまいませんが、サプリメントを利用したり、大豆製品を大量に食べたりすることは避けるほうが賢明でしょう。
出典:PMSとうまくつきあう 百合レディスクリニック 丸本百合子著
また、イソフラボンの過剰摂取は、子宮内膜症、子宮筋腫などの婦人病のリスクを高めることもあります。
◆ビタミンB群を摂る

ビタミンB6の摂取は、PMS症状の改善に有効と言われています。ビタミンB6が、神経伝達物質セロトニンなどの働きをよくし、精神を安定させると考えられているからです。
◆マグネシウムを摂る

マグネシウムの摂取も、PMSの改善に有効と考えられています。ビタミンB6と同様に、マグネシウムも神経伝達物質の働きをよくし、精神を安定させます。
また生理前は、女性ホルモンのプロゲステロンの影響でインスリンの効き目が悪くなり、機能性低血糖症を起こしやすくなります。その点、マグネシウムには、インスリンの働きをよくする作用もあります。

マグネシウムは、普通の食事で過剰症になる心配はありませんが、一時期ブームとなった「にがり」や、マグネシウムを含むサプリメントで、過剰症となった事例が数多く報告されています。特に腎臓疾患の方は高マグネシウム血症を起こすことがあるので注意が必要です。
またマグネシウムは、骨の生成でカルシウムとセットになって働く栄養素なので、摂取するときには、カルシウム:マグネシウム=2:1の割合で摂ることも大切です。
◆ストレスに強くなるビタミンCを多く摂る

イライラしたり疲れてきたときには、抗ストレスビタミンであるビタミンCで応急処置をとるといいでしょう。
ストレスが多い時には、ビタミンCがどんどん消費されていきます。ビタミンCが不足すると、上手くストレス解消できずに余計イライラ・カリカリしてしまいます。
またタバコは、ビタミンCを壊してしまうので、喫煙者は特に多く摂取することが必要です。ビタミンCは、食べ物だけから十分な量を摂取することが難しいので、サプリメントで補うのもオススメです。
一日に摂取するビタミンCの目安としては、2000mg~2500mgです。
ただし、ビタミンCが多く含まれていると謳う栄養ドリンク剤は避けたほうが無難です。
ピルを服用中の方は、ビタミンCのサプリメントとの併用には、注意が必要です。
◆亜鉛を摂る(加工食品・スナック菓子などは食べない)

亜鉛は、インスリンや性腺ホルモンの形成に重要な働きをしています。亜鉛が欠乏すると、血糖値の調整に狂いが出て、低血糖症になります。しかし亜鉛は、食品の加工過程で大半が失われてしまいます。
また食品添加物や保存料には、体内の亜鉛を排出させてしまうものも含まれていますので、加工食品やスナック菓子は控えるようにしましょう。
◆カフェインを断つ

コーヒー・コーラ・栄養ドリンク・紅茶・お茶には、カフェインが含まれています。
カフェインは、副腎からアドレナリンの放出を促す作用があります。アドレナリンは、別名攻撃ホルモンとも呼ばれ、イライラ、怒りっぽくなるなどの症状を引き起こします。
そのため生理前のPMS症状が出ている時期にカフェインを摂ると、余計イライラが激しくなってしまいます。生理前は、コーヒーの代わりに神経を鎮める効果のあるハーブティーなどがオススメですよ♪
◆アルコールを控える(アルコールは低血糖を引き起こす)

生理前はイライラして、いつもよりアルコールの摂取が増える女性も少なくありません。しかし、お酒を飲んだために、かえって言い争いがエスカレートしたり感情のコントロールがきかなくなって、後で落ち込むことも多いようです。
アルコールは、一時的に血糖値を上昇させますが、その後は、急激な低血糖を引き起こします。低血糖になると、攻撃ホルモンであるアドレナリンが分泌され、イライラしたり怒りっぽくなります。
また、アルコールによる利尿作用は、身体に必要な栄養素まで排出させてしまいます。さらに、アルコールの飲みすぎは、インスリンの働きも悪くさせます。
PMSが表れる数日間は、お酒を飲みすぎないようにして、それが過ぎてから楽しいお酒を飲むようにしましょう。
◆塩分はひかえめに

PMSでよく見られる「むくみ」を改善するためには、塩分のとりすぎに気をつけましょう。またカリウムを多く含む食べ物は、利尿効果がありますので積極的にとると良いでしょう。
カリウムを多く含む食べ物は、野菜や果物、豆類等ですが、カリウムは水に溶ける性質があるので、ゆでたり水にさらすとカリウムは大幅に減ります。
生理前のイライラを解消する食べ方の4つのポイント!

生理前のイライラを解消するためには、食べ方をちょっと工夫することも大切です。
- 食べる順番は、野菜・サラダから食べる。 ご飯の前に、野菜サラダや野菜の煮物を先に食べると血糖値の急激な上昇を防いでくれます。
- 食事の回数を増やす。または間食を入れる。 食事と食事の間隔が長いと、低血糖を起こしてしまうので、1日のトータルの食事量は変えずに、1回の食事の量を減らして、その分、食事の回数を増やします。あるいは、食事と食事の間に、ナッツやチーズなどで間食をとるようにします。
- 食物繊維(水溶性食物繊維)をとる。 水溶性食物繊維には、ブドウ糖の吸収をゆるやかにする作用があり血糖値の上昇をおだやかにする働きがあります。水溶性食物繊維の多い食べ物には、納豆・ごぼう・アボカド、オクラ、レモン、菜の花、らっきょう漬などがあります。
- よく噛む。ひと口30回以上かむ! よく噛んで食べると、満腹感も得られ食べ過ぎを防いで、血糖値の急上昇も抑えてくれますよ♪

今回は、PMSを食事療法で改善する方法を見てきましたが、この他にも軽い有酸素運動を取り入れたり、アロマテラピーや漢方薬を利用する方法など、西洋薬を使わないでPMSを改善する方法はいろいろあります。
生理前になると自分を抑えられなくなって、親しい人に傷つけるような言葉を言ってしまったり、子どもに手をあげてしまったり、その積み重ねは、ますますあなたを苦しめてしまいます。仕事を持っている女性なら勤務先での評価を下げてしまうかもしれません。
一人で悩まずに、まずは身近な食事から見直してみませんか。鉄分をしっかり摂り、甘いものやお酒を控えて、タンパク質を十分摂り入れたバランスのよい食生活を始めてみましょう。
それでも、なかなか改善が見られない場合には、ビタミン・ミネラルなどの治療用サプリメントを使った「栄養療法」で、PMSの治療を行ってるクリニックもあります。
中にはPMSとは異なり、イライラなどの精神症状が非常に強く表れるPMDD(月経前不快気分障害)という病気もありますので、食事療法で、イライラがなかなか解消できないときには専門医に相談してみましょう。

→ ◆PMSに効く漢方薬!市販薬と病院でもらう漢方薬の違い
参考書籍
- PMS(月経前症候群)とうまくつきあう 百合レディスクリニック 丸本百合子著
- 自分の体にもっとやさしく 稚枝子おおつきクリニック院長 武者稚枝子著
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