発達障害は子供への対応次第で改善も予防もできる
発達障害と子供が診断されても、「発達障害は、生まれつきの脳機能障害なので、改善は無理です」と言われ続けてきた親御さんがほとんどだと思います。
しかし、発達障害は改善できないというこれまでの常識をくつがえし「改善も予防もできる!」と提言した脳科学者がいます。
実際に医療機関で診断名のついた200名以上の発達障害児の脳機能を検査し、改善へと導いてきた実績を持つ脳科学者 澤口俊之氏は、次のように断言します。
- 発達障害は脳機能障害であり、低下ないし障害されている脳機能を適切な方法で向上させれば、発達障害は改善できます。
- 適切な方法を日常的に行なえば、改善のみならず予防もできます。
私も、この衝撃的な内容に心惹かれ、早速、澤口俊之氏の著書「発達障害の改善と予防」を購入して読んでみました。
発達障害の子供とその親御さんを救うかもしれない貴重な情報が満載の本なので、ほんの一部ですが、ご紹介してみたいと思います。
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目次
発達障害は子供への対応次第で改善できる

発達障害には、自閉症、アスペルガー症候群、ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)などの診断名がありますが、どの発達障害も脳機能障害です。
脳機能の障害である発達障害は、脳科学で最も適切に扱えるというのが澤口氏の主張です。発達心理学や教育学では、発達障害の改善は難しいというのです。
大事なのは、健常児の脳機能と比べて、どの脳機能がどの程度低下しているかを調べ、低下している脳機能を科学的な方法で高めていけば、発達障害は改善していくというのです。
海外では2000年代の前半から、ある種の脳機能を高める訓練でADHDが改善できるという研究結果が報告されています。
欧米では、さらに研究が進み、自閉症スペクトラムや他の発達障害についても、薬物を使わずに、脳機能の向上を図ることで発達障害を改善する方法が発展してきました。
澤口氏も、それらの研究者の一人であり、世界的に見てもトップレベルの改善法を構築してきたといいます。
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しかし、一般人の私としては、先天的な脳機能障害をそんなに簡単に治せるのかという素朴な疑問が湧きます。
澤口氏によると、幼児の脳は未熟で発達の余地が大きいため、8歳未満の子供なら障害されてる脳機能を高めることは比較的容易だといいます。
ただし…
- 発達障害の改善は、8歳以降では難しくなる
- 発達障害の改善に最も適しているのは、4~6歳
- 自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群や自閉症など)の場合は、4歳未満から改善したほうがいい
また、それ以下の年齢で「非科学的な教育・改善法」や「不適切な環境」で間違った対応をした場合には、発達障害が発症したり悪化したりすることもあるといいます。
つまり、8歳未満の脳は、未熟で未分化のため、対応の仕方次第では、改善もするが悪化することもあるということです。
極端な例でいうと、生まれてから8歳頃まで話し言葉に一切触れないで育つと、その後にいくら言葉を教えても、話すことができなくなります(実際に海外であった事例)。
そこまで極端でなくても、話し言葉の環境が希薄だと、話し言葉を理解したり話したりする能力は低下してしまいます。
では次に、澤口氏の提唱する改善法によって、実際に発達障害が改善されたお子さんの例を一緒に見ていきましょう。
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発達障害の子供の改善例
澤口氏は、テレビにも出ている著名な脳科学者ですが、医師ではないので、治療という形ではなく、教育相談という形を取っています。子供の脳機能を調べて、その子供に適した改善法を提示するのです。では、実際に医療機関で発達障害と診断された子供たちが、どのように改善されたのかを見ていきましょう。
★ 重度の広汎性発達障害と診断された5歳半の子供

5歳半になっても言葉もほとんど出ず、重度の広汎性発達障害と診断されたお子さんが、親御さんに連れられて相談に訪れました。
親御さんは、あちこちの病院や施設に相談したそうですが、どこに行っても、生まれつきだから改善は無理と言われ続けてきたそうです。
しかし澤口氏から「改善できる」といわれ、そのために家庭で行なう適切な改善法を提示され、教えられた方法を一生懸命行なったそうです。その結果、劇的な変化が見られました。
特別支援学級に入ることを当然視されていたお子さんが、普通学級に入学することが出来たのです。親御さんは、感激のあまり涙を流されたそうです。
しかも、その後も改善効果は続き、学業成績も向上し、学校の成績は上位の優秀児になりました。
これを読んで、発達障害と診断されても正しい改善法を実行すれば、幼い子供に秘められた可能性を最大限に引き伸ばすことは可能だと思いました。
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★ 自閉症とADHDの合併症と診断された5歳半の子供

自閉症とADHDを併発していると診断された5歳半のお子さんが、園の年長さんになったばかりの頃に、親御さんと共に相談に訪れました。
澤口氏の診断は、一部の脳機能が低下している点では、確かに発達障害ですが、本来は、この子は健常児だというのです。
それを聴いたお母さんは、医療機関で発達障害は生まれつきだと散々言われてきたため、最初は澤口氏の言う言葉の意味が分からなかったそうです。
発達障害は、本来は遺伝的要因が絡んでいるので、その意味では生まれつきですが、遺伝的要因がなくても、生まれた後の環境的要因によって発達障害的な症状が出ることがあります。
澤口氏は、発達障害の環境的要因の一つに、非科学的な英才教育をあげています。
そのお母さんの話では、2際か3歳の頃に、半年間ほど週3日、優秀になるという触れ込みの園外教室に子供を通わせていたそうです。それ以外にも、1~2歳頃に英語のビデオを一日1時間ほど見せていたそうです。また1年程前からは、子供はスマホに熱中してるそうです。
そこで澤口氏は、スマホをすぐにやめさせること、英才教育を今日から全てやめることで、発達障害的な症状は改善することを説明し、その他に知能を向上させる方法も指導したそうです。
その結果は、数ヶ月で健常児のレベルになり、卒園の時には、知能指数【IQ】が140の優秀児になっていたそうです。
澤口氏によると、「非科学的な幼児教育」「月齢に不適切な英語教育」「スマホや知育機器のようなデジタル機器の使いすぎ」によって、発達障害的な症状になるケースは、かなり多いといいます。
こうしたケースは、「脳の歪み」が表層的で、根本の部分では健常児のため、脳の歪みを戻しながら発達障害を改善させるのは比較的容易だそうです。
親としては、我が子のために良かれと思ってやってきた幼児教育が、子供に悪影響を与えていたとは・・親御さんの気持ちを考えると、なんとも切ない話です。
では次に、発達障害の子供をどうやって改善していくのか、その具体的な方法を一緒に見ていきましょう。
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発達障害の子供をどうやって改善するのか
澤口氏によると、発達障害は前頭前野を中心とした神経システムの障害であり、HQ障害症候群だといいます。
HQとは
HQ(人間性知能)とは、やる気、集中力、好奇心、探究心、主体性、独創性など人間的な人生を送る上で最も重要な知能。HQは、額のすぐ後ろ側にある前頭前野の脳の知能で、他の脳領域をうまくコントロールする役割を果たしている。スポーツでいえば、監督のような存在。
IQが高くて勉強ができてもHQが高いとは限らず、一流大学から一流企業に入社しても、ドロップアウトしてニート化する若者の場合、HQが低い。HQが高い人ほど高度な職に就いて仕事を継続するが、途中退職者ほどHQが低い。
HQが高い人は企業の評価も高く、年収も高くなる傾向がある。優れた起業家はHQが高い。
IQが高くて勉強ができてもHQが高いとは限らず、一流大学から一流企業に入社しても、ドロップアウトしてニート化する若者の場合、HQが低い。HQが高い人ほど高度な職に就いて仕事を継続するが、途中退職者ほどHQが低い。
HQが高い人は企業の評価も高く、年収も高くなる傾向がある。優れた起業家はHQが高い。
では、具体的に発達障害の子供をどのように改善に導くのかというと、まず、発達障害の子供に対して HQテスト を行ないます。
最初のHQテストは、4歳後半から5歳頃にするのが最も適しています。ただし数字が読めることが前提になります。
HQのどの要素が、健常児と比べてどの程度低下しているのかを数値として明らかにして、その子供の HQプロファイル が作られます。
HQプロファイルが分かれば、それに伴って科学的な改善法も導き出せます。年齢が6歳以下(遅くとも8歳未満)なら、数ヶ月で改善することがほとんどだそうです。
HQテストを受けるには、澤口氏の研究所に行くしかないですが、予約で満杯でHQテストが受けられない場合、お子さんの発達障害に関係する脳機能が、本当に低下しているかどうかを、家庭で推定できる方法があります。
- ボールや小さなぬいぐるみを山なりに投げて、両手でキャッチできるか(4歳以降)
- 箸使いがうまくできるか(補助箸は使わない)(4歳以降)
ボールなどを山なりに投げて、この時の眼と手の動きを観察します。発達障害の子供は、ボールを追う眼の動きがスムーズでないか、あるいは、ほとんど眼が動きません。また片手でキャッチできても両手でキャッチできません。

しかし山なりのキャッチボールが上手くできるようになれば、発達障害は改善すると澤口氏はいいます。あるいは発達障害が改善すれば、山なりのキャッチボールができるようになります。
対 応 策
4歳以降で山なりのキャッチボールができない場合、この練習をすることで発達障害に多少なりとも改善効果をもたらします。
キャッチボールをする時間は、一日10分~20分程度で十分です。毎日行なうのがベストですが、週2~3回でもOK。子供がうまくできなくても、怒ったり叱ったりせず、お子さんが楽しいと感じながら行うことが大切です。楽しく行なうことで脳の発達を促す脳内ホルモンが増えるからです。
また、4歳以降になっても箸をうまく使えない場合、発達障害を疑います。ただし、4歳未満から箸を使い始めてることが前提です。箸は、4歳前(できれば2歳頃)から使い始めるべきで、早い段階から箸を使うことは、発達障害の予防と改善に繋がります。

もし使っていないのであれば、4歳以降でもいいので、箸を使うようにしてください。最初は握り箸でいいので、補助箸は避けてください。最初から普通の箸を使うことが大切です。食事の時に箸を使うことは、脳の発達にかなり有効です。
そして、食事の前に「いただきます」と言ってから(多少待ってから)食事を始めることも脳の発達に良い効果をもたらします。
このように発達障害とは一見関係のないような脳機能を日常生活の中で向上させることで、発達障害に深く関わる脳機能を向上させることができるのです。
この他にも、澤口氏が提言してる日常生活でできる発達障害の改善法には、次のようなものがあります。
- 公園で砂遊びをする
- 多少危険なことをあえてさせる
- 食事の時間を一定に制限する
- 料理を一緒にする
- お腹をくすぐって笑わせる
- 読み聞かせする
- ペットの世話をさせる
発達障害の改善には、日常的にできることが重要であり、生活の中で実践できて、さほど負担もなく脳機能を高めていくことが大切です。
では次に、発達障害の子供を改善させる要ともいえるワーキングメモリ訓練について見ていきましょう。
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発達障害の子供の改善法の基軸はワーキングメモリ訓練

発達障害の子供を最も効果的に改善する方法は、ワーキングメモリ(作業記憶)の機能を高めることです。ワーキングメモリとは、意味のある情報を一時的に記憶しながら適切に操作する脳機能のことで、前頭前野の中心機能ともなっています。
ワーキングメモリは、様々な知的・情動的機能の最も重要な基礎ですが、発達障害の子供は、このワーキングメモリが低下しているといいます。
そのためワーキングメモリを向上させれば、他の脳機能も汎化的に向上させることができます。汎化とは、ある脳機能の向上が、別の様々な脳機能の向上に広がっていくという意味です。幼児の脳は、未熟で未分化のため汎化しやすいのです。
澤口氏は、一日10分程度するだけでよいワーキングメモリ訓練を開発しています。ワーキングメモリを向上させる訓練は家庭でもできますが、やり方を間違えると悪化しかねないので、注意が必要です。

- 科学的で適切なワーキングメモリ訓練を行なうこと
- 適切な年齢(月齢)で行う
- 月齢が適切であっても、訓練する段階に脳が発達しているかどうか調べてから行なう
- ワーキングメモリ能力を月齢で補正する
- 子供の脳の個性(HQプロファイル)に適した訓練をする
適切なワーキングメモリ訓練は、教材など不要か、あるいは1~2種類の(数千円程度の)教材で十分です。不適切なワーキングメモリ訓練(しばしば高価な教材を使う場合がある)は発達障害を悪化させることがあるので要注意。
発達障害児の場合、ワーキングメモリ訓練は5~6歳が適している。4歳未満でワーキングメモリ訓練を行なうと、その後の発達を遅らせたり、脳を大きく歪ませてしまいかねない。
健常児では、ワーキングメモリ訓練に適しているのは4歳以降、通常は5~6歳。健常児でのワーキングメモリ訓練は、学力・知能指数IQを大幅に向上させる。
ワーキングメモリ訓練は、専門家の元で指導を受けてから行なうことが必要です。
では次に、家庭でできる発達障害の子供の改善法と予防法について一緒に見ていきましょう。
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発達障害の改善と予防 家庭での子供への対応の仕方

発達障害は、遺伝的要因と環境的要因の相互作用によって起こりますが、遺伝的要因があっても、生後の環境や育児が適切であった場合は、発症しないか、発症しても軽度であったり、また発症しても、対応次第で改善できるというのが澤口氏の主張です。
改善法の基軸は、ワーキングメモリ訓練ですが、お母さん方はその他にも家庭でできる具体的な改善法や予防法を知りたいと思います。
そこで家庭でできる発達障害の改善法と予防法について、子供の年齢別に澤口氏が提示している対応策をご紹介したいと思います。
★出 産 直 後
出産直後少なくても1時間以内に、最低15分以上、赤ちゃんを肌の上で抱くことが大切です。これはお母さんが母親脳になるために重要なことだそうです。
初乳には乳児に必要な成分がたくさん含まれているので、なるべく飲ませてあげてください。

出産後の数日間、母乳が出ないこともありますが、母乳が出なくても、優しい言葉で声かけなどをしながら、赤ちゃんに乳首を積極的に吸わせてあげてください。密な母子コミュニケーションこそが発達障害予防の基本です。
これに対しては反対意見もあります。出生直後のカンガルーケアと完全母乳が、発達障害を増やしていると主張する医師もいます。詳しくは、こちらをご覧ください。→ 出生直後のカンガルーケアの危険性
★0歳(0~12か月)

母 乳
母乳は最低でも3ヶ月以上、できれば半年以上与えてください。母乳が出ない場合には、DHAとARA(アラキドン酸)の両方が入ってる人工ミルクでもOK。
適切な栄養成分が欠けている人工ミルクで育てた場合、母乳だけで半年間以上育てた子供に比べて、自閉症スペクトラムになる確率は3倍になるという報告があります。
母子の肌接触
母乳と並んで大事なのは、母子の肌接触です。密なスキンシップ、笑いかけ、語りかけ、見つめ合い、頬ずり、キスなど、これらすべてが赤ちゃんの脳の発達を促します。
最適なのは、肌の上に直接抱くことです。上着や下着の上ではなく、下着の中の肌の上で赤ちゃんを抱くことが最もオススメです。こうすることで赤ちゃんが母乳を欲しくなったらすぐに飲めるからです。これを少なくても半年間、できれば1年間は心掛けると良いでしょう。
スマホやデジタル機器に要注意!
英語や知育的なDVD、スマホ、タブレットなどのデジタル機器は、発達障害のリスク要因です。テレビ(とくにアニメ)を2時間以上見せることも脳の発達にマイナスです。テレビやデジタル機器に子守はさせないようにしましょう。
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★1歳(12~24か月)

この1年間を適切に乗り越えれば、発達障害のリスクは大幅に減ります。この時期の基本は、母乳と母子の肌接触です。
食事は、白米や魚を中心とした和食がベスト。母乳が出るようなら母乳を与えてもOK。母乳が出なくても子供が乳首を吸いたいようなら、そうさせてください。
おもちゃは少ないほうがいいです。おもちゃを与えすぎることは、脳の発達にマイナスです。
読み聞かせは脳にとても良い
読み聞かせは、脳の発達にとても重要です。さらに良いのは、双方向性の読み聞かせです。お母さんとお子さんが、互いに読み聞かせ合うのがベスト。1歳では無理でしょうが、できそうなら、この頃から双方向性の読み聞かせを意識的に行なってみてください。
テレビ、スマホなどのデジタル機器、非科学的な知育や英語教育は、この年齢でもNGです。
1歳での注意点
1歳頃から「目と目が合わない、笑いかけても笑わない」という症状があれば、発達障害(特に自閉症スペクトラム)の疑いがありますので、注意が必要です。
その場合のすべきことは、次のとおりです。
対応策
- 密な母子コミュニケーション
- 母乳だけで半年以上育てる
- 母乳が出ない場合、アラキドン酸(ARA)が含まれている人工ミルクにする
DHAとEPAが入っている人工ミルクは多いですが、注意すべき点はアラキドン酸が入っているかどうかです。母乳で育てなくても、アラキドン酸入りの人工ミルクで半年以上育てれば、子供が自閉症スペクトラムになるリスクは半減します。
そして密な母子コミュニケーションとは、具体的には、頻繁にスキンシップをとり、子供によく語りかけ、笑いかけるようにします。抱く、触る、額を合わせる、キスをする、お腹をさすって笑わせる、歌を歌ってあげる、添い寝、寝る前の読み聞かせなど積極的に行なってあげてください。

お子さんが少しでも反応したら、同じような反応を大げさなくらいにしてください。赤ちゃんが、「あー」と発したら、お母さんも赤ちゃんの真似をして「あー」と反応してみましょう。
赤ちゃんは生まれた時からすでに、言葉を脳レベルである程度理解しています。そのため誕生後からの語りかけは、言葉の発達に重要です。
ただし、言葉が育っていく3歳くらいまでの時期に、無理に言葉を言わせようとして、テストやクイズのようなものは、すべきではありません。
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★2歳(24~36か月)

この年齢でも、1歳の時と同様に、密な母子コミュニケーションと和食が基本です。双方向性の読み聞かせが良いことは実証されているので、この頃から積極的に行なうことをオススメします。
食事の時には、箸を使うようにします。この頃から箸を使い始めた子供ほど頭がいい(IQとHQが高い)ことが分かっています。最初は握り箸でもいいので、補助箸は使わないこと。
2歳頃から同じ年頃の子供との集団遊びが大事になるので、保育園に入れることが最もオススメです。同じ年頃の子供たちと一緒に遊ぶことが、脳の発達を促します。
保育園の選び方
保育園を選ぶ時には、下記の3点に注意して選んでください。「非科学的な英才教育をしている園」はできるだけ避けてください。
- 昼食で箸を使わせる
- 自由な集団遊びをさせる
- 生活習慣を身につけさせる
脳の発達によい運動として科学的な証拠があがっているのは、今のところサッカーと、それに類した運動(バスケットボールなど)です。

2歳での注意点
この年齢で、「アーアー」「バブバブ」などの喃語(なんご)すら出てこない場合、自閉症スペクトラムなどの発達障害の疑いがあります。1歳での注意点とも重なりますが、笑いかけても笑わない、表情に変化がない場合にも自閉症スペクトラムの疑いがあります。さらに相手の動きを目で追えない場合にも問題があります。
家庭でできることは…
- 目を見ながら語りかけを続けること
- 子供が喃語を発したら、喃語を言い返してあげる
- 子供が興味を持ったものの名前や、「ふわふわ」「ダァダァ」などの擬態語や擬音語をたくさん話しかける
- 歌うことで言葉が出てきたり、増えることがあるので、お母さんと一緒に歌うことから始める
反対に、家庭でやってはいけないことは…
- 言葉を増やそうと焦るあまり、テストやクイズをする
- 絵カードを使う方法は悪影響なので、やらないこと
ADHDの場合、多動性や衝動性が表れてくるのも、この時期です(ただし、もっと遅い場合もある)。ADHDの場合、家庭でできることは、限られています。
多少危険なことを含んだ集団遊びが、ADHDには良い予防法・改善法ですが、これができるのは園です。
命にかかわる行為は、もちろん論外ですが、多少危険な行為が伴った遊びのほうが脳の発達には良い効果をもたらします。週1でもいいので、多少危険な外遊びをさせることも、それなりに改善効果があります。
また、テレビゲーム・スマホなどデジタル機器を使っている場合、それらを一切止めることで、ADHD的な症状は改善します。デジタル機器は、発達障害の発症のリスク要因なので、最初から使わせないことです。
また発達障害的な症状が出てきてときに、「発達障害児向けの施設・場所に通わせる」ことは避けてください。どのような発達障害であろうと、通常の園や普通学校に通わせることが大切です。そうすることが発達障害の子供の改善に繋がるからです。
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★3歳(36~48か月)

2歳の頃と同様に、密な母子コミュニケーションと和食、同じ年頃の子供たちとの集団遊びが脳の発達によい影響を与えます。
多少危険なことを含んだ遊びを主体的にさせることが大切で、幼少期にこうした遊びを豊富にした人ほど、難関大学に合格する確率が高まるという調査があり、こうした遊びは、社会性や創造性、心の強さにも結び付きます。
しつけは、2歳か3歳頃から始めますが、しつけと言っても、「時間を守らせること」「挨拶をさせること」で十分です。
社会的なルールに違反する行為をした場合には、罰が必要です。しかし殴ったり叩いたりすることは、虐待と同じ行為になりがちなので、避けたほうが無難です。
両肩をぐっと押さえて、動きの自由を制限しつつ、眼を見ながら「ダメ!」と強く叱ったり、一定の時間立たせるという方法などで社会のルールを教えます。
3歳での注意点
2、3歳までは、母子との密なコミュニケーションが最も重要ですが、2、3歳以降では同じ年頃の子供とのコミュニケーションがとても大切になっていきます。多少のケンカもしたほうがいいのです。
「体の痛みを介して心の痛みを知る」ということは、脳科学でもよく知られてることです。6歳頃までに、体の痛みを介して心の痛みを知るという経験をしておかないと、他人の心の痛みが分からない大人になりかねません。
★4歳(48~60か月)

3歳と同様、密な母子コミュニケーションと魚中心の和食、同年代の子供との集団遊びが基本です。
2、3歳までは、お母さんが読み聞かせしたり、双方向性の読み聞かせがいいですが、4歳以降は、読み聞かせのときに途中で止めて、内容に関してお子さんに質問してください。
昔話なら、「おばあちゃんは何をしてた?」「おじいちゃんとおばあちゃんは、どっちが先だった?」という具合にお子さんに内容を質問します。
ただしテストのような感じになると、子供が読み聞かせを嫌いになってしまうので、お子さんが読み聞かせは楽しいことなんだと感じるように導いてあげてください。
読み聞かせの後に、「どんなお話だった?」と内容を要約させることも、知能や学力を高めるのに、かなり有効です。4歳ごろからは、「お母さんに本を読んでくれる?」と、子供に楽しく音読させるようにしてください。
お母さんはお子さんが音読してるのを聞きながら、うなずいたり、笑ったり、悲しんだりして表情豊かにお子さんの音読に反応してあげてください。
4歳での注意点
子供が発達障害の場合、この頃に症状が明確になり、診断名も比較的はっきりします。発達障害として何らかの診断名がついても、不安になったり焦る必要はありません。発達障害は改善可能だからです。
4歳頃では、どんな発達障害であっても、やるべきことは大きく2つあります。
- 数字訓練
- 通常の園に通わせる
数字訓練は、数の概念を徹底的に教えます。数は「指」と深く関わっているので、最初は指を使って数を教えさせてください。

数の概念が理解できたら、記号としてのアラビア数字で数を数えられる、数字が読める、数字が書けるという段階まで訓練してください。書くのは「1~9」で十分です。

数の概念を理解して、アラビア数字が読めて書けるようになったら、次は、書く数字の形と大きさに注意してください。まずは、大きめの数字を適切な形で書けるという訓練をし、次に、小さな数字(1cm程度)を書くという訓練をしてください。
これは、発達障害を改善するのに最も適切な「数字カード法」を行なうための前段階となります。また、簡単なHQテスト「数字の順番書き」を行なうための前段階にもなります。
4歳の時には、数と数字(アラビア数字)を取得するだけでOKです。発達障害の改善という点からは、かなや漢字の訓練は不要です。
また発達障害の診断名がつくと、発達障害児向けの施設に行くことを周囲から勧められると思いますが、澤口氏は、発達障害の改善のためには通常の園に行かせることを強く勧めています。
理由は、発達障害児用の施設では、非科学的な改善法をされかねないことと、同年代の子供たちとの接触が少ないことから、発達障害の改善に繋がらないからです。
★5歳(60~72か月)

発達障害の疑いがある場合、念のためHQテストをするのがよいでしょう。見かけ上、発達障害に見えていても、脳機能的には健常児である場合もあります。
数字の順番書き
この年齢では、ほぼ全ての発達障害の子供に共通しているのはワーキングメモリの低下です。ワーキングメモリ能力をチェックする簡単な方法は「数字の順番書き」です。
子供に3ケタないし4ケタの数字を言葉で言ってから、5秒ほど後に、その数字を紙に順番通りに書かせます(1~9の数字でOK。ゼロは不要)。
5歳で3~4ケタ書ければ健常範囲で、ワーキングメモリ能力は年齢相応です。その場合、発達障害的な症状が出ていても、通常の園に通わせている限り大きな問題はありません。脳の個性とみなしてあげてください。
あっち向いてホイ!
「あっち向いてホイ」も簡易HQテストになります。相手につられることなく逆方向を向く必要があるので、脳の実行機能をかなり使います。
ADHDの場合、実行機能が低いのが特徴なので、「あっち向いてホイ」がうまくできない場合、ADHDの傾向の疑いがあります。
ただし、数字の順番書きや、あっち向いてホイがうまくできて、ワーキングメモリ能力が健常範囲かそれ以上であっても、発達障害である可能性は残ります。
下記の条件に当てはまる場合には、一部の脳機能が低下ないし障害されていることがあります。つまり、発達障害に深く関わる脳機能に大きな凹凸ができてる可能性が高いのです。
- 5歳未満で非科学的な英才教育をしたことがある、あるいは現在している
- 5歳未満で非科学的な発達障害改善法をしたことがある。あるいは現在している
- 5歳未満で不適切なワーキングメモリ訓練をしたことがある、あるいは現在している
- デジタル機器を(知育を含めて)多用したことがある、あるいは現在多用している
脳の凹凸が大きくなっていても、なっていなくても、5歳ですべきことは、集団遊びです。集団遊びができない環境の場合には、サッカーなどの集団スポーツでもいいです。

また「虫取り」などの好奇心を伸ばすような遊びも、沢山させてください。子供が好奇心を持つなら、デパートやホームセンターなどでもいいです。
テレビは、本来、脳の発達にはマイナスです。ただし、4~5歳頃からならバラエティ番組に限ってのみですが、一日2時間未満なら見せてもOKです。
バラエティ番組がいいのは、笑ったり、泣いたり、怒ったりといった社会関係がたくさん出てくるからです。ただし、テレビ視聴は、4~5歳になってから一日2時間未満という原則は必ず守ってください。
5歳での注意点
通常の保育園や幼稚園ではしていないはずですが、最も注意すべきことは、「非科学的な英才教育」です。
この年齢の脳は、非常に未熟で未分化なので、非科学的な英才教育をしてしまうと、この頃まで健常児であっても、発達障害的な症状がでてきてしまうことがあります。澤口氏は、このようなケースが多いといいます。
非科学的な改善法では、多くの(しばしば高価な)教材を使う場合がありますが、科学的な改善法は、多種類の教材など不要です。1~2種類の(数千円程度の)教材で十分であり、教材自体は単純ですから、手作りでもOKです。
科学的な改善法では、教材はごく少ないか不要なことを知っておいてほしいと澤口氏はアドバイスしています。
★6歳(72~84か月)

6歳児は5歳児と脳レベルでは大差ないので、やるべきことや注意点は5歳児とほとんど同じです。
科学的な英才教育をしたい場合には、年齢(月齢)的にこの頃が最適です。5歳でも適していますが、この年齢の頃は、2~3か月で顕著な効果が表れます。
科学的な英才教育として最も優れているのは、ワーキングメモリ訓練です。ワーキングメモリ能力を向上させると、他の様々な脳機能がアップします。知能指数【IQ】も向上します。
8歳未満でIQを向上させれば、多くの場合、ほとんど下がりません。知能指数【IQ】を140以上にすることは、ごく簡単で、適切なワーキングメモリ訓練を2~3か月するだけで十分です。澤口氏自身が指導した園では、園児のIQを平均170まで向上させたそうです。
発達障害は脳の個性

発達障害は脳の機能障害なので、その障害が改善されることで発達障害は改善されます。しかし、それは根治ではありません。改善するということは、健常児と同じになることではないと澤口氏はいいます。
発達障害は、脳の個性であり、個体差があるのが生物の基本です。人間から個性をなくすことは不可能なので、発達障害の子供の脳の個性をなくすことも不可能です。その意味でも、発達障害の根治は不可能なのです。しかし社会に適応できるレベルまで改善することは可能です。
そもそも発達障害の遺伝子がなぜ残っているかというと、人類の進化に役立つから残っているとも言えます。
ADHDの人は、想像力が高いという特徴を持っていますし(ADHDの人は政治家や企業家向き)、自閉症スペクトラムの人(芸術家、研究者、職人向き)も、独特な創造性を持っています。LD(学習障害)の人も、一部の能力は低いですが、ある能力は突出して高いことがあることも分かっています。
歴史に残る偉人たちの中に発達障害の人が多いことも有名ですよね。20世紀最大の物理学者アインシュタインや発明王エジソンなども発達障害であったであろうといわれています。
現代社会は、発達障害の人たちの存在なくしては、ここまで急速な発展はなかったとも言われます。
つまり、人類進化という広い視野で考えれば、発達障害の脳は、人類に必要な脳の個性と捉えるべきだと澤口氏はいいます。
しかし、優れた脳の個性を持つ発達障害の子供も、社会不適応の症状が悪化すると、その非凡な能力を発揮できなくなってしまいます。
つまり、発達障害の子供は、社会に適応できるレベルまで改善することによって、その改善の先には、個性的な脳をもって、社会や人類に貢献できる貴重な人材になれる可能性を秘めているのです。
発達障害の改善とは、健常児と同じようになることが目標ではなく、脳の個性は残しておいていいのです。むしろ人類に役立つという観点からみれば、優れた脳の個性は残すべきだと澤口氏はいいます。
おわりに

発達障害は、生まれつきなので改善はできないと言われ続けてきた親御さんたちにとって、発達障害は改善も予防もできるという澤口氏の主張は、お子さんの未来に明るい希望を与えるものだと思います。
発達障害は、生まれつきですが、生まれつきであっても生後の環境で本当に改善できるとしたら、こんなに素晴らしいことはありません。
しかし、お子さんが発達障害になったからといって、親御さんの育て方が悪かったんだと決して誤解なさらないでください。仮に澤口氏が言うように、幼いときに行なった英才教育が悪い影響を与えてしまったとしても、親御さんが、我が子のために良かれと思って行なったことです。
我が子の幸せを願って行なってきた英才教育を責める人は誰もいないでしょう。教育熱心だったということに、何の罪があるのでしょうか。親御さんはどうかご自身の子育てを責めないでください。
澤口氏の著書は、発達障害の子供にとって貴重な情報が満載の本なので、ぜひ親御さんたちに読んでいただきたい本です。この記事内でまとめてある内容は、本の中のごく一部でしかなく、もっと大切で貴重な情報が本の中にはいろいろ書かれてあります。
発達障害の子供さんは、ダイヤモンドの原石です。人類の進化のために、選ばれた個性的な脳を持って生まれたのです。
しかし、非凡な才能を持って生まれても、社会不適応の症状が悪化してしまうと、本人も親御さんも辛い思いをすることになり、折角持って生まれた素晴らしい個性的な脳力(能力)を発揮できなくなります。
あなたのお子さんにとって、どの方法がベストなのかは分かりませんが、大切なお子さんの幸せのために、最善の方法をどうか見つけてあげてください。
![]() 発達障害の改善と予防 [ 沢口俊之 ] |
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