パンダが笹・竹を食べる理由 熊の仲間がなぜ草食?
パンダって、メチャメチャ可愛いですよね。チャーミングな丸顔に、ポテッとした丸みのある身体つき。
思わず「可愛い~♪」と声をあげてしまう人気者のパンダですが、そのパンダが、笹や竹を常食しているのは有名ですよね。
しかしパンダは、熊の仲間なので、もともとは肉食または雑食であったといわれています。
そのパンダが、どうして笹や竹を主食とするようになったのか、そこにはパンダの進化の歴史が深~く関わっているんだとか。
白と黒の世界のアイドルであるパンダが、なぜ笹や竹を食べるようになったのか、その理由について調べてみました。
<パンダが笹をむしゃむしゃ食べる姿がとても可愛いですよ↓>
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パンダが消化しにくい笹や竹を食べる理由

パンダは、正式にはジャイアントパンダと呼ばれます。パンダという呼び名は、ネパール語で「竹を食べるもの」という意味の「ネガリヤーボンヤ」に由来するそうです。
ジャイアントパンダの化石は、中国の広い地域で発見されています。その多くは、およそ300万年前のもの。
その頃、地球は氷河期で、大地は雪と氷におおわれていました。多くの動物が、飢えと寒さに苦しみ、ある種の動物は、食べ物を求めて移動し、また別の種の動物は、寒さに適した身体に進化し、生き延びていきました。
マンモスやサーベルタイガーは、環境に適応できず絶滅してしまいます。
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そんな厳しい氷河期に、パンダを救ったのは、氷河期の寒さでも枯れることのない竹でした。パンダは、身近にある竹を食べるしかなく、そこで、肉食から竹を主食とする身体へ進化したと考えられています。
実際、パンダの消化器官は、肉食動物の特徴を持っています。パンダの腸の長さは、体長の 4.1~7.7倍 で、熊などの肉食類と同じです。
牛や鹿など反すうする動物では、腸の長さは体長のおよそ15倍、羊では、およそ25倍にも達します。草食動物では、排泄するまでに24時間以上かかるのに、パンダは12時間以内で排泄してしまいます。タケノコを食べた場合には、5時間以内です。

パンダはもともと肉食の動物だったので、草食動物のように植物を消化する力は弱く、消化率は20%ほどしかありません。そのため、パンダの糞には、ほとんど未消化の竹の葉が混じっているので、パンダの糞は、竹の匂いがして臭くないんだとか。
しかし、竹や笹の葉は栄養が少なく、かなりの量を食べないと生きていけません。そのためパンダは、1日のほとんどの時間を食べるために使っています。
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厳しい氷河期を乗り切るために、雑食から竹や笹を食べるように進化したパンダですが、竹や笹の葉は冬でも枯れることがないので、そのためパンダは、冬でも食べ物があるので冬眠しません。
冬眠する熊などは、冬眠する前に高カロリーのエサをたくさん食べて脂肪を蓄積しますが、パンダの場合は、主食が竹や笹になるので栄養価が低く冬眠できるほどの脂肪を蓄えることはできないでしょう。
竹・笹を食べるために進化したパンダの身体

パンダは、1日の大半を竹や笹を食べることに使っていますが、そのためパンダの奥歯の大きさは、なんと人の7倍! 竹・笹を効率的にすりつぶせるように歯の表面は平らになっています。
そしてパンダの頬骨のまわりには、硬い竹をすばやく噛み砕くために大きく発達した頬の筋肉があり、これがパンダ独特の可愛い丸顔を作っています。
肉食の熊に比べると、パンダは明らかに顔が丸いですよね。つまり、竹を食べて、より可愛くなったということですね♪
ただ、パンダも中国の生息する地域によって、可愛いパンダと可愛くないのとがいるそうです。陜西省(せんせいしょう)のパンダは丸顔で、とても可愛く、四川省(しせんしょう)のパンダは面長で少し犬っぽくて、あまり可愛くないんだとか。
またパンダの前足には、5本の指の左右に、第6、第7の指といわれる骨のでっぱりのようなものがあります。これがあるために滑りやすい竹をしっかりとつかみ、葉をしごきとることができます。
普通の熊には、こんな風に骨のでっぱりの部分がないので、竹を上手くつかむことはできません。
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パンダの食べ物

もともと肉食動物の消化器官の特徴を持つパンダ。しかも栄養価の低い竹。この欠点を少しでも補うために、パンダは行動でもいろいろ工夫しています。
パンダは、季節に合わせて竹の種類を変えて、その時々で一番栄養価の高い竹の種類、部位を食べ分けています。
春から初夏にかけて採れるタケノコは、パンダの大好物で、タケノコは、葉に比べてずっと栄養が豊富です。パンダの赤ちゃんが育つ時期は、ちょうどタケノコの出てくる頃に合わせているそうですから、パンダって賢いですよね。
パンダは他の熊と違って冬眠しないので、冬の間も食べ続けます。でも、冬はパンダの暮らす中国の高山では、食べ物が不足しがちになります。
そんな時には、野生のパンダは、人里に下りていって、人間の食べ残した豚肉や、凍死した小動物や家畜を襲うこともあり、ニュースになることもあります。
しかし、野生のパンダの主食は竹で、竹は全体の食物の99%以上を占めるといわれています。
飼育下では、竹を基本に、ニンジン、リンゴ、サトウキビ、麦、米、タケノコ、カキを与えるそうです。
動物園では、水にパンダミルクと麦、米、馬肉を入れ、粥にした「パンダミルク粥」や、トウモロコシの粉を主体に、大豆粉や砂糖を加えた「トウモロコシ団子」も与えられているそうです。

また、パンダは毎月1~2回腹痛を起こします。でも、それは病気ではないので心配いらないそうです。
植物繊維質が多いエサが多いため、パンダは定期的に腸粘膜の再生をしなければならず、腸内の粘液を排泄するため、痛みが出るそうです。
本来の肉食の食性を変えたことで、毎月パンダはそうした痛みに耐えてるのかと思うと、なんとも可哀想ですよね。
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パンダの生息数の減少

パンダは、古代から貴重な存在とされ、唐の時代には、功績のあった家臣たちに皇帝がパンダの毛皮を与えていたそうです。
19世紀後半にはパンダの存在が西欧社会に知れ渡り、パンダの白黒の独特の毛皮模様が珍重され、そのため数多くのパンダが殺されました。
しかし本当の意味でパンダの減少に拍車をかけたのは開発でした。パンダの棲む山は、道路や住宅、農地をつくるため、次々に切り開かれていきました。
その結果、かつては、中国の広い地域に生きていた野生のパンダは、今は、ごく限られた一部の地域だけにわずかに生きているだけとなってしまいました。
パンダは、今は中国国内では、国家Ⅰ級保護動物となって手厚く保護されているので、捕まえたり密輸出しようとすると終身刑になる可能性すらあります。
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終わりに・・・

愛らしい姿と仕草で人気者のパンダ、現在日本の動物園にいるパンダは中国からのレンタルです。上野動物園のパンダのオス・メスの1年間のレンタル費用は約8000万円。
2012年の調査では、世界各地で飼育されているパンダは341頭、野生のパンダは約1600頭といわれています。
絶滅危機動物になっているパンダですが、厳しい氷河期も乗り越えてきたパンダですから、なんとか絶滅の危機を乗り越えていってほしいものです。

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参考文献
- 誰も知らない野生のパンダ 小林達彦著
- パンダ飼育係 阿部展子著
- パンダの飼い方 白輪剛史著
- 動物イラスト生態図鑑パンダ 伊藤年一著
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